【木田 トウセイ】不倫ドラマは「オワコン」じゃなかった…スマホ視聴で「背徳感」主婦からの熱烈需要

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近年のテレビドラマにおけるトレンドといえば、“不倫もの”と言って間違いないだろう。

特に2020年代以降は、テレビ東京の『ドラマプレミア23』や日本テレビの『ドラマDEEP』、MBS・TBSの『ドラマ特区』を中心とした深夜ドラマ帯で、不倫をテーマにした作品が毎クールのように放送されている。

その流れは、7月からの夏クールドラマでも止まっていない。

何度復讐を果たしても過去に巻き戻ってしまう妻役を内田理央が演じる『夫を殺したはずなのに』(テレビ東京系、月曜午後11時6分〜)、森迫永依と前田公輝が共演する『もう1度夫婦になりますか?〜カモフラージュ夫婦〜』(日本テレビ系、月曜深夜0時24分〜)、早見あかりと伊藤健太郎がダブル主演をする『一緒にごはんをたべるだけ』(テレビ東京系、木曜深夜0時〜)、北乃きいが主演を務める『未婚詐欺 私の知らない彼の顔』(MBS、木曜深夜0時59分〜)など、不倫が絡む作品がズラリと並んでいる。

オワコンと揶揄されるのに量産されるワケ

ミステリーやラブコメのように、ドラマ界にすっかり定着したジャンルになった不倫ものだが、視聴者からの反応は良いものばかりではない。

不倫ドラマばかりが並ぶ現状に対してドラマファンから「また不倫ものか……」「サレ妻の復讐劇、何回目だよ」「オワコン。視聴者を舐めすぎ」などと揶揄される声が聞こえてきている。また、最近は高視聴率をマークする作品も少ない。

それなのになぜ、テレビ局側は不倫ドラマを量産し続けるのだろうか?

前編記事『篠田麻里子と伊藤健太郎を蘇らせた「オワコン」と揶揄される「不倫ドラマ」が減らないウラ事情』に続き、不倫コンテンツ量産の裏側に迫る。

主婦がこっそり、背徳感を抱きながら…

ドラマライターとして活動するC氏は、昨今の不倫ドラマ量産の背景をこう語る。

「今のドラマは“いかにSNSでバズらせるか”。ヒューマンドラマやラブコメに比べると、不倫ドラマは視聴者の予想を裏切るような驚く展開や次回への惹きを容易に作りやすいので、こんなにも量産が続いているんでしょうね。

不倫相手が実は身近な人物だったり、妻が復讐のために想像を絶する行動に出たりする衝撃シーンや強烈なセリフなどはSNSの切り抜き動画として拡散されやすく、それがさらなる視聴者を呼ぶという好循環を生み出している。

ヒットした『夫の家庭を壊すまで』も、松本まりかさんの鬼気迫る表情と独特なセリフ回しがSNSで話題になってから、一気に視聴者が増えましたから」

また、C氏は、視聴率は芳しくなくても「配信の数字が取れる」というのが不倫ドラマの大きな特徴と言う。

「スマホやタブレットを使って動画を消費するようになったことは大きいでしょうね。その流れから深夜ドラマをリアルタイムで見るのではなく、見逃し配信で見るという視聴スタイルが定着した。不倫コンテンツの場合、視聴者はやはり女性が多い。

以前、夫や子供がいる主婦から『スマホで1人こっそりと視聴するという行為自体に背徳感を抱きながら観ています』といった感想をもらったことがあると、キー局のプロデューサーから聞きましたよ。それだけ、女性・主婦層の関心を惹く題材なのです」

深夜枠で不倫ドラマを手掛けたこともある若手脚本家・D氏からはこんな意見もあった。

「不倫ドラマって、脚本家にとっても書きやすいジャンルなんです。夫や妻のどちらかが悪いといった見せ方を避けて、お互いの言い分や悲惨な過去を用意すれば、容易に対立構造を作れてしまう。インパクトのあるセリフも、凝ったモノよりは分かりやすくベタなモノでいい。

なので、作業や打ち合わせの負担が少なく、ギャラの安い若手作家に依頼が来ることも多い。脚本面でも不倫ドラマは低コストで済む、都合のよいジャンルなんです」

プロデューサーから実体験を聞くことも

そんなD氏は、不倫ドラマが減らない理由を別角度からも指摘してくれた。

「テレビ業界や芸能界は、一般社会に比べて不倫や浮気といった出来事が身近な環境にある。これも大きな理由だと私は思っているんですよ。

放送枠だけが決まっていて内容がまだ白紙のドラマ企画会議に出席すると、プロデューサーたちと不倫や恋愛ゴシップにまつわる雑談で盛り上がることが多々ありますから。日々そういったゴシップに触れている業界人にとって、不倫はいまだに興味深いテーマなんだと思います」

D氏からは、さらに生々しい話も飛び出した。

「テレビマン自身が不倫していることもありました。私が不倫ドラマを執筆したときも生々しいエピソードをプロデューサーやディレクターの実体験から採用しましたから。まあ、そのリアルさが視聴者を引き込んだのかもしれませんが……」

不倫ドラマの乱発はいつまで続くのか

「オワコン」と揶揄される不倫ドラマばかりが続いている背景には、配信ビジネスへの依存、制作費の削減、俳優・局側ともに利益が一致するキャスティングなど、複数の要因が重なり合っているようだ。

では、今後はどうなるのか。

テレビ局の制作費削減や配信依存が一層高まることは間違いない。また、縦読みで配信されている不倫マンガとのパイプもより深くなってきており、少なくとも数年以内に不倫ドラマが激減する可能性は極めて低いだろう。

本物志向のドラマファンの嘆きはしばらく続きそうだ――。

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