阪神甲子園球場

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 8月5日に「第108回全国高校野球選手権大会」、いわゆる“夏の甲子園大会”が開幕する。各地予選を勝ち抜いた49代表校による熱闘が始まるが、かつて駒大苫小牧のエースとして甲子園を沸かせた、読売ジャイアンツ・田中将大投手(37)が「待った」をかけた。

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 8月4日配信の『日刊スポーツ』記事で田中が私見を述べたのが、日本高野連(日本高校野球連盟)が2028年からの導入を検討している「高校野球7イニング制」への変更について。これまで9回が当たり前の野球ルールを、年々厳しさが増す酷暑の中での大会開催に、選手の健康や体調を考慮して7回終了に短縮するというもの。

 高校野球7回制は球界内外からさまざまな意見が出ているが、実際にプレーする球児に大事が起きては遅い。それだけに高野連も時代に沿った改革に乗り出したわけだが、田中が疑問を呈したのが【甲子園ありきで考えるから、おかしくなる】。

「9回」ルールは維持しつつ【ドーム球場でやるのはダメなのでしょうか。】と、最も暑い時期の阪神甲子園球場での屋外開催ではなく、例えば関西であれば「京セラドーム」といった、空調設備があるドーム球場での屋内開催を提案したのだ。

 かねてより京セラドームの他、北海道日本ハムファイターズが移転した“家主”不在の「札幌ドーム」など、ドーム球場での開催を推す世論も高まっている。しかしながら高野連はドーム開催の議論はせず、野球ルールを改定してまでも甲子園に固執しているように見える。どうやら高野連にも事情があるようだ。

京セラで4600万円、札幌ドームなら1億円以上

 アマチュアスポーツの経営事情に詳しいスポーツライターによると、

「甲子園を所有、運営しているのは阪神電気鉄道ですが、通常はスポーツイベント開始時には球場使用料がかかるところ、春夏の高校野球に限っては無料で提供しています。つまり高野連は甲子園をタダで使わせてもらっている現状があります」

 例えば京セラドームの使用料金は、平日8時間で300万円、土日は同じく400万円を要し、それぞれの延長料金は1時間20万円、30万円としている。夏の甲子園が約2週間の開催として、単純に1大会で4600万円の使用料金を支払うことになる。

 さらに札幌ドームであれば、同規模大会の開催なら約1億2000万円。経営面では一目瞭然、甲子園での開催を選ぶのは当然と言えよう。

 とはいえ昨夏の甲子園大会では、2週間で72万4700人が来場する連日超満員の人気ぶりだ。高野連もさぞかしチケット収入で儲かっていると思いきやーー、

「2024年度の収支予算書によると、春夏大会合わせての収益は計16億1000万円で8〜9割が入場料としていますが、年間にかかる経費もまた同額に迫る実情があります。無観客で開催されたコロナ禍の大会は大赤字だったとも聞きます。

 また通常、テレビ放送にかけられる放映権料もNHKから徴収しておらず、共催の朝日新聞、毎日新聞から協力金を得ている程度。高野連にはお金の余裕がないのが実際のところで、そもそも高校野球は教育であるため、金儲けにはしない美徳と伝統があるのです」(前出・スポーツライター、以下同)

高校野球にとって阪神以上の“聖地”

 甲子園にこだわるもうひとつの理由が「伝統」だという。プロ野球・阪神タイガースの本拠地として、多くの虎ファンの“聖地”とされてきた甲子園。夏の大会開催中は、かつて“死のロード”とも呼ばれたように、約2週間を敵地での試合を余儀なくされる。

 甲子園を高校野球に“貸している”ような構図だが、元来は1924年に「全国中等学校優勝野球大会(現選手権大会)」の開催地として建設された球場だ。つまり高校野球にとって阪神以上に“聖地”であり、100年以上にわたる「歴史と伝統の継承」の証でもあるわけだ。

「もちろん歴史と伝統を重んじる一方で、時代に合わせた変化が必要なのも確かです。そして田中投手のように、真夏の甲子園での投げ合いを体験した球児の意見も尊重されるべきでしょう。

 ですが各校が甲子園遠征のために寄付金を募り、クラウドファンディングも始めているように、高野連をはじめ高校野球にはお金の事情があるのも事実。選手と甲子園、そして9回制を守りたいのであれば、せめて開催時期を秋以降にずらすなどの議論も重ねたほうが良さそうですね」

 2025年に高野連が行った連盟加盟校へのアンケート結果では、「7イニング制」導入に反対が70・1%、賛成が20・8%と、反対意見が多数を占めている。お金と伝統、球児の夢舞台の狭間で高野連は頭を悩ませそうだ。

週刊女性PRIME