会見に出席した保育士の1人(7月24日 都内/弁護士JPニュース編集部)

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保育園「天才キッズクラブ」を運営する株式会社TKC(本社・東京都稲城市)で働く保育士らは24日、都内で会見し、創業者で代表取締役の田中孝太郎氏が、自身の気に入った沖縄産の塩を保護者の承諾なく園児に舐めさせたり、頭に振りかけたりする行為を繰り返していたと訴えた。

矛先は園児だけではない。同社の保育士らが結成した労働組合によると、園児の目の前で職員を大声で怒鳴りつけるなどのハラスメントもあったといい、代表の言動によって適応障害と診断され休職した職員もいるとした。組合は東京都労働委員会に、不当労働行為の救済を申し立てている。

「傾倒する塩を保護者らに宣伝」

会見に出席したのは、労働組合ユニオンカントの鈴木剛執行委員長と、TKCの現職保育士ら。子どもや保護者との関係に配慮し、撮影は首から下に限る条件が付けられた。

TKCは神奈川県を中心に認可保育園と企業主導型保育園を14か所展開し、従業員約350人を雇用する。

ある保育士は、園児に対して不適切だと考える行動を2点挙げた。1点目は、代表が園児の目の前で職員を大声で怒鳴る行為だ。

「代表の足元には3歳の園児が座っており、その場で別の職員が泣きながら止めに入りました」

2点目が、代表が園児らに手のひらを出させ塩を乗せる行為や、頭に振りかける行為だ。

保育士らは、園児らが手を洗っていない状態で手のひらに塩を乗せられると、手のひらの塩を舐めるため不衛生だと指摘する。因果関係は不明だが、その後に嘔吐した園児もいたという。

これらの行為について、現場の園長らが再三やめてほしいと訴えても、代表の行為が改まらず、保護者からは「なぜ承諾もなく園児に塩を舐めさせたのか」との問い合わせが寄せられた。

代表が園児の手のひらに塩を乗せるなどの行為は習慣化しており、園児も「今日は(塩を)持ってないの?」と代表に聞くようになったという。

最終的には保護者が園を所管する川崎市の担当課へ相談する事態に発展した。

ある保護者は会社に対し、「立場を利用し、自身の傾倒する特定の商品を保護者らに宣伝し、また保護者の同意なく園児に食べさせた」と抗議したという。

会社は謝罪文を出したものの、その後もしばらく同様の行為は続いたという。「私たち職員も、その行為の理由や必要性を保護者へ説明することができず、大変苦しい思いをしてきました」と、会見に出席した保育士は語った。

また、塩そのものについて、ある保育士は「とても体にいい塩だとみんな理解している」としたうえで、代表が「生理痛が治る」と女性職員に繰り返し語り、妊娠中の保護者には羊水が良くなると話していたといい「公の場でそういうことを言うのは、教育に携わる代表としてどうなのか」と述べた。

「『約束事項』に署名も守られず」

職員が声を上げる発端は、既婚者である代表が、離婚の成立前に別の女性との間に子どもをもうけたと自ら公表したことだった。

SNSに配信された動画には、「子供を作っちゃいました」「日本やばいっすからね。子供が生まれないとやばい」と語る場面がある。代表が主催した自身の誕生会では、出産に立ち会い胎盤を食べたという話や写真を見せる行為もあり、代表への不快感と不信感が広がったとされる。

「私たちは、個人の私生活そのものを問題にしたいわけではありません」と、ある保育士は語る。

それでも、職員アンケートでは、以前からワンマンな組織運営に不満を抱えていた職員が少なくないことが判明。会社側と職員での話し合いを重ねて「運営課題を解決するための約束事項」を作成し、園長17人全員と本社の管理部門、代表本人が署名している。

だが、その後も会議中に突然大声で怒鳴ったり、人前で職員を威圧的に叱責したりするなど、約束は守られなかったという。

「管理職は組合の保護を受けない」

組合側によると、会社の管理職も組合に加入したが、会社側は「管理職は『利益代表者』(労働組合法上、使用者の利益を代表する立場の者)にあたり、労組法の保護を受けられない」と主張しているという。

組合の中心メンバーには、個別の呼び出しによる退職勧奨もあったといい、会見に出席した保育士も「組合に来るならしばらく休めと言われた」「役職を降りろと言われた」などと述べた。

組合側は、いずれも不利益取り扱いに当たる不当労働行為だとして東京都労働委員会に救済を申し立て、録音記録を提出済みとしている。

罵声や退職勧奨によってメンタル疾患となり休職した職員については、労働災害の申請を検討しているといい、組合の鈴木執行委員長は「録音記録も明快なので、時間はかかっても労災認定は固い(確実に行われる)のではないか」との見解を示した。認定されれば、会社と代表個人に対する損害賠償請求訴訟も検討するという。

「子どものキャンプ場計画が“サウナ”に」

経営の透明性についても問題が提起された。2022年に子どものキャンプ場作りを目的に発表されたプロジェクトは、2024年にクラウドファンディングを実施したが、当初案内していたリターンが実施されていないという。

会見に出席した保育士は「サウナやジャグジーなどの計画が中心になっているように見受けられる」と指摘。「会社側は保育の運営とは関係のない事業だと説明しているが、代表が発信し、保護者を含めて支援を募った以上、進捗状況や資金の使途を説明する責任がある」と語った。

なお、株式会社TKCは弁護士JPニュース編集部の取材に対し、東京都労働委員会への救済申し立てをはじめとする一連の内容について「会社としてのコメントは差し控える」と回答した。