「がんになりにくい人」は食べている? 研究者が注目する“長生き成分”とは
「がんを防ぐために何を食べればいいのか」――気になっている人も多いのではないでしょうか。
近年は、“細胞の老化”や免疫機能と関わる「ポリアミン」という成分が、がん研究の分野でも注目されています。動物実験では、ポリアミンを多く含む食事が、がんや慢性炎症と関係する可能性も報告されています。
この記事では、『あなたの中でいつの間にか進んでいる「老い」に負けない食事術』(松藤千弥/アスコム)から抜粋して、ポリアミンとがんの関係について紹介します。
○ポリアミンとがんの抑制
元・自治医科大学の早田邦康さんらの研究グループは、科学誌『PLoS One』で、ポリアミンと発がんの関連を示唆する動物実験の結果を報告しています。
大腸がんを人工的に誘発する薬剤を用いたマウス実験では、ポリアミンを多く含むエサを与えた群で腫瘍の発生率が低下していました。
また、ポリアミンを多く含むエサを与えると、加齢に伴って生じるメチル化の乱れが抑えられることも観察されました。
研究チームは、このメチル化状態の安定化が、がんの発生率の低下と関連している可能性を考察しています。
DNAのメチル化は、エピジェネティクスの仕組みのひとつで、遺伝子のはたらきを正常に保つために必要です。
メチル化のバランスが乱れると、腫瘍抑制遺伝子のはたらきが弱まり、がんの発生につながることがあります。
この研究は、ポリアミンが発がんを抑える仕組みの一端を示すものとして注目されます。
がん細胞と戦う「がん免疫」とポリアミンの関係について、最後に紹介します。
京都大学の茶本健司(ちゃもとけんじ) さんらの研究チームは、2022年、権威のある科学誌『Science』に、がんと戦うために重要な免疫細胞「T細胞」のはたらきにポリアミン(スペルミジン)が欠かせないことを発表しました。
老化によりT細胞による免疫のはたらきが鈍くなり、がんの発症率が上がることは知られていました。
この研究では、年をとったマウスのT細胞(厳密には細胞障害性T細胞)では、スペルミジンの濃度が若いマウスのT細胞よりも低くなっていることを報告しています。
また、老化マウスではがん治療法の一つである「PD - 1阻害抗体治療」が効きにくくなっていましたが、スペルミジンを補うとがんに対する免疫力が回復することが示されました。
PD - 1阻害抗体治療とは、同研究チームの本庶佑(ほんじょたすく)さんらが開発した治療法で、がん細胞が体の免疫システムを抑えるのを防ぎ、T細胞が、再びがん細胞を攻撃できるようにするものです。
この研究で、2018年に本庶さんは、ノーベル医学・生理学賞を受賞しています。
ポリアミンが「がん治療」に貢献する……。
30年前には誰も想像しなかった新しい展開です。
もちろん、がんはとても複雑な病気で、絶対的な「予防法」は存在しません。
それでも、細胞の健康を保つことが将来のリスクを減らす第一歩になるのは間違いありません。
日々の食事の中で、ポリアミンを意識的に取り入れることが、結果的にはがんを遠ざけるライフスタイルにつながるのかもしれません。

○『あなたの中でいつの間にか進んでいる「老い」に負けない食事術』(松藤 千弥/アスコム)
私たちの体は歳を重ねると、細胞レベルで少しずつ衰えていきます。これは誰にも避けることのできない変化です。ですが、その進み方は、日々の習慣によって大きく変えることができます。そして今、その細胞の衰えに働きかける成分として注目されているのが「ポリアミン」という長生き成分です。本書では、ポリアミン研究の第一人者が40年にわたる研究からたどり着いた『細胞の衰えをゆるやかにする食事術』『無理なく続けられる、日常の食べ方の工夫』を、誰でも実践できる形で紹介します。
近年は、“細胞の老化”や免疫機能と関わる「ポリアミン」という成分が、がん研究の分野でも注目されています。動物実験では、ポリアミンを多く含む食事が、がんや慢性炎症と関係する可能性も報告されています。
この記事では、『あなたの中でいつの間にか進んでいる「老い」に負けない食事術』(松藤千弥/アスコム)から抜粋して、ポリアミンとがんの関係について紹介します。
元・自治医科大学の早田邦康さんらの研究グループは、科学誌『PLoS One』で、ポリアミンと発がんの関連を示唆する動物実験の結果を報告しています。
大腸がんを人工的に誘発する薬剤を用いたマウス実験では、ポリアミンを多く含むエサを与えた群で腫瘍の発生率が低下していました。
また、ポリアミンを多く含むエサを与えると、加齢に伴って生じるメチル化の乱れが抑えられることも観察されました。
研究チームは、このメチル化状態の安定化が、がんの発生率の低下と関連している可能性を考察しています。
DNAのメチル化は、エピジェネティクスの仕組みのひとつで、遺伝子のはたらきを正常に保つために必要です。
メチル化のバランスが乱れると、腫瘍抑制遺伝子のはたらきが弱まり、がんの発生につながることがあります。
この研究は、ポリアミンが発がんを抑える仕組みの一端を示すものとして注目されます。
がん細胞と戦う「がん免疫」とポリアミンの関係について、最後に紹介します。
京都大学の茶本健司(ちゃもとけんじ) さんらの研究チームは、2022年、権威のある科学誌『Science』に、がんと戦うために重要な免疫細胞「T細胞」のはたらきにポリアミン(スペルミジン)が欠かせないことを発表しました。
老化によりT細胞による免疫のはたらきが鈍くなり、がんの発症率が上がることは知られていました。
この研究では、年をとったマウスのT細胞(厳密には細胞障害性T細胞)では、スペルミジンの濃度が若いマウスのT細胞よりも低くなっていることを報告しています。
また、老化マウスではがん治療法の一つである「PD - 1阻害抗体治療」が効きにくくなっていましたが、スペルミジンを補うとがんに対する免疫力が回復することが示されました。
PD - 1阻害抗体治療とは、同研究チームの本庶佑(ほんじょたすく)さんらが開発した治療法で、がん細胞が体の免疫システムを抑えるのを防ぎ、T細胞が、再びがん細胞を攻撃できるようにするものです。
この研究で、2018年に本庶さんは、ノーベル医学・生理学賞を受賞しています。
ポリアミンが「がん治療」に貢献する……。
30年前には誰も想像しなかった新しい展開です。
もちろん、がんはとても複雑な病気で、絶対的な「予防法」は存在しません。
それでも、細胞の健康を保つことが将来のリスクを減らす第一歩になるのは間違いありません。
日々の食事の中で、ポリアミンを意識的に取り入れることが、結果的にはがんを遠ざけるライフスタイルにつながるのかもしれません。

○『あなたの中でいつの間にか進んでいる「老い」に負けない食事術』(松藤 千弥/アスコム)
私たちの体は歳を重ねると、細胞レベルで少しずつ衰えていきます。これは誰にも避けることのできない変化です。ですが、その進み方は、日々の習慣によって大きく変えることができます。そして今、その細胞の衰えに働きかける成分として注目されているのが「ポリアミン」という長生き成分です。本書では、ポリアミン研究の第一人者が40年にわたる研究からたどり着いた『細胞の衰えをゆるやかにする食事術』『無理なく続けられる、日常の食べ方の工夫』を、誰でも実践できる形で紹介します。
