新型護衛艦の2番札で歓喜、「君が代」に心震えた造船所
艦艇や商船の建造を担う玉野事業所は、転換期の渦中にある。新造船需要の低迷で商船事業が厳しい中、市況に左右されにくい官公庁船の受注に軸足を移しつつある。
執行役員で玉野艦船工場長の三宅俊良は「船殻中心の現体制ではバランスが合わない」と指摘。船殻の作業者が艤装も行えるよう多能工化を進めている。16年から1年間、船殻担当70人を艤装へ一時的にシフトして実地で技能を学ばせた。
三宅は「多能工化で人材の流動性が高まると、工場運営が非常にしやすくなる」とメリットを実感する。17年度は逆に艤装の人員を船殻に行かせ、一層の多能工化を志向する。
これまでは一定規模の受注が見込める商船をベースに、山谷のある官公庁船を手がけてきた。三宅は「官公庁船がメーンになる時期も、多能工化で建造効率を高めれば対応できる」と自信をみせる。
8月、玉野艦船工場は歓喜に沸いた。防衛装備庁が18年度以降に計画する新型護衛艦の入札で2番札を引いた。受注が確定すれば1番札の三菱重工業が6隻、三井造船が2隻を建造する予定。14年に引き渡した「ふゆづき」以来の護衛艦となり、三宅は「なんとしても受注したい」と期待を込める。
今後も「音響測定艦や海洋調査艦といった玉野が得意とする補助艦の案件が出てくる」と三宅。ライバルも官公庁船に熱視線を送る中、三井造船の底力が試される。
