「安定はしているが飛躍も望めない」ホンダの現実
インドでは全体の新車市場が11カ月連続で前年割れとなっておりホンダにも影響が直撃。日本は部品供給問題により小型車「フィット」の全面改良モデルの発売を11月末から20年2月に延期することが響く。また別の要因として為替影響が1380億円の収益悪化要因となる見込みだ。
業績悪化はすでに顕在化しており、19年4―9月期連結決算も減収減益。ただ、倉石誠司ホンダ副社長は、「為替や一過性影響を除くと前年同期に比べ500億円の増益」と説明。中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ代表も「4―9月期、通期予想ともに悪くない決算だ」と指摘する。
4―9月期の米国販売は前年同期比1・0%減の83万6000台と安定感をみせたほか、同期の中国販売は全体が2ケタ減となる中、同18・7%増の78万8000台と好調。原価低減の取り組みも効果を上げた。
通期販売予想は北米、アジアでは前年割れだが、それぞれ米国と中国のみのくくりでは「前年超えを目指す」と倉石副社長は宣言する。
一方、根の深い課題が残る。4―9月期の4輪車事業の営業利益率は3・7%と低水準のままだ。18―19年にかけて生産縮小や設計効率化、研究部門の改革などを始めたが、車作りのベースを変える取り組みを含むだけに、成果は早くて21年後半からになる。
また次世代技術の対応にも手は抜けない。倉石副社長は「電動化や先進安全の技術が高度化しており、単独での技術・商品開発はスピードや経営資源の面で厳しくなっている」と説明。10月には傘下の部品メーカー3社と日立オートモティブシステムズの経営統合を決めたが、次の系列再編の可能性について倉石副社長は「イエスだ」と述べた。
中西代表は「電動車については戦略の方向性がみえたが、コネクテッドやサービス分野ではまだ取り組みが不十分」と分析する。足元の自動車市場の逆風に対抗する底力をみせたホンダ。並行して中長期視点で事業構造改革とCASE対応を加速できるかが問われる。
(取材・後藤信之)
