形容しがたい目力(高市首相)/(C)日刊ゲンダイ

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 終盤国会がおよそ10日ぶりに正常化した。17日の会期末が刻一刻と迫る中、時間を浪費させた張本人は高市首相だ。引き金となったのは、中傷動画や暗号資産をめぐる一連の疑惑。公設第1秘書の陳述書提出で幕引きを図る厚かましい国会軽視に野党がア然とする中、日本維新の会との連立合意書に明記した衆院議員定数削減法案と副首都創設法案を強行。野党の審議拒否で国会が空転し、高市首相が譲歩を重ねる自業自得の展開となった上、孤立を深めるペナルティーを負った。

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 局面が変わったのは、8日の夕方。自民の梶山弘志国対委員長と中道改革連合の重徳和彦国対委員長が午前中から断続的に4回会談。梶山氏が「与党の責任において会期中に実施する」とし、野党が要求する高市首相出席の衆院予算委員会集中審議の実施を確約。来週にも行われる見通しとなった。少数与党の参院は6日に集中審議と党首討論の実施で合意し、一足早く正常化していた。

 マイクを向けられると「出席の要請があれば出席して誠実に答弁する」と言いながら、内輪では「なんで出なあかんの」と集中審議から逃げてきた高市首相が白旗を揚げた要因は、今国会での成立を期す皇室典範改正案だ。皇族に連なる麻生太郎副総裁が主導し、「立法府の総意」にこぎつけたのに中ぶらりん。高市首相降伏により、10日の衆院議院運営委員会で審議入りし、本会議採決を経て参院へ送られる見通しとなった。

 しかし、スンナリとはいかない。中道は付帯決議案を修正して「女性宮家の創設」を盛り込むよう求め、立憲民主党は自民がドサクサ紛れに混ぜ込んだ「旧11宮家の男系男子の養子縁組」を認めず、反対する方針を決定。「総意」とも「静謐な環境」とも程遠く、自民内からも反発の声が上がる。

 船田元・元経済企画庁長官はホームページに「国会の総意から逸脱したものと言わざるを得ない」「皇室に対して極めて失礼ではないだろうか」などと投稿(7日付)。国旗損壊罪法案の衆院本会議採決では、岩屋毅前外相が退席し、公然と異論を呈した。嫌・高市首相の良識派が反旗を翻しやすい状況になってきた。

■「美しい妹」もウソだった

 局面打開の踏み台にされた維新も黙ってはいない。定数削減法案は取り下げに同意したものの、大阪都構想につながる副首都法案は大阪都構想にみたび挑む府知事の吉村洋文代表にとって譲れない一線だ。成立には会期延長は不可避で、高市首相にオラつくのは必至だ。インドのモディ首相が高市首相を「美しい妹」と評したのもガセだったし、ウソばかりついているとロクなことがない。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。

「多弱の野党がここまで粘れたのは、自民国対が面従腹背なのが透けて見えたからでしょう。官邸の意向を本気でゴリゴリ押し込んでくる気概はさほどなかった。そもそも、国会日程が当初から窮屈だったのは、首相が真冬の総選挙に突っ込んだから。大勝したからといって、今年度予算案の年度内成立はできず、首相の醜聞炸裂で国会は前代未聞の大混乱に陥った。維新肝いりの2法案に自民は関心が薄く、野党不在で強行採決なんてしたら悪しき前例になる。結果、常識的なラインに落とし込んだということ。会期延長が浮上していますが、首相がサンドバッグになる覚悟を決めない限り不可能。17日に国会は閉じるとみています」

 高市首相の「寝不足」は当面つづく。枕を高くして寝るには、官邸を去るほかない。

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