PC上に自分専用のAIアシスタントを常駐させてパソコン操作やスマートフォン連携による様々な作業を自動化することができるAIエージェントのOpenClaw(旧Clawdbot)は、さまざまなタスクをコンピューター上でこなしてくれる一方で、パーソナルなタスクを任せるためにはコンピューター上の深いプライバシー情報へのアクセスを許可する必要があり、利便性とセキュリティ上のリスクがトレードオフとなっています。セキュリティ上の懸念を軽減するための策として、「Raspberry PiをOpenClaw専用デバイスとして運用する」という方法をRaspberry Pi開発チームのトビー・ロバーツ氏が解説しています。

Turn your Raspberry Pi into an AI agent with OpenClaw - Raspberry Pi

https://www.raspberrypi.com/news/turn-your-raspberry-pi-into-an-ai-agent-with-openclaw/



Raspberry PiでOpenClawを動かしている例として、ロバーツ氏はウエディングフォトブースを最初に作成したそうです。ゲストがブースに立って写真を撮影すると共有まで自動でしてくれるというもので、以前にPythonでシステムを作った際にはあまり良い見た目にならなかったとのこと。その後、ChatGPTとRaspberry Piのファイルシステム間でコードをコピー&ペーストする「バイブコーディング」を試してみたところ、結果は改善されたもののかなりの時間と手作業が必要になりました。

そこでロバーツ氏は、OpenClawをRaspberry Pi 5にインストールしました。OpenClawとシームレスに統合されるVPNサービス「Tailscale」をRaspberry Pi上に追加し、OpenAI APIキーをプライマリAIプロバイダーとして設定した後、フォトブース用として別途用意した2つ目のRaspberry PiにRaspberry Pi OSを新規インストールしました。新しくインストールして更新したRaspberry Pi OSで、「curl -fsSL https://openclaw.ai/install.sh | bash」というコマンドを実行するだけで、OpenClawのインストールと初期設定が完了します。

そこから、OpenClawにチャットで「フォントを変更して」「テキストを中央に配置」といった簡単な指示を送り、フォトブースにどのような動作をさせたいかを具体的に説明しました。結果としてわずか数時間で、一切コーディングをすることもなく、以下のような写真を撮影して保存するシステムが完成したそうです。

Using OpenClaw on Raspberry Pi - YouTube

OpenClawをローカルで動作するAIモデルやツールと併用することで、推論処理を完全にRaspberry Pi内で完結させ、プライバシー上の懸念を抑えながら遅延の低減、APIコストの削減が実現できます。ロバーツ氏は「OpenClawはRaspberry Pi 5だけでなくRaspberry Pi 4でも実行可能」と言及しつつ、最良の結果を得るために高速なmicroSDカードやM.2 HAT+を用いてSSDを起動ディスクとして使うカスタムを推奨しています。また、軽量エージェントの「PicoClaw」ならRaspberry Pi Zero 2 Wなどのリソースが限られた製品でも動作するそうです。

ロバーツ氏は「ウェブページのホスティングといったシンプルなものから始めることで、OpenClawはツールの置き換えではなく、ツールとの関わり方を変えるものであることがすぐに分かります。OpenClawのようなツールは、新しいコンセプトのテスト、インフラストラクチャの管理、実世界への導入のサポートなど、どのような用途であっても、クラウドベースのLLMからRaspberry Piのような低コストのローカルデバイスへと推論を移行する可能性を示しています」と語りました。