成長停滞や赤字に苦しむ中小エンタメ企業を囲い込む思惑は……

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SBIホールディングスが「感情経済圏」の構築を掲げ、2026年5月19日に「SBIネオメディア・サミット」を開催しました。メディアやアニメ、ゲームなどのエンタメ産業に、金融業と暗号資産などのデジタル技術を掛け合わせ、経営合理化や顧客基盤の拡大を図るというもの。しかし、この話を聞いてもSBIの事業内容とエンタメ産業の結びつきが弱いようにも感じ、あまりピンとこない人も多いのではないでしょうか。その狙いについて解説します。
◆北尾氏のトップ就任が感じさせる本気度

大前提として、日本のエンタメは有望な産業です。2023年の日本発のコンテンツの海外売上は5.8兆円で、10年で3倍に成長しました。その規模は自動車産業に次ぐものであり、半導体産業や鉄鋼産業の輸出額を今や超えています。日本政府はコンテンツ産業を基幹産業と位置づけ、2033年の海外売上高の目標を20兆円としました。コンテンツ産業において、特に注目されているのが映画などの映像、アニメ、ゲーム、出版、音楽です。

SBIは2026年4月に官民ファンドの海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)と共同で日本のエンタメ・コンテンツ分野に特化した共同のファンドを設立しました。総額125億円規模のファンドで、日本のコンテンツの海外展開の促進を目的としたもの。クールジャパン機構は100億円を拠出しています。

これに先立つこと1年ほど前の2025年5月、SBIはネオメディア生態系の構築を目指す子会社SBIネオメディアホールディングスを設立していました。代表取締役会長は、グループのトップを務める北尾吉孝氏。北尾氏が子会社の経営トップに就任したことからも、力の入っている様子が伝わります。

◆年間250億円のマーケティング費用を集約

SBIはエンタメ企業への出資を加速させています。2022年12月にゲーム開発のgumi、2025年9月に「旅色」などのメディアを手がけるブランジスタ、2026年3月に「東京ガールズコレクション」の運営会社W TOKYOなどに出資をしています。

その後も立て続けに出資を決めており、「ツイキャス」のモイや「ライブドアニュース」を傘下に持つミンカブ・ジ・インフォノイド、アニメ「超かぐや姫」などを制作したツインエンジンとも資本提携しました。VTuberマネジメント事務所「ぶいすぽっ!」のBrave groupとも戦略的提携に向けて協議・検討を行なったと発表しています。

SBIはネオメディア生態系の企業間シナジーを活かし、送客力を高めるという青写真を描いています。例えば、生態系内にあるIPやタレントのメディアミックス展開が可能であり、タレントキャスティング、SNSなどのプロモーションを行うこともできます。IPの影響力を拡大することができるのです。

また、グループの主要30社を調査した結果、広告・マーケティングコストは年間約250億円に上ると言います。SBIネオメディアホールディングスで案件を取りまとめ、代理店に一括発注することで、運用コストを下げることができ、スケールメリットを享受できるとも説明しました。

◆少額出資では関与するにも限度がある

SBIが出資した会社の中には、成長に一服感が漂っているところもあります。例えば、「ツイキャス」のモイは2026年1月期の売上成長率が1.5%でした。売上はほぼ横ばい状態が続いており、上場前後の勢いは失われています。ミンカブ・ジ・インフォノイドのメディア事業も、2026年3月期は2割を超える減収でした。

日本のコンテンツ産業は成長している一方、それを支えているのは中小企業やスタートアップが中心。独自の力で成長を続けることにも困難が伴います。ネオメディアの生態系に入ることで、新たなビジネスの創出に繋がるかもしれません。