「住宅性能」は将来の修繕費や資産価値に直結。初期費用に惑わされずトータルコストで損しない「戸建て」購入の鉄則
住宅の「性能」は、将来の修繕費や売却価格を大きく左右します。目先の費用に惑わされず、トータルコストで家を評価することが、損をしない戸建て選びの結論です。本記事では、平松明展氏の著書『お金の不安が消える 住まいのコスト大全 快適に暮らせて資産が残る家の選び方』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、戸建て購入時の注意点について解説します。
暮らしの快適さは生涯コストに直結する
住まいの条件で誰にも共通するのは、快適性でしょう。それを導くのは性能です。
耐久性能、耐震性能、断熱性能、気密性能、通気透湿性能、省エネ性能といった性能が高ければ快適性が高まる一方で、初期コストもこれに比例します。性能は住宅の長期的な価値に直結します。低性能住宅を維持しようとすると、修繕コストが必要となり、結果、高い買い物になってしまうのです。
こうした特性があることから、性能の一定基準を満たした物件「長期優良住宅」が注目されています。
住宅ローン額の拡大、金利の優遇、住宅ローン減税の控除枠拡大、所得税の特別控除、登録免許税・不動産取得税・固定資産税の軽減など優遇されます。もちろん、売却時の価値も高いです。資産価値のある住宅を残すことは、住宅市場だけでなく、地域活性にもつながります。
[図表1]一般的な性能と高性能のコスト比較例
性能は特出させるよりバランスを重視
住宅性能は、断熱性能、気密性能、耐震性能、通気透湿性能、省エネ性能以外に、昨今、健康性能や防犯性能への関心も高まっています。
気をつけたいのが、コストを抑えるために「どれか1つだけを高めて、ほかは低くてもいい」という判断をしてしまうこと。例えば、断熱性能を最も高い等級にし、ほかの性能は追求しなかったとします。気密性能や通気透湿性能が低いと、断熱部分に結露が発生し、劣化させてしまいます。さらには外壁や屋根にも影響が及び、耐久性能を損ねてしまうのです。
予算には限りがあるので、すべてを最高レベルにするのは難しいかもしれません。その際は、すべての性能をできる限り高い基準に設定することが最善です。
性能は建築後に高めるのは困難です。優先順位を一番に考え、ほかの面でのコストカットを検討するとよいでしょう。
中古の戸建ては修繕ありきで購入を検討する
購入時には見えにくい修繕リスク
体の状態は定期的な健康診断や、人間ドックでのMRI検査などで確認しますよね。見た目ではわからないところを知ることができます。住宅にも目に見えない部分があります。例えば、基礎部分、壁の内部構造、屋根の状態、資材の強度、排水管、配線など。これらの不具合は、暮らし始めて気づくのです。すべて構造に関わるものなので、修繕には大きなコストを要します。
[図表2]修繕が必要になる大きな要因
とりわけ中古物件は劣化しています。例えば基礎にひび割れなどがあった場合、構造補強工事が必要で、200万円近くを要することもあります。シロアリが発生している場合、床下部分の改修も必要になり、その工事費は100万円以上も。中古物件の場合、修繕コストを準備しておく必要があるわけです。なお、中古マンションの多くは、修繕積立金が新築よりも高く設定されています。
[図表3]中古物件の想定外の修繕事例
専門知識を持つ第三者のチェックは必須
家族の安全を守り、快適な暮らしと資産価値を確保するために、住宅診断を行いましょう。「ホームインスペクション」と呼ばれることもあります。
物件の関係者とは別の第三者(建築士など専門知識を持つ人)が、建物全体の劣化状態を診断します。新築の場合も有効です。それは建物の欠陥や不具合を確認できるからです。診断に要するコストは、修繕コストを抑えられると考えれば負担に感じないでしょう。また、住宅は安全が最優先。耐震診断も実施することを推奨します。
住宅診断を経て購入を決断した場合でも、修繕コストを個別に積み立てしておくとよいでしょう。一方で、経年が浅く、性能に優れた物件は、性能が低い新築よりも修繕コストを抑えられる可能性があります。中古物件においても「高性能=低コスト」の図式が成立するわけです。
平松明展
平松建築株式会社
代表取締役
