TikTokが、OpenAIのAIモデルの使用料としてMicrosoftに毎月2000万ドル(約30億円)を支払っていたと、ビジネス誌のThe Informationが報じました。

TikTok Spending Drove Microsoft’s Booming AI Business - The Information

https://www.theinformation.com/articles/tiktok-spending-drove-microsofts-booming-ai-business

TikTok is one of Microsoft’s biggest AI cloud computing customers - The Verge

https://www.theverge.com/2024/7/31/24210667/microsoft-tiktok-ai-openai-customer

TikTok is Microsoft's biggest AI customer, thanks to OpenAI

https://qz.com/tiktok-microsoft-ai-customer-20-million-openai-1851609817

事情に詳しい情報筋がThe Informationに語ったところによると、TikTokは2024年3月の時点で、OpenAIのモデルにアクセスする費用としてMicrosoftに月々2000万ドル近くを支払っていたとのこと。

この金額は、Microsoftがクラウド事業から得ている収益の25%に相当すると、The Informationは報じています。



こうした良好な事業環境により、Microsoftのクラウド部門はAI事業で年間10億ドル(約1500億円)の収益を出す勢いとされていますが、今後TikTokが独自の大規模言語モデル(LLM)の開発に成功すれば、TikTokはMicrosoftやOpenAIへの依存度を大きく下げるだろうとも指摘されています。

例えば、2023年12月にはTikTokの中国親会社であるByteDanceがOpenAIのChatGPTを不正に利用して独自のLLMモデルの開発を進めていたことが発覚し、報道を受けたOpenAIがただちにByteDanceに対するAPIの提供を停止したことがあります。

TikTokの親会社ByteDanceがこっそりChatGPTをパクっていたことが発覚、OpenAIは速攻でByteDanceアカウントをBAN - GIGAZINE



by Solen Feyissa

Microsoftは、OpenAIのモデルの独占クラウドプロバイダーとなるために同社と巨額の投資計画を締結していることや、ChatGPTを動作させるためのスーパーコンピューターの構築に多額の費用を投じていることが知られています。

2024年7月末に発表された2024年第4四半期の業績報告で、MicrosoftはクラウドコンピューティングサービスであるMicrosoft Azureの収益成長率が29%であったことを明かしています。また、Microsoftの最高財務責任者(CFO)であるエイミー・フッド氏によると、来期の2025年第1四半期におけるAzureの収益成長率は横ばいの28〜29%と見込まれているとのことです。

アメリカ政府は、中国企業であるByteDance傘下のTikTokがアメリカの国家安全保障を脅かしていることを理由に、ByteDanceにTikTokのアメリカ事業を売却するかアメリカから撤退するかの選択を突きつけており、仮にTikTokが独自LLMを開発しなくても同社とMicrosoftやOpenAIとの関係が今後も続くかは不透明です。



また、Microsoftが直面している問題は、AIハードウェアの供給で大きな利益を上げているNVIDIAも同様であると指摘されており、今後もアメリカのAI企業が中国の人気SNSの進退に神経を尖らせる状況が続く見通しです。