13人目の「殿堂入り」国枝栄元調教師が担当馬の好調に手応えあり
1978年に競馬界に入り、1989年に調教師免許を取得。以来、アパパネ、アーモンドアイという2頭の三冠牝馬をはじめ、多くの名馬を育てた国枝栄氏。今年2月に定年を迎え、厩務員として新たなスタートを切った氏が、華やかで波乱に満ちた競馬人生を振り返りつつ、サラブレッドという動物の魅力を綴る「週刊ポスト」のコラム連載「人間万事塞翁が競馬」。今月は担当馬たちが好調だった。
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この度「中央競馬の発展に特に貢献があった」ということでJRAより顕彰されることになった。いわゆる「殿堂入り」で、肖像画などが競馬博物館に展示されることになるという。長年競馬、そして馬に携わって来たことが顕彰者に選出という形で認められたのは大変にありがたく光栄だ。
調教師としては13人目だそうで、身が引き締まる思いだ。応援していただいた馬主さん、厩舎スタッフ、JRA、競馬ファン、理解してくれた家族、そして一生懸命に走ってくれた馬たちに心より感謝したい。
今回騎手部門ではマサヨシ(蛯名正義調教師)が顕彰された。「アパパネコンビ」での同時選出も嬉しいのだが、楽しみなのは顕彰者選定記念の「レジェンドトレーナーカップ」というレースを施行してくれるということ。表彰式ではプレゼンターを務めるのだが、自分の担当馬が出られるといいなあと密かに思っている(笑)。
6月13日(土)、14日(日)は私が担当する2頭の他、小島茂之厩舎の2頭が出走。13日の朝4時半に4頭を載せた馬運車で、もう一人の厩務員と美浦トレセンを出発、2時間ほどで東京競馬場に到着。軽く引き運動をして、まずはトクちゃんことトクシーカイザーが10レース3勝クラスのダート1600m夏至ステークスに臨んだ。
前回は競馬場に着いてから少しナーバスになっているように感じたが、この日は走る気十分といった活発さで、パドックでは前の馬を追い越しそうな勢い。9番人気で単勝40倍を超えていたが、今度は何かやってくれそうな気がした。連続騎乗なのにパドックまで出てきてくれた菊沢一樹騎手には「菊ちゃん、元気がいいよ」と声をかけた。
レースでは好スタートからハナを奪ってマイペースで逃げを打った。ペースもさほど速くなく直線に入っても手ごたえ十分、「なかなか差が詰まらない!」という場内アナウンスにスタンドもざわついている。私は検量室でモニターを観ていたので大騒ぎするわけにもいかなかったが、思わず「行け! 行け!」。ゴール100mほど前で勝ち馬にかわされたもののなんとか2着に粘ってくれた。
レース後は他の厩舎関係者からも「惜しかったですね」と声をかけてもらったけど、やっぱり「今度とお化けは出ない」もんだな。
翌日は4レースのダート1400mでトゥザファイナルがデビュー。初めての競馬場だったが戸惑ったり、他馬を気にしたりすることもなく落ち着いていて大物感があった。大跳びの馬なのでコーナーを回る時も膨れ気味、直線では左手前のままだったが、それでもいい脚を使って3着。能力はしっかり感じられたので、もう少し距離があれば勝ち上がれるのではないかと思う。
この日は5レースの新馬戦でも、私が乗ったことのある僚馬ニースケンスが2着。新馬戦の出だしが好調だと厩舎が活気づく。
※週刊ポスト2026年7月10日号
