来場者に笑顔で声をかける仲本さん(12日、沖縄県今帰仁村で)=冨田大介撮影

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 沖縄本島北部・今帰仁村(なきじんそん)の大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」で、地元出身のスタッフらが奮闘している。

 長年の課題となっている北部振興の起爆剤として期待を集めた開業から25日で1年。スタッフらは「地域に根ざし、長く愛される施設にしていきたい」と思いを新たにしている。(峰啓)

 「ようこそ」「行ってらっしゃい」――。スタッフの仲本昴さん(30)は今月中旬、パークで家族連れらに手を振ったり、ハイタッチをしたりして声をかけていた。来場者の誘導や案内に加え、現場スタッフ約100人のサポートも担う仲本さん。「ゲストが笑顔で過ごしてくれることが何よりうれしい」とほほ笑む。

 今帰仁村に隣接する名護市で生まれ育った仲本さんは、昨年まで同市立中学校の教諭だった。「地元や人の役に立ちたい」と生徒らと向き合ってきたが、ジャングリア開業が転機となった。「ここで働くことで地域や沖縄の力にもなれると思った」と振り返る。

 開業当初、アトラクションの待ち時間の長さなどに対する批判を浴びた。同僚らと案内のタイミングや、スムーズにアトラクションへ誘導する動線を考え直すなどして少しずつ改善を図った。来場者から後日、感謝や激励のメッセージが寄せられたこともあり、「帰宅後も思い出してくれている」とやりがいや手応えも感じている。

 運営会社「ジャパンエンターテイメント」(JE)によると、従業員約1300人のうち、Uターンなども含めた沖縄県内の出身者は約7割を占める。運営や物販、警備など様々な職種に就いている。

 所得の低さや過疎化、若者の流出などの課題が指摘されてきた北部地域。同地域を管轄するハローワーク名護の集計では、ジャングリアを始めとした娯楽施設などからの新規求人数は昨年度、前年度比で約30%増加した。

 JEの加藤健史・最高経営責任者(CEO)(50)は「沖縄の発展に貢献したいという熱い思いを持った従業員が集まってくれている」と語る。仲本さんも「北部地域、沖縄の未来に影響を与える施設。地域を元気にするため、まずは目の前のゲストの笑顔のために全力を尽くしたい」と力を込めた。

周遊や市街地誘客、伸び悩みか

 ジャングリア開業後の1年間で北部地域には多くの観光客が訪れたが、期待された地域内の周遊や市街地への誘客は伸び悩んでいる可能性がある。

 県が民間業者に委託して行った全地球測位システム(GPS)の位置情報を基にした動態調査では、昨年1年間の観光客(インバウンドを除く)は、名護市は前年比9.7%増、今帰仁村は同34.3%増となった。一方、両市村を含む北部の自治体を訪れた観光客(同)は、那覇市などを抱える南部の半数以下(延べ約1500万人)にとどまった。

 リゾートホテルの多い恩納村や「沖縄美(ちゅ)ら海水族館」のある本部町など近隣自治体では昨夏以降、来訪者数が前年に比べて減少した時期もあり、県の担当者は「北部の周遊につながっていない可能性もある」と分析する。

 りゅうぎん総合研究所(那覇市)は開業から約半年間の経済効果を約322億円と算出した。名護市の市街地への影響について、同市中心部にある「名護十字路商店連合会」事務局の村田和之さん(42)は「観光客は増えていると思うが、恩恵を受け切れているとはいえない。立ち寄ってもらえるように魅力ある仕掛けを考えていきたい」と語る。