「糖尿病」がある人は注意?“クレアチニン”数値を下げる方法と正しい対策【医師監修】

BUNとクレアチニンの数値は、腎臓のフィルター機能と深く関わっています。健康診断で数値の異常を指摘されたとき、「腎臓がどのくらい働いているのか」が気になる方も多いのではないでしょうか。このセクションでは、GFR(糸球体ろ過量)との関係や、腎機能が低下したときに身体に起こりうること、BUNやクレアチニンが上昇する原因について詳しく見ていきます。

監修医師:
田中 茂(医師)

2002年鹿児島大学医学部医学科卒業 現在は腎臓専門医/透析専門医として本村内科医院で地域医療に従事している。
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学

尿素窒素(BUN)・クレアチニンと腎機能の関係

BUNとクレアチニンの数値は、腎臓のフィルター機能を反映しています。腎機能がどのように評価されるのか、また腎機能が低下するとどのような影響が身体に生じるのかについて、このセクションで詳しく説明します。

GFR(糸球体ろ過量)との関係

腎臓の機能を総合的に評価する指標として、GFR(糸球体ろ過量)という値が広く用いられています。GFRとは、腎臓の糸球体が1分間にどれだけの血液をろ過できるかを示す数値であり、腎機能の低下度合いを示す重要な目安です。
実際の診療では、血清クレアチニン値と年齢・性別をもとに計算されるeGFR(推算糸球体ろ過量)が使われることが一般的です。eGFRの単位はmL/分/1.73m²で、数値が低いほど腎臓の機能が低下していることを示します。eGFRが60未満の低下、あるいは蛋白尿などの腎臓の障害が3カ月以上持続する場合に、慢性腎臓病(CKD)と診断され、適切な管理や治療が必要になります。
eGFRが低下するにつれて、血中のクレアチニン値やBUNも上昇します。ただし、BUNはたんぱく質摂取量や身体の水分状態など腎機能以外の要因にも影響を受けるため、腎機能の評価においてはeGFRやクレアチニンのほうがより重視される傾向があります。

腎機能低下が身体に与える影響

腎臓は老廃物の排出だけでなく、血圧の調整・赤血球の産生を促すホルモンの分泌・骨に必要なビタミンDの活性化など、さまざまな役割を担っています。そのため、腎機能が低下すると身体の広い範囲にわたって影響が現れます。
初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、健康診断での血液検査ではじめて異常が見つかるケースが少なくありません。進行すると、むくみ・倦怠感・食欲不振・貧血・血圧の上昇などの症状が現れるようになります。さらに重症化すると、身体に老廃物が蓄積する「尿毒症」と呼ばれる状態に至り、透析治療が必要になることもあります。
腎機能の低下は一度進行すると回復しにくい側面があります。しかし、早期に異常を発見して適切な生活習慣の改善や治療を行うことで、進行を遅らせることが期待できます。BUNやクレアチニンの値を定期的に確認し、変化があれば早めに医療機関に相談することが大切です。

BUNやクレアチニンが上昇する原因

BUNやクレアチニンが上昇する原因は、大きく腎臓そのものの問題と、腎臓以外の要因に分けられます。腎臓の問題としては、糸球体腎炎・糖尿病性腎症・高血圧性腎硬化症・多発性嚢胞腎などが代表的です。これらは慢性腎臓病(CKD)の主な原因となる疾患でもあります。
腎臓以外の要因としては、まずBUNが上昇しやすいケースとして、たんぱく質の過剰摂取・脱水・消化管出血・感染症・甲状腺機能亢進症などが挙げられます。クレアチニンの上昇については、筋肉の損傷(横紋筋融解症など)や過度な筋力トレーニング後なども一因となります。
また、一部の薬剤(非ステロイド性抗炎症薬や一部の抗生物質など)が腎機能に影響を与え、BUNやクレアチニンを上昇させることもあります。健康診断で数値の異常を指摘された際には、食事・水分摂取量・薬剤の使用状況なども含めて医師に詳しく相談することが望まれます。

まとめ

尿素窒素(BUN)とクレアチニンは、腎臓の働きを知るための大切な指標です。基準値を超えた場合は、食事内容の見直しや生活習慣の改善を行うとともに、医療機関での精密検査を受けることが大切です。早期発見と適切な管理で、進行を遅らせることが期待できます。健康診断の結果に異常を感じた際は、一人で抱え込まず、まずは内科や腎臓内科に相談してみてください。日々の小さな積み重ねが、腎臓を守ることにつながります。

参考文献

厚生労働省「第7回 慢性腎臓病(CKD)ってなぁに?」

日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2023」

東京大学医学部附属病院「腎臓・内分泌内科」

日本透析医学会「わが国の慢性透析医療の現況」