日本バスケ界の頂点に立った司令塔・熊谷航「173センチでも戦える」 3度の骨折もほぼ全試合出場、タフネスの秘密は“実家の温泉”
男子プロバスケットボール・Bリーグで初優勝を果たした長崎ヴェルカ。「超攻撃的バスケ」でコートを支配し、日本バスケ界の頂点へと駆け上がった熊谷航(30)が地元・大分に凱旋した。身長173センチと小柄ながら、3度の鼻骨骨折にも屈せずほぼ全試合に出場したタフネスの源泉は、どこにあるのか。さらなる飛躍を誓う熊谷の素顔に迫る。
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鼻骨3度折るもほぼ全試合出場
熊谷は、大分県別府市出身の国内屈指のポイントガードで、今シーズンから長崎ヴェルカに入団。チームは創設5年で日本バスケット界を駆け上がり、B1初優勝を果たした。
1試合平均得点数のリーグ記録を塗り替える「超攻撃的バスケ」をけん引したのが、この熊谷である。
3度の鼻骨骨折に耐え、2メートル級の巨漢に肉体をぶつけ続けたタフネスの源泉はどこにあるのか。優勝決定戦の激闘を終えたオフ、地元に帰省した熊谷に話を聞いた。
梅徳アナ:
「私は大学までずっとバスケットをしておりまして、今この距離感で熊谷選手がここにいるっていうのがもう夢のようで緊張しています。チャンピオンシップは全部観ました」
熊谷:
「本当ですか!ありがとうございます。1年間優勝するためにずっと準備してきました。特にファイナルは1万3000人を超えるような人が来たので、あの高揚感と緊張感というのは、普段の生活では味わえないと思います」
高校からバスケ留学…173センチでも躍動
バスケットボール一家で育った熊谷は中学校を卒業後、地元を離れて群馬県の前橋育英高校に進学した。
高校、大学で年代別日本代表に選ばれ、大東文化大学4年でB1・三河に特別指定で入団。1年目から41試合に出場して新人ベストファイブを獲得すると、B1の信州、秋田でも主力として活躍した。
2025-26シーズンからはB1・長崎に移籍し、173センチと小柄な体格ながら、圧倒的なスピードや卓越した技術を武器に超攻撃的バスケをけん引した。
熊谷:
「スピードと、ディフェンス。このサイズでこの舞台でできるというのは、なかなかいなかったと思うので。身長が小さい子どもでも、こういうプレーをすれば、プロになれるかもしれないという気持ちになってもらえればと思います」
「夢のあるスポーツになった」
日本バスケの最高峰・Bリーグは、かつて「大分ヒートデビルズ」などが参加していたbjリーグなどをベースに2016年にスタート。
音楽や照明を使った派手な演出が人気を呼び、全国55クラブが争った今シーズンは、過去最多となる500万人以上の入場者数を記録、リーグと全クラブの事業規模をあわせると965億円にのぼる。
熊谷:
「Bリーグができて10年が経ったんですけど、本当にここ数年はすごい盛り上がりになっています。小学校のときに大分県にもチームはあったんですけど、本当に夢のあるスポーツになってきたと思います」
「好きになる、上手くなる」毎年バスケ教室
熊谷は、地元で毎年のようにバスケット教室を開いている。今年も大分市・クラサス武道スポーツセンターで小中学生124人に技術を惜しみなく伝授した。
1対1のディフェンスでどう腕を出すか、ボールを出させないか。ドリブルではどこでボールをつけて足をどこに出すか。実演を交えながら指導した。
熊谷:
「バスケットを一緒にする時間は短かったですけど、まず好きになる、上手くなる、負けない気持ち、そういった心構えを伝えたいです」
相手に向かっていく闘志はプレーで体現している。
「身長以上に大きく見える」体癒す実家の温泉
身長は173センチとチームでも最も小柄だが、相手の2メートル級外国人フォワードにも積極的に体をぶつけながらディフェンスが持ち味。今シーズン鼻骨を3度折りながらも、ほぼ全試合となる57試合に出場した。
モーディ・マオール前ヘッドコーチは「身長以上に大きく見える。私がとても好きな選手」と評価している。
熊谷:
「ストレッチは入念にしています。家では必ず湯船につかりますね。実家に温泉があるので小さいときから入ってましたから、別府ならではですかね(笑)」
父・浩孝さんによれば、熊谷は帰省すると、どんなに時間が遅くても実家敷地内の温泉につかるという。
別府市内では自宅に温泉を引いている家庭も珍しくはないが、故郷の湯で体を休めてコートに立つことで、そのタフネスは力強さが増しているのかもしれない。
「連覇狙えるのはヴェルカだけ」
Bリーグは創設10年を節目に、今年9月からトップカテゴリを「Bプレミア」へとさらに事業規模を拡大する。
熊谷は連覇、そして初代Bプレミア王者を目指すチームで、さらなる飛躍を誓った。
熊谷:
「連覇を狙えるのはヴェルカだけですから。今シーズンはけが無く全試合出場して優勝を目指したいです。また、大分県出身としてプレーして、教室に来てくれた子どもたちが少しでもうまくなったり、試合を見に来てくれたりしたらうれしいですね」
柔らかい笑顔の奥に燃える闘志で、常勝軍団へと進化するチームをけん引する姿は、故郷のバスケを愛する人の心を今年も打つだろう。

