スズキの良車たち!スイフトMTとフロンクスに乗って感心した話【新米編集長コラム#28】
スイフトはいい意味で肩の力が抜けている
欧州車のベーシックなハッチバックが好きな筆者にとって、スズキ・スイフトは気になる存在だ。
【画像】スズキ『登録車』の良車!スイフトMTとフロンクス4WD 全50枚
軽自動車に対してスズキが『登録車』と呼ぶ乗用車たちには『良車』が多い印象で、触れる機会が多くなった2010年代以降の取材ベースで書けば、スイフトはもちろん、イグニスは全高が1550mmに収まっていれば購入候補になっていたほど気に入った。

試乗車はスズキ・スイフト・ハイブリッドMXの5MT! 平井大介
スイフトのいいところは、いい意味で肩の力が抜けているところだ。媚びてもいなければ、無味無臭でもない。毎日乗る実用車として、こちらも自然体で触れることができると思っている。どこか欧州車に通じる雰囲気が感じられるのは、もちろん欧州でも販売しているからだろう。
なので、フルモデルチェンジ直前にプロトタイプとして2023年ジャパン・モビリティショーに出展された時は、現場でかなり見入ってしまった。サイドのベルトラインが後方に伸びてそのままリアへ回り込んでいるように見えるデザインは、かなり上手だなぁと感心したのだ。
そして、発売からだいぶ時間が経過したが、ようやくスイフトにじっくりと試乗する機会を得た。しかも、中間グレードである『ハイブリッドMX』に用意されている2WDの5速MT! これはかなりドキドキするではないか……。
フロンクスはハイブリッドを感じさせない
実は時系列順で書くと、今回先に試乗したのはフロンクスであった。発表会には行ったものの、試乗会のスケジュールが合わなかったので、後日に乗る機会を頂いた次第。試乗車は4WDだ。
まず思ったのは、日本の道でちょうどいいサイズ感だ。全長3995mm、全幅1765mm、全高1550mmのボディは見切りもよく取り回しもいいので、狭い道を苦にせず、駐車スペースに止めやすかった。

先に試乗したのは同じスズキのフロンクス。グレードは4WD。 平井大介
これなら十分だと感じさせるスペースを確保した、室内のパッケージングも見事だ。リアのラゲッジスペース自体は正直、広くないが、リアシートを倒すことで十分に広くなると割り切っている。ラゲッジボード下に収納できるのも美点だ。
クーペSUVとされるスタイリングはこれまた欧州車的。以前の当コラムでも触れたが、デザイナーがイタリア・トリノにあるスズキのデザインスタジオ在籍経験者であることは無関係でないだろう。
乗り味もスズキの『登録車』らしく自然なフィーリングで、1.5L直列4気筒NAのマイルドハイブリッドであるが、6速ATとの組み合わせもよく、いい意味でハイブリッドを感じさせない。タイヤサイズを16インチに抑えていることも、乗り心地のよさに貢献しているだろう。
試乗した期間のトータル燃費は16km/Lくらい
今回試乗した期間のトータル燃費は16km/Lくらいで、カタログスペックが17.8km/Lだから、いい線だと思う。ちなみに2WDのカタログスペックは19.0km/Lだ(いずれもWLTCモード)。
気になったのは、長距離で乗るならもう少し高速安定性が欲しいのと、シートが少し小さく感じたところだ(後者は、スズキに限らずそういうクルマが最近多い気がする)。また、ATのセレクターをDにするときに、何度かひとつ先のMまで変わってしまったのは使いにくく感じた。あと、贅沢をいえばシートヒーターはオンかオフでなく、その中間があると個人的にはありがたいと思った。
しかし、必要そうなものは全て装備していて、価格は273万9000円と300万円を切っているのはお見事。ETC、ドラレコ、2トーンカラーなどを追加した試乗車でも292万3140円だ。
以前日本でも販売していたインド生産のバレーノは、正直、少し安物感があったが、同じインド産であるフロンクスには微塵も感じない。街中中心で使用するなら、これはかなりお勧めの『良車』である。
クラス、価格以上の動的質感
そして、入れ替えで乗ることになったスイフトのMTである。結論から書けば、これは素晴らしい1台であった!
乗っていてクラス、価格以上の動的質感が伝わってきて、個人的に好きな欧州ベーシックハッチバックの名車たちの姿が頭をよぎって、嬉しくなってくる。

