mineoが大手MNOとのガチンコ勝負に挑む! さらに安い20GB/月額1,980円の新料金プラン「マイピタ」発表

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●mineoが新料金プラン「マイピタ」を発表!
仮想移動体通信事業者(MVNO)サービス「mineo」を運営するオプテージは1月27日、同サービスの料金プランを刷新し、新料金プラン「マイピタ」を発表しました。

新料金プランのデータ通信容量と料金の内訳(コース)は以下の通りです。
・1GB/月額1,180円
・5GB/月額1,380円
・10GB/月額1,780円
・20GB/月額1,980円
※いずれも税抜価格

マイピタの提供開始は2月1日からとなっていますが、
・新規契約の場合は2月1日より適用
・既存ユーザーでデータ通信容量が変わらない場合は、自動的に新料金プランへ移行
・既存ユーザーでデータ通信容量が変わる場合は、2月25日までに新料金プランをユーザー自身が選択した場合に3月1日より適用

このように、既存ユーザーの場合は現在契約しているプランによって対応が変わるので注意が必要です。
詳細は公式サイトで公開予定です。


20GBコースでも月額1,980円なのはかなりのインパクトだ


また、同時にデータ通信専用プランも発表しました。
データ通信容量ごとの料金コースは以下の通りです。
・1GB/月額800円
・5GB/月額1,150円
・10GB/月額1,550円
・20GB/月額1,750円
※いずれも税抜価格

こちらも契約および適用条件は音声通話込みのプランと同様となります。


LINEのアプリ通話などが一般化した今、電話番号は必要ないというユーザーも増加している



●「ahamoショック」が生んだMVNOの新料金水準
mineoがこのタイミングでマイピタを発表した背景には、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの移動体通信事業者(MNO)3社による20GBプランの相次ぐ発表があります。

MNOは総務省の要請や提言を受けるかたちで、メインブランドによる「20GB/月額2,480円〜2,980円」という新たな料金プランを2020年12月からの1ヶ月ほどで競うように発表しました。

業界内では「ahamoショック」などとも呼ばれる、これらの新料金プランや使い放題プランの値下げによって、多くのスマートフォンユーザーが通信料金値下げの恩恵を受けられるようになります。

しかし、それによって窮地に立たされたのがMVNOです。

MVNOはこれまで「3GB/月額1,600円前後」という水準でユーザーの獲得競争を行ってきました。
ところがMNO各社の料金水準が大きく下がったことで、通信品質ではMNOに劣るMVNOは低価格というメリットが薄れ、コストパフォーマンスの悪さが目立つようになったのです。


NTTドコモの新料金プラン「ahamo」がモバイル通信業界に与えた影響は計り知れない


そこで打ち出してきたのが「20GB/月額1,980円」という、新しいMVNOとしての水準です。
MNOの水準よりも500〜1,000円安く、しかもさらに小容量のプランも段階的に用意する。
このことで、これまでのように1GBや3GBといったプランを選択していたユーザーも満足できる料金体系に再構築したのです。

20GB/月額1,980円という水準については、2020年12月に日本通信が「合理的プラン」という新料金プランを発表しています。
mineoのマイピタはこれに続くものであると同時に、さらに小容量のユーザーにも訴求するものです。


日本通信の「合理的プラン」の料金設定はMVNOの新料金水準となった



●料金プランはシンプルかつ分かりやすく
mineoは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの、3つのMNOから回線を借り受けて運営する「トリプルキャリアMVNO」戦略によって、現在は121万契約を獲得する大手MVNOとなりました。

その成長経緯から、当初はシンプルだった料金プランもMNOごとに設定していったことから、非常に分かりづらくなっていました。
今回のマイピタには、そういった分かりづらさを解消するための施策でもあります。

・3つのMNOで別れていた料金プランを1つに
・MNOごとに6段階に別れていた料金コースを4段階に

これによって、18に細分化されていた料金コースは、わずか4つにまとめられました。


長年にわたり料金プランとコースを追加設定し続けてきた結果、複雑で分かりづらいものになっていた


ただ料金体系をシンプルにしただけではありません。
現行プランよりデータ通信容量は増やしつつ、その料金は大幅に引き下げられました。
とくに10GBや20GBといった中〜大容量コースの値下げが大きく、これまで3GBコースなどを利用していたユーザーでも、より容量の大きなプランを検討したくなるほどの値下げ幅です。


これまで3GBコースを契約していた人であれば、より安価に5GBまで利用できるようになる



●意外と使われていないデータ通信
この新しい料金体系に踏み切れた背景には、ユーザーのデータ通信利用実態に関する調査データが大きく関わっています。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルのMNO 4社を対象とした調査によれば、データ通信で20GB以上利用している人はわずかに11.3%です。
さらに、7GB以下しか利用していない人の割合は74.7%にもおよび、実に4人に3人は7GB以下で十分という実態が浮き彫りとなりました。


ユーザーの契約状況と利用実態に大きな乖離が見られる


また、mineoのユーザーのみに限定した利用実態では、実に99.2%のユーザーが10GB以下の契約を行っており、さらに82.8%のユーザーが3GB以下を契約しています。

つまり、通信品質において妥協が必要なMVNOの場合、コストの低さが最優先されるため、料金の高い大容量のコースはほとんど期待されていないのです。

mineoではこの新料金体系の移行が経営に与える影響は少ないと考えており、来年度も黒字化を目指すとしています。


「圧倒的な安さ」こそがMVNOの最大の強みだ



●安価で安定したMVNOの通信環境を目指して
マイピタの発表に合わせ、スタートキャンペーンとして月額料金を一定期間割引く「マイ割」キャンペーンも行われます。

・5GB/10GB/20GBコースで3ヶ月間、月々1,080円割引
・キャンペーン期間:2021年2月1日〜5月31日まで


新規ユーザーの獲得にも余念がない


MVNO は、MNO各社の20GBプランによって料金的メリットが薄まり、生き残りを賭けた大改革を断行しはじめています。
同時に、MNOとの通信品質の格差を是正するための要望書を、MVNO委員会を通して総務省に提出するなど、健全な市場競争を行うための議論も忘れていません。

より安価に、より安定した通信環境を。
MVNOが目指す通信の未来が実現できるのか、2021年は正念場の年となりそうです。


執筆 秋吉 健