謎の体調不良だと思ったら婚約者に薬を盛られていた…34歳女性デザイナーが「愛した人の正体」

写真拡大 (全3枚)

都内でフリーのデザイナーとして働く山野千佳さん(34歳・仮名)には、つい最近までA氏という婚約者がいた。大手金融機関勤めで高収入。料理上手で家事もこなし、恋人が体調を崩せば献身的に支える。友人たちからも「理想の彼氏」と絶賛されていたという。

しかし、A氏と同棲を始めてから、千佳さんは強烈な腹痛に悩まされるようになる。病院で何度検査をしても異常は見つからない。医師からは「精神的なものではないか?」と診断され、仕事も段々と手につかなくなっていった。

もはや献身的な看病を続けるA氏だけが、千佳さんの心の拠り所となっていた。

ところが、千佳さんの自宅をたびたび訪れるようになった親友からのLINEをきっかけに、事態は急展開を見せる。

〈仕事用のメアドにメールしたから見て。このLINEは既読がついたら消します〉

首をかしげながらも開いた親友からのメールにはこう書かれていた。

〈あんた、彼氏になんか薬盛られてない?〉

千佳さんの婚約者の正体とは--。

前編記事〈「あんた、婚約者に薬盛られてない?」友人の一言に戦慄…謎の体調不良に悩む34歳女性デザイナーが味わった「恐怖体験」〉から続く。

婚約者だけが嬉しそうだった

親友から届いた一通のメールを見た時、山野千佳さん(34歳・仮名)は「あんた、彼氏に薬を盛られていない?」という短い文章を何度も読み返した。

約2年間、千佳さんは原因不明の腹痛に苦しみ続けた。病院で検査を受けても異常はなく、仕事の付き合いも友人との外出もままならなくなっていた。そんな彼女を支えていたのは、誰よりも優しく献身的な婚約者だった。

だが親友は、その姿に強い違和感を抱いていたのだ。確証はないが、直感が働いたのだろう。メールにはA氏の不審な点がつらつらと書かれていて、こんな文章もあったという。

「千佳の具合が悪くなるたび、彼の口角が上がっていて怖かった」

キッチンの隅で見つかったもの

千佳さんには優しく献身的な彼として見えていたが、もともとA氏を知らない親友は婚約者の反応を冷静に見ていたようだ。

「A君に付き添ってもらった病院についても『ここまでお腹が痛かったら、近所の病院だけじゃなくて大きな病院で精密検査するとかしない?普通、大病かと思うじゃん!』と書いてありました。確かに彼は心配こそしていたものの、いつも『俺がもっと支えるから』とか『ご飯をもっとお腹に優しいものにしてみる』と言うだけでした」

さらに思い返してみれば、千佳さんが自宅で口にしていた食事は全てA氏の手作りだった。親友の指摘の通り、いくらでも薬を盛ることは可能なのだ。

「半信半疑でしたが、自分の体で確かめてみようと思いました。まずは外で打ち合わせがある日にいつも通り、彼の作った朝ごはんを食べ、スムージーを飲みました。案の定、信じられないくらいお腹が痛くなって、いいタイミングで『お腹平気?』と彼からLINEがきました。そして別の外出日にわざと寝坊して自宅で水も飲まずに家を出てみたら……全然何ともなかったんです」

それから千佳さんはわざと寝坊を繰り返したり、急な会食があると嘘をついたりして、自宅での食事を避けるようになった。その間、A氏が寝静まった頃を見計らい、何か怪しいものがないか家中を探した。

そして、とうとう千佳さんはキッチンの隅で見つけてしまう。隠されていたのは、大量の下剤のストックだった。

「調べてみたら、薬局で手に入る強力な下剤でした。全部で10箱とかかな?同棲を始めてからは『どうしてもやりたい』と譲らない彼に料理は任せていました。だから、混入させるのはすごく簡単だったと思います」

愛した婚約者の正体

下剤を見つけた翌日、千佳さんは夜逃げをするようにこっそりと実家に避難した。母親にだけ事情を説明し、別れと引っ越しの段取りをしてもらったそうだ。

「父に話したら何をするかわからないし、別に裁判をして慰謝料をもらいたい訳でもなかったので。とにかく、ご飯に薬を入れた可能性のある人とは怖くて一緒にいられない。関わらないことが私にとっての最大の優先事項でした。母は『一緒にいると体調が悪くなるみたいだからごめんなさいね』とだけ言ったそうですが、彼は終始無言だったようです」

A氏の前から姿を消して以降、あちらからの連絡は一切ない。一部の友人は「なんであんな素敵な彼と別れちゃったの?」と首を傾げていたようだが、真実は告げていないという。

代理ミュンヒハウゼン症候群って知っていますか?子どもをわざと病気にして、健気に看病することで自分の心を落ち着かせる精神的な病気だそうです。彼の行動、これにすごく似ているんですよね。もしそうだとしたら逆に彼のことが心配になってきます。でも、もう私は関わりを持ちたくない」

A氏が何を考えていたのか、なぜ大量の下剤を保管していたのか。はっきりした答えはわからない。ただ一つ確かなのは、千佳さんは“病気”によって社会とのつながりを失い、生活そのものを奪われかけていたということだ。

代理ミュンヒハウゼン症候群の可能性もあるが、現実には善意や愛情の仮面を被った支配は存在する。むしろ怖いのは、加害者が暴力的な人間とは限らないことだろう。周囲から「優しい恋人」「理想のパートナー」と評価され、疑うという選択肢さえ浮かばないケースも少なくない。

パートナーの優しい言葉や行動の裏にある違和感を、私たちは一体どこまで見抜けるのだろうか。

もし親友があの日、一通のメールを送っていなかったら――。

千佳さんは今もなお、自分自身を責め続けていたかもしれない。

----

【さらに読む】〈「おっぱい出てるかぁ?」授乳覗きをやめない実父に吐き気…大好きだった父親の「耐えがたい奇行」〉もあわせてお読みください。

【さらに読む】「おっぱい出てるかぁ?」授乳覗きをやめない実父に吐き気…大好きだった父親の「耐えがたい奇行」