記事のポイント

スポーツとファッションの連携が急速に拡大。NBAやWNBA、F1などがブランドと提携を強化。

トンネルフィット人気の高まりと一部アスリートの反発が起こる。

黒人デザイナーの作品を試合前に披露するプロジェクト開始。


2024年は、ファッションとスポーツの関わりが加速した年だった。

2024年を通じて、ファッションブランドはNBAやPGAなどの確立されたスポーツリーグとのコラボレーションに力を入れ、また米国で人気が上昇しつつある新興スポーツリーグ、たとえば女子バスケットボールのWNBAやフォーミュラ1とも手を結んできた。ファッションの世界的中心地であるパリで夏季オリンピックが開かれたことも、この関係の加速に貢献した。

だが、2025年を見据えると、ファッションとスポーツの蜜月は今後も続くのだろうか? 年末の数週間にも新たなスポーツコラボレーションの知らせが続々と舞い込んでおり、この先も勢いは増すばかりのように思える。しかし、道のりはずっと平坦ではなさそうだ。アスリートのあいだには、ファッションコラボレーションが試合の妨げになっているという思いも芽生えつつある。

2024年最後の1カ月を振り返っても、ファッションとスポーツの新たなパートナーシップの数はまったく衰えを見せていない。リーボック(Reebok)、時計業界のコングロマリットである1916カンパニー(The 1916 Company)、ファッションレンタルプラットフォームのレント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway:以下、RTR)といった多種多様なブランドが、揃ってアスリートやリーグと契約を結んだ。

スポーツパートナーシップ拡大



12月19日、リーボックはWNBAとの包括的パートナーシップ契約を発表した。契約は複数年にわたり、リーボックはWNBAのオフィシャルサプライヤーを務める。また、リーボックは、シカゴ・スカイのエンジェル・リース選手やロサンゼルス・スパークスのレキシー・ブラウン選手といった、同社がスポンサーを務めるアスリートとともにコンテンツ制作を行う。

WNBAの最高グロース責任者であるコリー・エディソン氏は、契約の発表のなかで、リーグは昨年「ブランド認知の上昇」を通じて大きな恩恵を得たと語った。2024年のシーズンの平均視聴者数は120万人で、ESPNでの放送開始以来もっとも視聴されたシーズンとなり、前年比155%増を達成した。エディソン氏は、WNBAは2025年も「象徴的ブランドとともに成長を続ける」と、見通しを述べた。

「トンネルフィット」と呼ばれる、試合会場入りする選手のコーディネートを紹介する映像は、ファションとスポーツの関わりの起爆剤となった。プロスポーツ選手の試合以外の時間のコンテンツを収集・配信するメディア企業であるグリーンフライ(Greenfly)で、共同創業者兼CEOを務めるダニエル・カーシュナー氏は、トンネルフィットはいまやスポーツの周辺環境に不可欠な要素だと語る。

「ロッカールームに向かう選手の写真の人気は、この10年で爆発的に高まった」と、同氏は言う。「影響力は計り知れない。スポーツカルチャーになくてはならない部分だ。アスリートがどんなコンテンツをソーシャルチャンネルで利用しているかを分析したところ、会場入りコンテンツはリストのトップだった」。

ファッションとスポーツのコラボレーションの多くは、リーグやアスリートとの提携に力を入れてきた。1916カンパニーが12月9日に発表した、NBAのタイリース・マクシー選手とのパートナーシップもそのひとつだ。しかし、スポーツパートナーシップのゴールドラッシュは、スポーツの世界の他領域にも波及しつつある。

たとえばRTRは、NFLのダラス・カウボーイズのチアリーダーチームとパートナーシップを結んだ。RTRはホリデーキャンペーンでチアリーダーチームに衣装を提供し、彼女たちはRTRのソーシャルコンテンツに起用される。

スポーツパートナーシップは、ブランドが特定のローカル市場に進出する上でも役に立つ。RTRにとってダラスは重要な市場だと、RTRの共同創業者でCEOのジェン・ハイマン氏は語る。RTRの最大のフルフィルメントセンターはテキサス州にある。カウボーイズのチアリーダーチームのような地域密着型組織と手を結ぶことで、地域でのブランドのプレゼンスを高めることができると、ハイマン氏は述べた。

NBAで進化するトンネルフィット



しかし、スポーツの世界でファッションのプレゼンスが高まることに対して、反発がないわけではない。2024年10月、試合会場入りの際のスタイリッシュなファッションで一、二を争う選手として知られていたNBAのカイル・クーズマ選手が、トンネルフィットの世界から身を引くと宣言した。以後、同選手はそれまでの目を引くコーディネートから一変して、地味なグレーのスウェットの上下で会場入りするようになった。

選手たちが試合前に自分をスタイリッシュに見せなければならないというプレッシャーにさらされる、「ああいうタイプのコミュニティに参加したくない」と、当時クーズマ選手は述べている。

だが、クーズマ選手の反応は単発事象だろうと、カーシュナー氏は予想する。トンネルフィットの人気は、ブランドにとってもアスリートにとっても、依然として極めて高いという。

「ファッションとのつながりが今後弱まっていくとは思わない」と、カーシュナー氏は述べた。「アスリートが試合で不調な時は、コートの外でしていることに批判が集まる。しかし一般論としては、ファンも選手も(トンネルフィットが)大好きだ」。

カーシュナー氏の主張を裏づける根拠がある。2024年11月のNBAの新シーズン開幕直後、二度のリーグMVPに輝いたステフ・カリー選手が、楽天とのパートナーシップを発表したのだ。このパートナーシップのなかで、カリー選手は毎試合前に、毎回異なる黒人ファションデザイナーが手掛けたアイテムを披露する予定だという。

[原文:Luxury Briefing: Will fashion’s sports obsession survive 2025?]

Danny Parisi(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:坂本凪沙)