スポーツ紙も文部科学省もだまされる「国際信州学院大学」から学ぶリテラシーの重要さ
16日に国際信州学院大学の公式サイトが、入試に関するおわびを掲載。大正8年度に実施した試験において出題ミスが判明し、追加の合格者がいると告知した。ドイツ語をベースにした設問において「問題文が成立しない事象」が発生したとのことで、大学側は再発防止に取り組むとコメントしている。
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この声明において一番注目すべき点は、約100年前に出された問題に関するミスが判明したことではない。この大学そのものが存在しないという点だ。
この大学が誕生したのは、2ちゃんねるを構成する掲示板の一つ「ニュー速VIP(ニュース速報VIP板)」がきっかけだ。「架空の〇〇を〇〇して〇〇しようぜ」という掲示板特有のミームが存在しており、2018年に「架空の大学作って受験生釣ろうぜ」というテーマのもと、同大学の設定が構成されていった。
この手のスレッドは、現実にはあり得ない設定などを盛り込んでいき、皆で面白がることを主目的としているのだが、国際信州学院大学という大学名、長野県安雲野市にキャンパスがあるなど、非常にリアリティーのある設定が次々決まっていく。最終的には今回おわびを発出した公式サイトなども作られ、実在してもおかしくない大学が誕生した。
このお詫びを取り上げてしまったのが、スポーツニッポンのWeb版「スポニチアネックス」だ。出題ミスが発覚して謝罪という情報をそのまま受け取り、Yahoo!ニュースやMSNといった提携ポータルサイトにも記事を配信してしまったのだが、1時間程度で記事を削除した。
本稿執筆時点では、スポニチ側から記事配信に関する訂正やおわびは配信されていない。一方、ライバルともいえる日刊スポーツは、配信された情報を「ネタ」だと前置きした上で、おわび文を紹介していた。
文部科学省のアンケートに「付属高」
国際信州学院大学の存在にだまされたのはスポニチだけでない。文部科学省が4月に公開した資料の中には、私立国際信州学院大学付属高校という、大学の公式サイトにも登場しない架空の高校が登場している。文科省が高校生に対して行ったアンケートの中に、学校名を書くよう促す項目があり、ここに実在しない高校名を記載したものと思われる。
面白いフェイクニュースや風刺を掲載するサイト「虚構新聞」とは違い、国際信州学院大学のWebサイトはだますことを目的の一つにしたサイトでもある。悪意が全くないというわけでもないが、学校行事に「バレンタイン中止を求める学生運動」があったり、歴代学長の設定が徐々に雑になったりと、大学の存在がうそであることを示唆するヒントはちりばめられていた。
逆に、悪意を全開にして人をだまそうとするのが、フィッシングサイトなどの詐欺サイトである。今回は架空の大学なので深刻な事態にはならなかったが、実在する企業や団体などの名前をかたったサイトのコメントを拾って報じてしまえば、媒体の信頼が失墜するだけでなく、存続にもかかわる深刻な問題に発展する恐れがある。
「インターネット上には虚構情報も多くあります。架空の情報に騙されないようご注意ください。」国際信州学院大学のとあるページには、このような一文も掲載されている。
文/池田聖人 内外タイムス編集部
