関東か関西か、白焼か蒲焼か? もう選ばなくてもいい! おいしすぎる令和のうなぎ事情−「読めばもっとおいしくなる うなぎ大全」

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うなぎ好きの間ではときどき、白焼派か蒲焼派か、江戸焼きか地焼きか、どちらがおいしいか論争が勃発します。しかし、さすがは伝統料理。長い歴史の中で、うなぎ文化がある意味昇華したのが令和の現在。令和のおいしすぎるうなぎ事情を紹介しましょう。この記事は、うなぎ愛好家・高城久さんがうなぎのあらゆる情報を一冊に詰めた「読めばもっとおいしくなる うなぎ大全」から抜粋・加筆してお届けします。【前後編の後編/前編を読む】

店の趣向がそのまま表れる「白焼」、店の命をまとった「蒲焼」

「うなぎをごちそうするよ」と言われて、喜びいさんででかけていって、白焼だけ出てきたら、ちょっとがっくりしませんか? 「うなぎ」と言われたら、ほとんどの方が、白いご飯の上に蒲焼が載ったうな重を想像するものです。

とはいえ、「いやいや、あたしはうなぎといえば白焼だね」という人がいたら、「お!通だね」と、なるかもしれません。白焼と蒲焼の違いを復習しておきましょう。

白焼:素焼きとも言い、開いた魚をそのまま焼いたもの

蒲焼:主に細長い魚を開いて、たれをつけて焼いたもの

白焼は、蒲焼になる前の素焼きの状態。完成前じゃないか! と侮るなかれ。むしろうなぎそのものの味が楽しめる一品なのです。

白焼にはわさび醤油が定番だが、こだわりの塩を添えたり、店によっては専用のたれが添えられることもある(写真:うなぎたかしろ/千葉・東松戸)

うなぎは、産地や環境によって味が異なります。シンプルに焼いただけの白焼は、養鰻家、問屋、職人、食卓にのぼるまでに経たすべての仕事がストレートに味わえると言っても過言ではありません。焼き方も関東と関西では異なるわけですから、関東では口に入れたときのねっとり感、関西では地焼きのパリサク感を蒲焼以上に楽しめます。

うなぎ専門店では、白焼にはわさび醤油が添えられるが一般的ですが、店次第なので、何が添えられるかでその店の趣向が分かります。ちなみに私のお気に入りは山椒塩。山椒はテーブルにありますから、こだわりの塩が出てくるような店には「おっ」と一気に親近感が増します。ちょっと一杯やるには最適です。

一方、蒲焼にはすでにたれでしっかり味が付いています。うなぎ専門店の命ともいうべきたれをまとった蒲焼は、店の命を味わえる一品。ご飯という最高のパートナーを得て、蒲焼は「うな重」という総合芸術になったのです。

「相盛り」という贅沢すぎるアイデア

最近では、関東でも蒸さない地焼きスタイルの白焼を出す店も増えてきました。中には、白焼用のオリジナルのたれを用意している店まであり、専門店の創意工夫は終わりがありません。白焼をご飯とともにお重につめた「白焼重」を提供する店もあったり、白焼と蒲焼を相盛りにした「紅白重」を提供する店もあったりします。

同じように、関東風江戸前蒲焼と関西風地焼きのスタイルの違う蒲焼を相盛りにした「相盛り重」を提供する店もあります。

白焼をうな重にした「白焼重」。蒲焼と白焼を相盛りにして提供する店もある(写真:うなぎたかしろ/千葉・東松戸)

どちらか選ぶより、全部楽しめる時代!

そもそも焼き方ひとつとっても、関東風、関西風とパッツリいかないのが令和のうなぎ事情。関西風蒲焼の発祥は、その名のとおり京都・大阪です。ところが現在の京都・大阪の人気うなぎ店の半数近くを、「江戸焼」と称する関東風の店が占めています。

現在三大都市圏の中では中京地区がほぼ関西風蒲焼のうなぎ屋です。特に名古屋は200店以上あるうなぎ屋の中で、関東風蒲焼の店は2店のみと、ある意味関西風の本拠地となっています。

一方東京都内を見ても、「江戸地焼き」という言葉があるくらいで、地焼きがひとつのスタイルとして定着した感があります。

いまやどちらを選ぶかではなく、バリエーションや融合スタイルを選べる口福な時代となったのです。

著者の高城久さん

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