習近平氏、北朝鮮氏に寄稿「中朝関係は戦略的高みへ」…非核化には触れず
中国の習近平国家主席が8日付の北朝鮮・朝鮮労働党機関紙「労働新聞」に寄稿し、「伝統的な中朝親善の新たな章を引き続き築こう」と呼びかけた。
習氏は同日から北朝鮮を訪問する予定で、寄稿は、首脳会談後の共同宣言の内容を予告するものとも読める。文中では中朝関係を「高い水準の戦略的協力」と位置付け、両国の軍や党を含む幅広い交流拡大を訴えた。一方で、中国外交が長年掲げてきた朝鮮半島の非核化には一切言及せず、北朝鮮の核問題をめぐる中国の姿勢変化をうかがわせる内容となった。
寄稿文の冒頭で習氏は、「中朝友好協力相互援助条約」締結65周年を迎えたことに触れ、「金正恩総書記の招請により、まもなく朝鮮を国賓訪問する」と表明した。2019年以来7年ぶりの訪朝となる。
習氏は「私は近年、金正恩総書記同志と6回会談し、緊密な戦略的意思疎通を維持してきた」と強調。「中朝関係という大きな船は必ず風を受け、波を切って前進する」と述べ、両首脳の個人的信頼関係を前面に押し出した。
注目されるのは、「戦略」という言葉が繰り返し用いられている点だ。習氏は「中朝関係を戦略的な高さで捉える」「戦略的意思疎通を深化させる」「高い水準の戦略的協力」と述べ、従来の友好関係を超えた政治・安全保障協力の強化を示唆した。
さらに、「党と政府、軍隊の間で各部門・各レベルの意思疎通と交流を強化する」と明記したことも目を引く。訪朝期間中に軍事協力や安全保障分野での協議が行われる可能性をうかがわせる。
一方で、寄稿文には「非核化」や「核問題」といった表現は見当たらない。中国はこれまで朝鮮半島非核化を外交方針として掲げてきたが、今回の寄稿では北朝鮮の核開発問題に直接触れることを避けた。先に金与正朝鮮労働党総務部長が「非核化は誰とも議論しない」と表明したばかりであり、中国側も今回の訪朝では核問題よりも戦略的関係強化を優先する姿勢を示した形だ。
また習氏は、「国家主権、安全、発展利益を守ることを断固支持する」と表明し、「国際社会の公平と正義」「国連を核心とする国際秩序の擁護」などにも言及した。米中対立が長期化し、ロシアと北朝鮮の軍事協力が急速に深化するなか、中国としては北朝鮮との伝統的な同盟関係を再確認し、自国の影響力を改めて誇示する狙いがあるとみられる。
特に寄稿文では、「血で結ばれた戦闘的親善」「運命を共にする社会主義隣邦」といった歴史的な表現が多用された。北朝鮮がロシアとの包括的戦略パートナーシップ条約を締結し、ウクライナ戦争への派兵まで行った後だけに、中国が「中朝関係こそが北朝鮮外交の根幹である」と内外に示そうとする意図が透けて見える。
習氏の訪朝は、中朝友好条約65周年を祝う象徴的行事にとどまらず、中国とロシアの双方を後ろ盾として外交空間を広げる金正恩政権に対し、中国が改めて存在感を示す舞台となりそうだ。
