意外にも、と言ってはあまりにも失礼かもしれないが、中国で“妙に知名度が高い”日本人選手がいる。陸上女子の我孫子智美選手だ。最初に注目されたのは2010年に広東省広州市で開催されたアジア大会。湖南省の長沙晩報は、ロンドン五輪に出場した我孫子選手の名について、改めて解説記事を掲載した。

 我孫子選手の専門は棒高跳び。2010年のアジア大会では3位に入賞した。表彰台にのぼり、同選手の名がアナウンスされると、観客がどよめいた。

 当時の中国語アナウンスを日本語になおして再現するとこうなる。「第3位、私の孫、ニッポン」――。「私の孫が3位とはどういうことか」と、会場が騒然となった。

 中国語では、外国人の名を基本的に音の近い漢字で表記する。オバマ米大統領はら「奥巴馬」と書いて「アオバマ」といった具合に読む。ただし、日本人や韓国人など漢字文明圏の人名ならば、もとの漢字表記をそのまま使って中国語読みする。

 日本語の固有名詞が中国語で別の意味を表してしまう場合もある。その代表例が「我孫子」だ。中国語では「私の(男の)孫」となる。「それ以外には考えられない言葉」であり、固有名詞にはとても思えないという。

 アジア大会の“表彰式どよめき事件”の後、我孫子智美選手の名は中国のインターネットでも話題になり、検索ワードの上位にランクインした。

 長沙晩報はロンドン五輪にも出場した我孫子選手の名を、改めて「『私の孫』ということではない」と紹介した。

 記事は「日本には他にも我孫子という姓を持つ人がいる」、「東京から近い千葉県には我孫子市がある」などと説明。読み方は「あびこ=Abiko」であり、語源については「中国語ではない。シベリアで使われていた言語のAbik(=わが父祖)が起源との説もある」などと論じた

 記事は改めて「我孫子は私の孫にあらず」と強調した上で、「それでも、普通はびっくりしてしまいますが」と締めくくった。(編集担当:如月隼人)