快勝劇に興奮状態だったアルゼンチン代表の面々。それでもこの旗を持ち出した行為はやはり看過できない。(C)Getty Images

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 北中米ワールドカップで物議を醸したトピックのひとつが、アルゼンチン代表選手たちによる“横断幕問題”だった。

 現地7月15日、準決勝でアルゼンチン代表はイングランド代表と対戦し、2−1の劇的な逆転勝利を収めた。非難の的となったのは、試合後にアルゼンチン代表の複数の選手がとった行動だ。クリスティアン・ロメロ、リサンドロ・マルティネス、ジオバニ・ロ・チェルソの3人が「マルビナス諸島(英国ではフォークランド諸島)はアルゼンチンのものだ」と書かれた横断幕を手に勝利を祝ったのである。

 さらに試合後のインタビューでレアンドロ・パレデスも「フォークランド諸島はこれからも永遠にアルゼンチンのものだ」と発言。瞬く間に国際的な問題へと発展し、あからさまな政治的メッセージの発信に批判が殺到した。決勝のスペイン戦後に起きた暴行事件も含めて、FIFA(国際サッカー連盟)はアルゼンチンに対して調査に乗り出しており、なんらかのペナルティが科されると見込まれている。

 フォークランド紛争は1982年に南大西洋の英領フォークランド諸島の領有権を巡って起きた、英国とアルゼンチンの戦争。およそ2か月の軍事衝突で英国側が255名、アルゼンチン側が民間人を含む907名の犠牲者を出し、英国の勝利に終わった。

 現在、スコットランドのグラスゴーで行なわれているのが「コモンウェルスゲームズ」だ。英国連邦の加盟国・地域による総合スポーツ大会で、4年に一度の開催。ネットボールやローンボウルズなど同大会ならではの競技もあり、およそ70の国や地域が参加している。
 
 この大会に独立代表チームを送り出しているのが、フォークランド諸島である。英紙『Daily Mail』は団長を務めるマイク・サマーズ会長を直撃した。

 同会長は「「フォークランドでは誰もがワールドカップを見ていました。大半の人はイングランドを応援していましたよ。ラグビーでもクリケットでも同じです」と話しつつ、ワールドカップで起きた事件については「リオネル・メッシやチームメイトたちがあの横断幕を掲げた時は、『いったい何をやっているんだ! これはサッカーの試合じゃないか』と思いました。もちろん、あの横断幕自体は以前から見たことがありましたがね」とコメントした。

 そのうえで、「アルゼンチン代表の半分ほどはプレミアリーグでプレーしていますよね。彼らは非常に高額な給与を受け取り、その給与には高い税金が課されている。そしてその税金が英国の防衛費を支えているのです」と説明。「私たちは彼らの振る舞いや汚いプレーに非常に失望しましたし、彼らの態度は不快極まりなかった」と批判し、「ワールドカップが英連邦大会ほど友好的な大会ではないことは理解しています。しかし、多くのチームは試合後にきちんと握手を交わしています。3位決定戦後には、イングランドとフランスの選手6人が一緒に輪になって祈りを捧げていましたよ。あれこそが、あるべき振る舞いの素晴らしい手本です」と続けた。

『Daily Mail』紙は「フォークランド諸島は今回、ローンボウルズ代表の6人を送り込んだ。彼らは思いがけず“代弁者”のような立場となっている」と前置きしたうえで、「人口わずか約3500人のフォークランド諸島はスポーツ大国とは言えず、サッカー代表もアマチュアチームで、2年ごとに開催されるアイランドゲームズに出場している程度だ。それでも今週、選手たちはペンギンがデザインされた記念ピンバッジを誇らしげに配りながら、フォークランド諸島の存在を世界に発信している」と伝えた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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