海外進出が好調な「chocoZAP」(左/時事通信フォト)

写真拡大

 RIZAPグループが2026年3月期決算を発表。売上収益が1672億5700万円(前期比2.2%減)となった一方、営業利益が110億8600万円と前期比488.9%増を達成したことを報告した。RIZAP株式会社単体では過去最高益を記録しており、その躍進の立役者が、月額2980円(税抜)という低価格で知られる小規模無人ジム「chocoZAP(チョコザップ)」だ。

【写真】「サードプレイス」としての需要も高い香港の店舗。日本の店舗の平均より2倍ほど広く、ワークスペースも設けられている

chocoZAP」は海外出店が好調で、2026年5月14日現在、香港に16店舗を展開中。2店舗を置く台湾でも本格展開が決定し、その勢いのままアジア全域へ最大150店舗の出店拡大を見込んでいる。

chocoZAP」といえば、トレーニングマシンに加え、セルフエステやセルフホワイトニングなどの美容サービスも用意し、幅広い意味での"ケア"を提供することが特徴だ。だからこそ国内では当初、「『chocoZAP』は結局ナニをする場所なの?」と戸惑う声も一部あったが、香港ではむしろその幅広さこそが支持に繋がったようだ。

 広報担当者が語る。

「香港の人口密度は世界トップクラスで、そのため住宅コストも世界最高レベルです。狭小住宅ゆえに、生活機能を自宅以外にアウトソーシングせざるをえない事情がある。だからこそジムにランドリー、セルフエステなどをひとまとめに安価で提供する『chocoZAP』は、類を見ないサービスとして受け入れられました。

 各地のニーズに合わせた結果、海外の『chocoZAP』店舗は日本のものと設備が少々異なり、国内店舗にはないトレーニングマシンや美容サービスなども用意しています。また、日本の店舗の平均より2倍ほど広く、ワークスペースも設けています」

chocoZAP」は海外において、 "サードプレイス"として利用されているようだ。

「日本の店舗では、お仕事などの帰り道にサッと寄って、サッと帰るような利用スタイルが主流かと思います。一方、海外の店舗は、作業の合間に運動するなど、より多様なスタイルで利用されており、長時間滞在する方も珍しくありません。

 人口過密地域への出店には、"1店舗あたりの集客効率が高まる"というメリットもあることがわかりました。香港でつかんだ一連の勝ちパターンをもとに、さらに海外展開を進めていきます」

 香港で得たノウハウを踏まえ、国内の店舗でもサードプレイス需要に応える方針だという。今後、150億円規模の投資のもと、マシンのラインアップを強化し、ワークスペースやカフェスペースを新設するなど、全店舗リニューアルに踏み切る。また、女性たちに安心してジムを利用してもらうことで未開拓マーケットを獲得するべく、女性専用「chocoZAP」も展開していく。

広報担当者は、「今期は、『chocoZAP』の"第2章"の幕開けの年になります」と語る。

「おかげさまでブランドの認知はかなり獲得でき、大勢の方々に『chocoZAP』というものを知っていただいていますが、『ではそのうち何名の方が会員なのか?』と考えると、まだまだ成長の余地はあるはず。サービスのクオリティをより上げることで、次なるフェーズへと突入します」

 しかし150億円とはかなりの投資だ。将来的にどのように回収していく想定なのか。

「150億円の成長投資によるサービス拡張の目的は、LTV(顧客生涯価値、1人の顧客が取引開始から終了までにもたらす利益の総額)の向上にあります。マシンを充実させ、空間自体も居心地の良いものにすることで、会員の皆さまにずっと利用を継続していただきたい。

 そして、まだ会員じゃない方にも『chocoZAP』に魅力を感じていただき、より多くの方に会員になっていただきたいと考えております」

 投資回収に向けた大きな一手として、AI活用も進める方針だ。これまで推進してきたAX(AIトランスフォーメーション)をより一層強化していく。店舗運営のための各作業をAIに任せるとともに、いずれは"AIトレーナー"も実装予定だという。

「大幅リニューアルによる会員継続率アップ、新規会員獲得で収益を増やす一方で、AX化によりサービス改善や向上を維持しつつ店舗運営を効率化し、コストカットを実現する。この両軸で、成長戦略を描いています。

 また、以前は基本的に弊社直営で店舗展開をしていましたが、現在テスト展開中のFC店舗についても拡大していく見通しで、さらに効率よく店舗数を広げていきます。もちろん各店舗のクオリティを下げないよう、 FCオーナーさんには『chocoZAP』の理念をしっかりご理解いただいた上で協業を進めてまいります」

chocoZAP」によると、日本のフィットネス参加率は現在4.5%だが、彼らはこの数値を20%にまで押し広げることを目標としている。国内1900店舗を超え、海外展開も好調で、いよいよ突入した"第2章"では、そのゴールにさらに近づくことができるか。

◆取材・文/原田イチボ(HEW)