6月に公開されたYouTube動画「ロボットが失敗した時に、なぜかえって感動するのか」では、脳科学者の茂木健一郎氏が、ロボットが失敗したときになぜ視聴者が感動するのかについて独自の視点を語った。

茂木氏はまず、アメリカの人気オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』で披露されたBoston Dynamics社の4足歩行ロボット「スポット」が集団ダンス中に一台だけ動きを停止したエピソードを紹介。「失敗しちゃった時に意外とそのロボットのリアリティが立ち上がって、そしてなんかすごさが逆にわかる」と語り、ミスが逆説的にロボットの高度な技術を引き立てる瞬間になると分析した。

また、北京で開催されたヒューマノイドロボットのハーフマラソンにも言及。バッテリーを交換しながら動くロボットや、ぎこちない動きをする機体があることに触れつつ、「必ずしも全部がすごい洗練された動きではないんですけど、だけどかえってロボット技術の難しさっていうのが分かる」と、完璧から遠いからこそ分かる“凄み”があると述べた。

生放送や人間の失敗とも重ね合わせた茂木氏は、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」の生放送でアナウンサーの住吉美紀さんが冒頭でセリフを噛んだエピソードを紹介。「あっこれ本当に生放送なんだって、録画じゃなくて疑似生放送じゃなくて本当に生放送なんだということが分かって、後でスタッフとかと一緒に『住吉さん天才だ!』って言ってたんですけど」と、失敗による“生”の実感と親近感に触れた。

なぜ失敗が感動を呼ぶのかという問いに対し、茂木氏は「結局はレジリエンスなんですよね。失敗しちゃってもそこから立ち直るありさま。これがやっぱり生命としては生きる上での強靭さ」「失敗したこととか隠さなくてもいいのかもしれない。そこから立ち上がっていく、あるいは立ち直れないでずっと寝てるというありさまをお見せした方が、かえってそうじゃないときの生きてることの凄さも分かるし、逆に生きているってことはそういうミスとか失敗とかあるけど、だからこそ生きてるんだってことも分かる」と、ロボットも人間も“レジリエンス(回復力)”に本質があると力説した。

動画の締めくくりでは、「これからロボット技術とかAI技術でも、失敗からのレジリエンスが重要になってくるんじゃないかな」という自身の見解を示し、今後のテクノロジーが“失敗からの回復”をいかに設計できるかが鍵になるとの考えで話を結んだ。

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