個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第十四回


■はじめに
前回は新MacOSに同梱されたMac版iBooksを紹介しました。今回も引き続きMac版iBooksをチェックしていきます。

今回は、iBookstore向けにEPUB電子書籍を出版する制作者視点で考えていきます。なお、Mac版iBooksの仕様について勘違いなどもあるかもしれません。そのあたりお気づきになられた方がいらっしゃいましたらご一報いただけると幸いです。

■操作方法の違いによる注意
iOS版とMac版で色々違いはありますが、1つ大きく異なるのはiOS版ではタッチ操作(マウスカーソルがない)、Mac版ではマウス操作(マウスカーソルがある)を前提としていることです。

例えばページ遷移の操作は、iOS版ではページをめくるようにスワイプするか、ページの端をタップします。Mac版ではページの端をクリックするか、マウスカーソルをウィンドウ内に置いてトラックパッドを2本指でスワイプします。また、キーボードの左右の矢印キーでもページ遷移を行えます。

これは標準的な文章中心のリフロー型の書籍であれば特に問題はなさそうです。固定レイアウト型の書籍の場合は、多少注意が必要になることがあるかもしれません。

注意の1つは、Mac版だと画面の左右にカーソルを配置すると、ページ遷移できることを表すアイコンが表示されることです。



マウスカーソルが左右の端にない場合には、このアイコンは表示されないので問題になることはないかもしれませんが、一応Mac版のiBooksで表示して不都合がないか確認しておくのがよいでしょう。

もう1つは、JavaScriptなどで独自のインタラクションを含むコンテンツの場合、操作説明のページを用意することがありますが、その際の表記に関することです。

先に挙げたように、iOS版とMac版では指とマウスカーソルの違いがあるので、iOS版のみだった頃は「○○をタップします」と表記すればよかったところでも、「○○をタップ/クリックします」といったようにMac版も想定した表記にした方がよいでしょう。

■Mac版で未サポートの機能に関する注意
Mac版のiBooksはまだバージョン1(執筆時点で1.0.1)のためか、iOS版でサポートされている機能の全てが使えるわけではないようです。

例えば、第8回の記事で触れた「page-list nav要素」には対応していないようです。

page-list nav要素について少し触れておきますと、目次用のXHTMLファイルに表記する通常の目次用nav要素とは別に、印刷物のページと対応させるための追加の目次情報のことです。

目次用のXHTMLファイルにpage-list nav要素がある場合、iOS版では目次を表示すると印刷物のページ表記に切り替えるリンクがあります。



Mac版では目次は吹き出しに表示される簡素なインターフェイスで、印刷物の目次に切り替えるリンクなどは見当たりません。



他には、スクロール方向の指定もMac版ではサポートされていません。

スクロール方向についても少し説明します。iOS版ではデフォルトのブック表示以外に「フルスクリーン」「スクロール」といった表示方式(iBooksでは「テーマ」と呼びます)があります。

スクロール表示に切り替えた場合、日本語書籍は横スクロールがデフォルトですが、電子書籍内の設定で縦スクロールにも設定できます。



Mac版では一見スクロールでページ遷移しているように見えますが、どうやらiOS版のスクロール表示とは異なるもののようで、スクロール方向の指定も反映されません。

Mac版の表示方式はどちらかというと、iOS版のフルスクリーン表示に近いもののように思われます。

技術書のような図版の多い書籍の場合、縦スクロール表示が収まりがよいことが多いのですが、Mac版では現状サポートされていないので注意が必要になりそうです。

■最後に
今回はiOS版だけでなくMac版のiBooksについても意識する、という観点から注意点をピックアップしてみました。

少々細かい話になったようにも思いますが、ちょっとしたところに配慮することで読者の体験向上に繋がることは少なくありません。

予め注意点を把握しておくことで、制作もスムーズに進めることができるでしょう。既にiBookstoreで出版されている方は、今回ピックアップした点以外にも何か注意点は無いか、少し考えてみてはいかがでしょうか。

あと、告知を少し。
またiBooks Author+EPUBのイベントを開催します。11月30日(土)に11:00〜18:00でハンズオン形式の講座になっています。

iBooks Authorではじめるビジュアル電子書籍」というタイトルで、内容的にはiBooks Authorによる制作がメイン。EPUBはプラスαで扱います。是非ご参加下さい!

■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi


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