若者に人気のSNS「ひま部」が、2019年12月31日をもってサービスを終了する。
「ひま部」は学生を対象としたスマホ向けアプリで、中学生から大学生の間で爆発的な人気を誇った。学生限定という登録要件があるにもかかわらず、登録者数は800万人を超え、1日の投稿数も600万件以上あったという。

 サービス終了が決まったのは、利用者同士が出会い、さまざまな事件に巻き込まれることが多発したからだ。個人情報をむやみに公開してしまう学生がいる一方、学生でない大人が不正登録して、中高生を含む未成年に嫌がらせをしたり、出会い系アプリとして使っていた。

 警察庁の発表では、SNSに起因する、18歳未満の子どもが被害にあった事件は、2018年で1811人。淫行、児童買春、児童ポルノなどだが、使われたSNSで最も多いのがツイッターの718人。「ひま部」は214人で2位となっている。今年2月にも、56歳の男性が「ひま部」で知り合った13歳の少女に性的暴行を加え、逮捕されている。

 サービスを提供する「ナナメウエ」社は、公式ブログで、次のように説明している。

《運営の手が届かない他社製アプリを交換してその中で犯罪行為を行ったり、実際に出会って乱暴をしたり。個人情報をタイムラインに載せる嫌がらせや、なりすましが多く発生しました。年齢を偽って登録する大人もいました。良いつながりを生むはずだったこのサービスが、そうした悪意を持った人たちに悪用され、悲しみも同時に生んでいきました》

 運営は、「ひま部」に不登校や高校中退の悩み相談室を設けるなど健全化を図ったが、その甲斐なく、中止に至った。サービス停止を受けて、学生たちは《ずっと続けてほしい》《終了したら私の居場所は?》など悲しみの声を寄せているが、一方で《ヤバい奴しかいないからいいんじゃね?》などの意見もあった。

「ひま部」は、2015年5月にサービスを開始。2010年頃、モバゲー、GREE、mixiといったSNSでの「出会い」が問題となり、運用を厳格化するとともに、多くの未成年が「ひま部」に移行した。今回「ひま部」がなくなっても、別のサービスが出会い系として広まる可能性は高い。

 いずれにせよ、ひとつサービスがなくなれば、まともなユーザーの人間関係も大きく消えてしまう。SNS時代の不都合な一面だ。