愛媛の地銀2行が統合へ…お家芸の船舶融資で相乗効果(森岡英樹/経済ジャーナリスト)
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愛媛県地盤の伊予銀行を傘下に持ついよぎんホールディングス(HD、松山市)と、愛媛銀行(同)が24日、経営統合で基本合意した。2027年4月にいよぎんHDが愛媛銀行を完全子会社化し、同6月の定時株主総会で商号変更を諮る。統合により、連結総資産が12兆6000億円規模(26年3月末時点)の地方銀行グループが誕生することになる。
「高市政権の成長戦略を受けた地銀統合ですね。狙いは船舶融資(シップファイナンス)のテコ入れと造船業界の再編でしょう」(メガバンク幹部)
政府は6月下旬、新たな成長戦略の策定に向けて、AI(人工知能)・半導体や造船など17の戦略分野に官民が連携して投資する規模を、40年度までに「総額370兆円を超える」と想定する計画をまとめた。
このうち造船に関しては、次世代船舶で34年度までに1兆円。船舶修繕で35年度までに1000億円の投資が挙げられている。また、LNG(液化天然ガス)運搬船については関係者間での検討を引き続き進めつつ、今後精査するとされた。
この成長戦略に、「造船会社や船舶用機器のメーカーなどが集積する愛媛県今治市では、中国勢や韓国勢に押される中で巻き返しにつなげたいと期待が高まっている」(関係者)という。
そこで浮上したのが地元地銀2行の統合だ。「愛媛県では、人口減少が進み、預金の県外流出も課題となっている。一方、両行ともシップファイナンスをお家芸としており、造船需要が高まる中、船舶融資や造船関連事業への支援などで相乗効果が見込まれる」(同)というわけだ。
いよぎんHDの25年度決算当期純利益(連結)は前年度比39.3%増の742億円。愛媛銀行グループの当期純利益(連結)も、前年度比15億円増の72億1200万円と、ともに過去最高益を上げている。
預金量は、伊予銀が約7兆3000億円、愛媛銀が約2兆7800億円で、両行を合わせると預金量10兆円規模に。規模の利益も期待できる。
両行の統合話は、25年末に国土交通省が造船業再生について、「今後は1〜3グループ体制に集約する」とのロードマップを示した頃から、地銀界で囁かれ始めていた。そして、「今年1月に最大手の今治造船が財閥系の流れをくむ業界2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU)を子会社化したあたりから、時間の問題とみられていた」(大手地銀幹部)という。
JMUは、石川島播磨重工業(現IHI)と住友重機械工業が共同出資して1995年に設立したマリンユナイテッドと、日立造船(現カナデビア)と日本鋼管(現JFEホールディングス)が共同出資で2002年に設立したユニバーサル造船が合併して13年に誕生した。いわば国策に近い会社だ。
政府は35年の船の国内建造量を、24年比の約2倍にあたる1800万総トンに増やす方針を打ち出している。船舶は「動く工場」とも呼ばれる。大型船では数百万点規模の部品や機器が使われ、関連する企業の裾野は広い。それだけに金融面からのサポートは重要性を増す。
両行の統合で、愛媛県内の預金や貸し出しのシェアは高まり、県内のメインバンクシェアは7割に達する。独占禁止法に抵触しかねない数値だが、20年11月27日から、同一地域で高い貸し出し・預金シェアを持つ銀行同士が統合する場合でも、金融庁への申請と公取委との協議・主務大臣の認可を経て、独禁法の制限(競争実質的制限の禁止)の例外とする「独占禁止法特例法」が30年までの時限措置として施行されている。
(森岡英樹/経済ジャーナリスト)
