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欧州にテコ入れ 新計画発表

フォードは、2029年までに欧州で5車種の新型車を発売し、「攻勢」に出る構えだ。ラリーの伝統を活かし、同地域における販売向上を目指す。

【画像】欧州で大人気だったコンパクトハッチバック【フォード・フィエスタを詳しく見る】 全30枚

新型車は小型のBセグメントおよびCセグメントに位置づけられ、「マルチエネルギー」SUV、電動ハッチバック(フィエスタ後継の可能性あり)、ルノーのプラットフォームを採用するクロスオーバー、さらに2車種のマルチエネルギー・クロスオーバーが計画に含まれる。


欧州での販売回復を目指し、新たに5車種を展開する。    フォード

また、新たなピックアップトラック『レンジャー・スーパーデューティ』も発表した。先日公開されたバン『トランジット・シティ』と共に、商用車ラインナップの一角を担うことになる。

フォードは『フィエスタ』や『フォーカス』といったモデルで数十年にわたり欧州の販売ランキングを席巻してきたが、近年は市場シェアが低迷している。その一因として、両モデルの生産を打ち切り、ドイツのケルン工場をフォルクスワーゲン・グループのプラットフォームを採用した電動SUV『エクスプローラー』と『カプリ』の生産に転換したことが挙げられる。

欧州部門責任者であるジム・バウムビック氏は、同地域へのコミットメントを示し、「単に競争するだけでなく、勝利を目指して戦います」と誓った。

「Ready Set Ford」と呼ばれる新しいグローバル戦略では、競合他社との差別化を図れる「強み」のある分野に注力する。ラリーにインスパイアされたスタイリングやハンドリング特性を取り入れることで、走行性能の高さを強調する狙いだ。

米国以外でもブロンコシリーズ展開

新しい欧州ラインナップを牽引するのはコンパクトSUVだ。このモデルは「グローバル・ブロンコ・ファミリー」の一員であり、米国市場で大成功を収めている『ブロンコ』のスタイリングを踏襲する。

2028年以降、スペインのバレンシア工場で生産される予定であり、フォードのK2プラットフォームを採用すると見られている。


米国で人気のフォード・ブロンコ

これは、ブロンコを単一のオフロードモデルからグローバルブランドへと転換させる計画の一環だ。すでに米国では公道向けモデル『ブロンコ・スポーツ』が販売されており、中国市場向けには構造的に無関係の『ブロンコ・ニューエナジー』がEVおよびレンジエクステンダーとして販売されている。

バウムビック氏は、新型の欧州向けブロンコが米国モデルの伝統を継承しつつも、「欧州で生産され、欧州市場向けにサイズ設定される」と明言した。

フォードはまた、ルノーが生産する電動ハッチバックと電動クロスオーバーを2028年に発売する計画だ。これらのモデルはルノーのAmprスモール・プラットフォームをベースとし、ルノーが生産とパワートレインを担う。ただし、単なるバッジエンジニアリング車にはならず、スタイリングや走行性能はフォードが主導するという。

他社との提携関係を最大限に活かす

特に注目すべきは、「ラリー由来のデザイン言語」を採用すると表明した点だ。今後はスポーツ志向のセグメントに焦点を当てるものと思われる。

バウムビック氏は次のように語っている。


惜しまれつつも生産終了したフォード・フィエスタ

「(ルノーの)プラットフォームの柔軟性により、フォードならではのドライビングエクスペリエンスを注入し、差別化することができます。つまり、単に部品のリストを買っているわけではないのです」

「これは既存部品を寄せ集めて開発するような方式ではありません。世界クラスのプラットフォームとパートナー群の中から戦略的な選択を行い、それによって開発チームが最も得意とすることを実現するためのツールキットを手に入れるのです。そのツールキットを使って、独自の体験を創り出します。完全に異なる車両になることをお約束します」

新型の電動ハッチバックでは、『フィエスタ』の名を復活させる可能性がある。フィエスタがラリーで活躍してきた実績を考えれば、ふさわしいネーミングだろう。

新たなパートナーとの提携も?

また、マルチエネルギープラットフォームを使用し、2029年末までに「ラリー由来のクロスオーバーモデル」と称する2車種も発売する予定だ。これらのモデルがフォード社内で生産されるのか、あるいは他社との提携によるものなのかなど、詳細についてはまだ不明だ。

フォードは、フォルクスワーゲンやルノーとの戦略的提携の重要性を強調し、「欧州市場で競争する上で中核をなす」ものであり、開発期間の短縮やスケールメリットの拡大につながるとしている。

かねてより中国のジーリー(吉利汽車)との提携が噂されており、同社がフォードのスペイン工場に出資する可能性も浮上している。ボルボやポールスターを傘下に持つジーリーは、数多くのマルチエネルギープラットフォームを保有している。バウムビック氏は、フォードとジーリーの提携に関するメディア報道についてコメントを控えた。

ラリーの伝統は中国企業との差別化に

フォードは、5車種の新型車すべてが「ラリーの血を引く」としている。「スリルと冒険」と「コントロールと精度」を融合させるものだという。

近年、米国向けラインナップでも同様の戦略を採用している。ブロンコの復活、公道向けのブロンコ・スポーツ、そしてピックアップトラックの派生モデル『ラプター』のヒットを受け、フォードは「オフロード界のポルシェ」となることを目指してきた。


フォード・エスコート・ラリーカー

欧州でもラリーの経験を強みとして活かしていく方針だ。ある関係者はAUTOCARに対し、自社の伝統的な強みを打ち出して差別化を図ることが、中国の新興企業に対抗する鍵になると語った。

フォードは、『エスコート1800』、『エスコートRSコスワース』、『フォーカスWRC』、『フィエスタWRC』などのマシンで、世界ラリー選手権(WRC)で94勝と4度のマニュファクチャラーズタイトルを獲得している。

ラリーとのつながりは、これまでにも積極的に活用してきた。高性能モデルに与えられる「RS」のバッジは「ラリースポーツ」に由来するほか、電動SUV『マスタング・マッハE』のラリー仕様も販売している。今後はその伝統をさらに強調することになる。

商用車部門がサービス事業へ進出

商用車部門であるフォード・プロは、かねてより欧州事業における主要な利益源であり、今後はソフトウェアベースのサービス開発をさらに推進する方針だ。

今年第1四半期、フォード・プロの有料サブスクリプション数は30%増の87万9000件に達し、将来的には収益の25%をソフトウェアとサービスで賄うことを目標としている。


新型の商用車シリーズ、トランジット・シティ

また、中国企業JMCと共同開発した新型電動バン『トランジット・シティ』をはじめ、製品ラインナップも拡大する。

ピックアップトラックの『レンジャー』の新型としてスーパーデューティーモデルも発売する予定だ。緊急サービスや軍隊、林業や鉱業などの重工業での使用を想定している。最大4.5トンの牽引能力を持ち、積載量は約2.0トン、強化サスペンションとアンダーボディプロテクションを備えている。