QVC 、テレビから TikTok へ。LAイベントに見るソーシャルコマース戦略

記事のポイント
QVCはTikTokと提携し、LAで「スーパーブランドデー」を共催。50歳以上の著名人を起用し、世代横断型のソーシャルコマース戦略を展開した。
従来のテレビ視聴に代わり、QVCはライブ配信とソーシャルメディアを軸とした販売にシフト。24時間体制のTikTokライブ販売を始動した。
QVCは「認知の課題ではなく認識の課題」を克服すべく、ブランド再構築を図っており、Z世代や新規層との接点強化に注力している。
QVCはTikTokと提携し、LAで「スーパーブランドデー」を共催。50歳以上の著名人を起用し、世代横断型のソーシャルコマース戦略を展開した。
従来のテレビ視聴に代わり、QVCはライブ配信とソーシャルメディアを軸とした販売にシフト。24時間体制のTikTokライブ販売を始動した。
QVCは「認知の課題ではなく認識の課題」を克服すべく、ブランド再構築を図っており、Z世代や新規層との接点強化に注力している。
あわせて、ELC傘下のMACコスメティクスにおける幹部交代、LVMHによる新セレブアンバサダーの任命、2025年第1四半期の美容品売上が示すマス市場の堅調な動きについても取り上げる。
視聴者はテレビからソーシャルへ。QVCが挑むライブ販売の変革
「今や、女性たちは従来のようにテレビを視聴していない」。QVCのブランド担当シニアバイスプレジデント、アネット・ダンリービー氏はそう語った。
「以前は、たまたま番組を目にした視聴者が、ながら見のなかで商品を購入し、司会者とコミュニケーションをとるようなスタイルが主流だった。だが現在、それと同じことが起きているのはソーシャルメディア上だ」。
Glossyによれば、ソーシャルメディア上でのライブ販売は急速に主要チャネルへと成長しており、先進的なブランドはTikTok Shopなどを活用して何百万個もの商品を直接販売している。
また、多くのブランドが、社内に専用のコンテンツスタジオを設けるなど、ライブ販売への本格的な投資をはじめている。
市場調査会社ミンテルの2024年の調査によれば、消費者の4割以上がソーシャルメディア上で買い物をした経験があり、さらに約2割が今後の利用に関心を示している。
こうした背景のもと、QVCは4月にTikTok Shop上での24時間ライブ販売体制を正式に発表した。膨大な商品ラインアップ、プロモーション、そして多彩な司会者というQVCならではの強みを活かし、新たな販売チャネルに本格参入している。
ダンリービー氏によれば、現在はペンシルベニア州スタジオパークにTikTok専用のミニスタジオを新設し、商品販売に特化したライブ番組を次々に制作しているという。QVCの司会者たちはそれぞれ固定ファンを抱えており、テレビ番組に加えてTikTok上のライブ配信も担っている。
QVCにとって、今は極めて重要な転換期である。5月上旬、QVCは売上が前年比10%減少し、2025年第1四半期の純損失が9100万ドル(約130億円)に達したと発表した。CEOのデビッド・ローリンソン氏は決算説明会で、「顧客は現在の社会情勢に大きく影響を受けている」と述べた。
つまり、インフレや関税問題の影響に加え、地政学的な不安も高まるなかで、視聴者がケーブルテレビのニュース番組を「ザッピングする行為」すらストレスになっている。ミシガン大学の発表によれば、消費者心理は前年比で26.5%も低下している。
「ニュースを見れば、悲しくなったり、落ち込んだり、怒りを覚えたりする」。ダンリービー氏はそう話す。
「QVCのチャンネルをつければ、友人のような司会者が楽しくプレゼンをしてくれる。気軽に買い物もできて、笑顔になれる空間だ。日々のストレスから少しでも解放されたい女性にとって、ここは癒やしの場所であり、安心できる顔を見ることで元気になれる。だからこそ、当社はTikTokでのソーシャルコマースに注力しているのである」。
QVCの認識を刷新へ。TikTok戦略と50歳以上アンバサダーで新たな接点を開拓
ダンリービー氏は、チームの売上目標の達成に加えて、QVCというブランドを新たな若年層の買い物客に再認識させることを重視している。「QVCには認知度の問題ではなく、認識の問題がある」と同氏は述べた。
「おばあちゃんが利用していた頃のQVCとは違う。今回のソーシャルコマースの取り組みは、今の女性たちがいる場で彼女たちに直接アプローチするための手段である」。
QVCはもともと2024年8月にTikTok Shopへ参入し、ショッピング動画の配信を開始していた。今回、販売体制を24時間年中無休へと拡大するにあたり、QVCとTikTokはカリフォルニア州サンタモニカで「スーパーブランドデー」を共催し、8時間にわたるライブセールイベントを実施した。
スーパーブランドデーとは、TikTok Shop内で特別な販売枠を提供する大型キャンペーンイベントであり、過去にはレアビューティー(Rare Beauty)やエルフビューティー(E.l.f Beauty)などが参加している。2024年11月には、ロレアルパリ(L'Oréal Paris)がこの枠で100万ドル(約1億4300万円)超の売上を記録したと発表している。
今回のイベントは、50歳以上のインフルエンサーを起用する「第2期Q50アンバサダープログラム」の始動に合わせて実施された。参加者には、ジェニー・ガース氏、ホダ・コットブ氏、カーラ・ロックモア氏、キャシー・ヒルトン氏、キャシー・リー・ギフォード氏、ステイシー・ロンドン氏、バーバラ・バブス・コステロ氏、ビリー・ジーン・キング氏といった著名人が含まれる。
ダンリービー氏によれば、Q50の契約形態は一律ではなく、参加者のなかには自身のブランドと連動した利害関係を持つ者もいるという。
「TikTokでは常にライブ配信が行われており、当社がそこに参入したのはごく自然な流れである」とダンリービー氏は語った。
「とはいえ、当社の核となる事業であるテレビ番組制作をやめるつもりはなく、同時にストリーミングやデジタル分野にも力を入れている。我々は、女性たちがいるすべての場所に存在していたいのだ」。
[原文:Beauty & Wellness Briefing: TikTok and QVC team up for star-studded Super Brand Day in LA]
Lexy Lebsack(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:藏西隆介)
