自炊を楽しみ、移動は徒歩…60代ひとり暮らし「見直してよかった」習慣3つ。日々が豊かに変化
新しい生活を始める際、直面するのが「暮らし方の変化」。成人した3人の子をもち、現在はひとり暮らしをしている著述家の中道あんさん(60代)は、今年、富山県に移住。がんばって変えようとしたわけではないのに、移住を機に自然と心地よく変わっていった「仕事・本・食」にまつわる新習慣を中道さんがつづります。

富山に移住して感じた「習慣の変化」
新しい場所で暮らし始めると、不思議と習慣まで変わるものですね。
「変わろう」とがんばったわけでもないのに、日々の行動や本とのつき合い方、料理をする時間、そして人との関わり方まで少しずつ、自然に変わってきました。そんな変化を楽しめるのも、人生後半ならではのおもしろさなのかもしれません。
大阪府から富山県に移住した私の、心地よい暮らしの変化を紹介します。
1:仕事場所を外にして徒歩で通うように
移住前は自宅で仕事をすることが多かったのですが、こちらに来てからは大きな変化が。
「どこか仕事に集中できる場所はないか」と思案していたところ、家から歩いて15分ほどの場所に、洗練された建築とインテリアが魅力的な、居心地のいい施設を見つけたのです。そこは、図書館とコワーキングスペースが一体になった場所でした。
すっかりその空間に魅了された私は、今ではほぼ毎日、その施設のテレワークブースに通って文章を書いています。
片道15分の徒歩移動は、ほどよい運動と気分のきり替えにぴったり。自宅にこもって仕事をするスタイルから、「お気に入りの場所に歩いて通う」スタイルへと変わったことで、毎日の生活に心地よいリズムが生まれました。
2:本との触れ合い方が変わった
60代に入り、「教養」に時間もお金もかけるようになりました。
自分自身が本を書く立場になってからは、「本は買うもの」という意識が強くなり、以前住んでいた街では、駅ナカの書店に毎日のように通っていました。著者の気持ちがわかるからこそ、図書館で借りることに少し抵抗があったのです。
しかし、移住を機に本との付き合い方を見直すことに。
住んでいる市にも書店はありますが、自転車しか乗れない私には少し遠く、コワーキングスペースと同じ建物にある図書館を利用するようになりました。
この図書館はフロアの本の並べ方がとても見やすく、比較的新しい本や話題書が手に入りやすいのが大きなメリットでした。
本の並べ方が見やすく、新刊や話題書も充実しているので、午前中にテレワークブースで仕事をした帰りに図書館を一周し、気になった1冊を借りるのが今のルーティンです。好きな作家の本を予約することもあります。
実際に読んでみて、「どうしても手元に置いておきたい」と思った本だけをネットで購入。
●本の買い方を変えて気づいた「意外なメリット」
この方法に変えたことで、一度読んだだけの本が増えなくなり、本棚には本当に大好きな「1軍の本」だけが美しく並ぶようになりました。
もちろん、本屋さんへの恋心のようなときめきは今も消えていません。これからはお気に入りの図書館をベースにしつつ、電車で行ける範囲で「新しく好きになれる書店」を開拓していこうと思っています。
3:料理の幅が広がった

新しい場所に身を置いたことで、地域の方々との温かい交流も増えました。
家庭菜園を始めたことに加え、近所の農家さんから「余ったから」「傷があるから」と、レジ袋いっぱいの野菜や果物をいただく機会も増えたのです。
都会でのひとり暮らしでは、キュウリ1本や、その日に食べきれる分の果物を買う暮らし。最初はいただく量の多さに「どうやって食べよう!」とうれしい悲鳴をあげていました。
でも、そのおかげで料理の幅がぐんと広がりました。
ネットでレシピを調べて大量の野菜でキムチを漬けたり、傷のある果物でコンポートをつくったり。ただ食べるだけでなく、「食材に手間をかける時間そのもの」が愛おしく、楽しくなってきました。
「60代からでも、まだまだ料理の腕が上がるかもしれない」と思うと、なんだかワクワクしてきます。
ご近所さん手づくりの漬物をいただくこともあります。スーパーのものとはひと味違う、どこかほっとする優しい味は、食いしん坊の私にとって何よりのごちそうです。
「変わろう」と肩肘をはらなくても、環境が変われば毎日の選択は少しずつ変わるもの。移住という新しい一歩が、人生後半戦をより豊かで味わい深いものにしてくれています。
