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 ◇NTTジャパンラグビーリーグワン1部プレーオフ決勝 神戸22―13東京ベイ(2026年6月7日 東京・MUFG国立)

 プレーオフ決勝が行われ、レギュラーシーズン1位の神戸が同3位の東京ベイを22―13で下し、5季目のリーグワンで初優勝した。2度制した前身のトップリーグを含めれば、18〜19年度シーズン以来、7季ぶりの頂点。1ゴール5PGを決めて両チーム最多の17得点を挙げて勝利に貢献した共同主将の日本代表SO李承信(25)が、本紙に独占手記を寄せた。

 神戸の歴史をつくりたいと思っていたので、本当に良かったです。レンズ(レニーHCの愛称)の体制になって3シーズン目で、ようやく自分たちの目指すべきラグビーに対して、一人一人が役割を理解して遂行できるチームになれたかなと。自分たちの強みが何かを理解しながら、毎週の試合で成長を積み重ねてこられた。本当に充実したシーズンを送ってこられたと思っています。

 レンズの就任当初はやっぱり、いろんなギャップがありました。簡単に言えば、ここまで役割が細かく振り分けられてシステムがあるラグビーの経験はあまりなくて、自分としても初めてだった。スタッフから求められるレベルも明らかに数年前とは全く別ものだったけど、逆に言えば、目指すべきラグビーを遂行できれば結果はついてくる、チャンピオンになれるなという手応えもあった。イージーなミスで試合を落としたり、接戦で勝ちきれないこともあったけど、今季は本当にタフなゲームを勝ちきれるようになった。最初のシーズンから成長してきた部分です。

 今シーズンの大きなポイントとなったのは、連勝が「10」で途切れた第12節のキヤノン(横浜)戦の敗戦。あの試合は、明らかにキヤノンの方が必死でした。マインドセットやメンタリティがラグビーにどれだけ重要かということを再認識したし、あの試合が終わった後の週明けに行われたチーム全体のミーティングで、一人一人のマインドセットがどうだったのかを振り返りました。ゲームメンバーは試合に向かうまで正しいレベルで準備ができていたのか。ゲームに関わってないノンメンバーには、もっと普段からゲームメンバーのマインドセットやスキルの精度にプレッシャーをかけてくれれば、それがゲームにつながるということも話せました。このチームで優勝するために何が必要なのかを共有できた。そこから毎週、しっかりと試合にフォーカスできた。レギュラーシーズンを1位で通過できたのは、あの試合の学びが大きかったと思います。

 個人のプレーに関しては、一貫性を持ってできている手応えはあります。特にアタックに関してはリーダーなので、この3シーズン、チームが目指すラグビーを誰よりも理解して、リードしたいという思いでやってきた。ゲームマネジメントやキックのマネジメントでは、日本代表での経験も生かせている。コンディション面に関しては、正直、100%ではないです。両足のアキレス腱の痛みが3、4年前から続いていて、代表でも、練習をコントロールしながら試合だけ出るという週もありました。自分の体感では、状態としては70%から80%ぐらい。それでも、頭はクリアに落ち着いてプレーできているし、年齢的にはまだ若いつもり。試合を経験することが一番の成長材料になると思っているので。プレーできる範囲だし“できる状態であればプレーしたい”という思いで戦ってきました。

 この神戸というチームに対しては思い入れがあります。大阪朝鮮高から帝京大に進学して、なかなか自分の成長を感じられないというか、今のままじゃ自分が目指すべきラグビーができない、結果を残せないと感じるようになり、理想と現実のギャップが出てきた。大学を中退して、ニュージーランドにラグビー留学をしようと考えたけど、ちょうどコロナ禍の時期と重なって留学のプランはキャンセルになりました。

 どうしようもなくて、実家の近くの公園に行って1人で練習して、近くの体育館にあるジムに行って…というサイクル。その時に、中学の兵庫県ラグビースクールで教えてもらっていた福本正幸さん(元神戸チームディレクター)に声を掛けてもらって、練習場所として灘浜グラウンドを提供してもらい、最終的には神戸に入団させてもらった。福本さんとチームマネジャーの藤高之さんがいなかったら、今の自分のラグビーキャリアはなかった。自分を拾ってくれて、受け入れてくれて、ここまで成長させてくれたクラブのために恩返ししたいという思いは常に持っていました。

 入団してから最初はついていくだけで必死だったし、毎日、ロッカールームに入るのも緊張していた。前川鐘平さんや山中亮平さん、橋本大輝さんらがいる中で、プレッシャーというか、そういう人たちからパスをもらうのも“ちょっと怖いな”ぐらいで。でも、その中でどれだけ学んで成長できるかを意識していた。毎日、練習終わりに映像を見てノートを書いたり。環境に慣れてからは、神戸のラグビーがどういうものなのかを学びながら、その中でどう自分の強みを生かすかを考えてきた。10番でプレーするようになったのは神戸に入ってから。帝京でも一度したことがあったけど、新しいポジションでの学びは新鮮でした。

 神戸というのは、自分の生まれ育った街でもあります。個人的には、この神戸という街の雰囲気や景色、人々というのが大好きで、自分を育ててくれた街でもある。憧れでもあったスティーラーズで今、自分が主将を務めている。神戸のチームが優勝するというところに自分は昔から憧れや夢を持っていた。街や自分に関わってくれた人々のために優勝した姿を見せたいなと思ってきたし、チームに対する思いが誰よりも強いというのを証明したいと思ってきました。

 今年もチームとして「阪神淡路大震災 1・17のつどい」に参加しました。当時のことを継承していかないといけない、忘れてはいけないという思いが強いです。それと同時に“この街のシンボルとしてスティーラーズが勇気づけたい”というところに自分自身、モチベーションを感じるし、誇りにも思っています。自分が生まれ育った神戸という歴史ある街で、こうやって自分が大好きなラグビーで神戸に恩返しができる。そこに感謝したいです。

 今年の3月には結婚しました。朝鮮学校で一緒に育ってきた幼なじみで、交際を始めたのは数年前ですけど、お互いに支え合ってきました。奥さんも保育士をしていて忙しいけど、栄養士の方からアドバイスをもらったりしながら食事面のサポートなどをしてくれている。ラグビーに集中できる環境をつくってくれているので、そこに対する感謝は大きいです。何より、自分は朝鮮学校出身で、自分のルーツや神戸でラグビーをすることを大事にしてきた。それを理解してくれて、凄く応援してくれていることが自分の支えになっています。

 リーグワンが終わって、これからは代表活動が始まります。W杯で結果を残すことが、今の自分にとって一番大きな目標。現状に満足せず頑張っていきたいです。(神戸SO)