物語の中で「実は父親がすごい人だった」「実は兄が敵の一味」というように、家族の秘密が明かされることでインパクトのある展開が生まれることがあります。家族の秘密を物語上で上手に使うテクニックについて、ミステリーや歴史小説を手がける作家のジャニュアリー・ギルクライスト氏が解説しています。

The Role of Family Secrets in Crime Novels and Thrillers ‹ CrimeReads

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家族の秘密は、特にミステリーやスリラーなどのジャンルでは、物語の根幹になりやすくなっています。その理由として、ギルクライスト氏は以下の3点を挙げています。

・読者が共感できる

家族のことだから何でも知ってそうだけれど、自分が家族に秘密にしていることも確実にある」という矛盾した感覚は、ほとんどの読者が家族に対して抱いています。そのため、物語でキャラクターが家族の秘密に対して受ける衝撃は、読者にとって強く共感しやすいものになっています。

・キャラクターの決定に影響を与える

家族が抱えていた秘密を知ることで、そのキャラクターは悩みを抱いたり、自分のこれまでのアイデンティティが崩されたり、知ってしまった秘密を周囲に隠すため行動したりといったふるまいに強く影響を受けます。

・印象と展開

秘密が明らかになると、英雄はそれまでよりも英雄的ではなくなり、悪役は実はそこまで悪い存在ではなくなる可能性があります。

ギルクライスト氏は「家族の秘密が明かされると、このような変化が作中に生まれます。そのため、家族の秘密を扱うと、緊張感を生み出し、衝撃的な行動の動機を刺激し、読者の心をつかむことができます」と述べています。



家族の秘密を物語の転換点にする場合のテクニックについて、ギルクライスト氏はいくつかの注意点を挙げています。まず、秘密を明かすタイミングは、秘密をほのめかしてりヒントを出したりしながら、「最大のダメージ」を見込めるポイントまでじらしておくことが重要です。また、キャラクターに与えるダメージについては、ただ衝撃を与えるだけではなく、そのキャラクターのアイデンティティが崩れるような秘密であるとさらに盛り上がります。

次に、秘密を用意する際には、ストーリーのプロットにひねりを加えられるものだと、物語全体のおもしろさにもつながります。そして最後に、いずれの場合であっても、秘密の内容には価値があるかどうか確認が必要です。読者を待たせた結果、秘密の内容が期待外れだと、読者は衝撃や面白さよりも「ダマされた」という悪い印象を感じてしまいがちです。

ギルクライスト氏は「家族の秘密は最も忘れがたい、スリリングで満足のいく物語を生み出します。結局のところ、永遠に秘密として埋もれたままのものは何もありません」と語っています。