車重はわずか920kgなので、運転していてとにかく軽快で楽しいスイフト。 平井大介
全長3860mm、全幅1695mm、全高1500mmはもちろん使いやすいサイズだし、車重はわずか920kg! とにかく動きが身軽で、軽さは正義だなぁと感動が沸いてくる。
1.2L直列3気筒はマイルドハイブリッドとはいえ、エンジン自体は82ps/11kg-mしかないから、例えば今回、箱根の頂上に向かう登りではもう少しパワーが欲しいと思う場面もあった。しかし、非力なクルマをマニュアルシフトでコントロールする楽しさは、最近の新車では欧州車でもなかなか味わえないもの。近いものを探すと、トヨタ・ヤリスとマツダ2があり、国産車はマニュアルが充実しているなぁと再認識した。
また、箱根のワインディングで感じたのは、足まわりがよく粘って、よく曲がることだ。これをベースとしたスイフトスポーツの登場が楽しみになってきた。
そして期間中のトータル燃費は19.8km/L! カタログスペックは25.4km/L(WLTCモード)で、ワインディングに行かなければもっと伸びたはずである。そして車両価格は192万2800円と、200万円切り! これは内容を考えたらバーゲンプライスだと思う。
試乗直後のメモに『エンスー一家に一台』と書いたのは本当の話で、街中中心であればファーストカーとしてはもちろん、ガレージで趣味車と並べる足車としてもお勧めできる。大事なことなのでもう一度書くが、やはり軽さは正義で、実に楽しい取材期間となった。新型スズキ・スイフトもちゃんと、『ザ・良車』で安心した。
スズキ・フロンクス&スイフトのスペック
スズキ・フロンクス4WD
全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm
ホイールベース:2520mm
トレッド:F1520mm R1535mm
車両重量:1130kg
エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量:1460cc
ボア×ストローク:74.0×84.9mm
最高出力:73kW(99ps)/6000rpm
最大トルク:135Nm(13.8kg-m)/4400rpm
圧縮比:11.9
モーター最高出力:2.3kW(3.1ps)/800-1500rpm
最大トルク:60Nm(6.1kg-m)/100rpm
トランスミッション:6速AT
燃料タンク容量:37L
タイヤ:F&R195/60R16
サスペンション:Fマクファーソンストラット Rトーションビーム
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク Rディスク
燃料消費量(WLTCモード):17.8km/L
価格:273万9000円
スズキ・スイフト・ハイブリッドMX(5MT)
全長×全幅×全高:3860×1695×1500mm
ホイールベース:2450mm
トレッド:F1480mm R1490mm
車両重量:920kg
エンジン:直列3気筒DOHC12バルブ
総排気量:1197cc
ボア×ストローク:74.0×92.8mm
最高出力:60kW(82ps)/5700rpm
最大トルク:108Nm(11kg-m)/4500rpm
圧縮比:13.0
モーター最高出力:2.3kW(3.1ps)/1100rpm
最大トルク:60Nm(6.1kg-m)/100rpm
トランスミッション:5速MT
燃料タンク容量:37L
タイヤ:F&R185/55R16
サスペンション:Fマクファーソンストラット Rトーションビーム
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク Rリーディングトレーリング
燃料消費量(WLTCモード):25.4km/L
価格:192万2800円

インド生産のフロンクスだが、それを感じさせる部分は微塵もない。 平井大介
