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記事のポイントパブリッシャーは既存の契約やシステム統合の容易さを重視。チャットボットやデータ分析など用途別にモデルをテストし選定。商用・オープンソースを比較し、契約による収益や開発機会も重視。
チャットボットの作成やデータの分析などの機能や製品の作成のために生成AIテクノロジーを試してみたいと考えるパブリッシャーは、どの大規模言語モデルがもっとも適切に要求を満たせるかを判断する必要がある。そして、これらの判断における最大のファクターのひとつは、LLMを自社のテックシステム、たとえば各種の製品スイートやコンテンツ管理プラットフォームなどに統合するのがどれだけ簡単かだということが、3人のパブリッシングエグゼクティブとの対談により明らかになった。これは多くの場合、すでにエンタープライズテクノロジーやコンテンツのライセンス契約を結んでいる企業によって所有されているLLMを選択するということだ。たとえば、あるパブリッシャーの匿名希望の広報担当者は、自社で多くの異なるLLMのテストを行うのではなく、OpenAIのモデルを主に使用していると、米DIGIDAYに語った。この会社は、OpenAIのGPTモデルを使用するチャットボットを構築するプロジェクトに成功したあとで、OpenAIとのあいだにコンテンツのライセンス契約を結んだ。このパブリッシャーは、生産性ツールなどのほかのニーズに対してもGPTを使用し続けている。別のパブリッシャーのエグゼクティブも同様に、ただOpenAIとのあいだにコンテンツ契約があるという理由で、社内ではほかのLLMは使用せず、OpenAIのGPTモデルを使用していると、匿名を条件に語った。3人目のエグゼクティブは、マイクロソフト(Microsoft)やGoogleなどの企業に所有されているLLMを使用しているが、これはそれらの企業によるMicrosoft Office 365やGoogle Workspaceなどのエンタープライズソフトウェアを使用するためにすでに料金を支払っているためだと、同様に匿名を条件にして語った。これにより、「LLMを自社の完全な開発エコシステムに統合する作業が非常に簡単になる」と、3番目のパブリッシャーのエグゼクティブは語った。同社はMicrosoft Office 365の製品スイートを利用しているため、「すでに使用しているOutlook、Excel、PowerPoint、WordなどのツールにCopilotをネイティブで統合できる」と、このエグゼクティブは付け加えている。ザ・スキム(TheSkimm)で最高製品およびテクノロジー責任者を務めているネイト・ランドー氏は、すでに契約を結んでいる企業が提供しているテクノロジーを使用すれば、自社で独自のソリューションを構築する必要がなくなると述べる。「当社のパートナーのうち、データストレージ企業のスノーフレーク(Snowflake)など何社かは、独自のAI統合を提供している。可能な限り、最初からソリューションを構築するよりもそれらを優先している」と、同氏は述べている。そして、ザ・スキムはAIテック企業と独占契約を締結していないため、さまざまなモデルを柔軟に使用できると、ランドー氏は付け加える。「この分野は急速に進化し続けており、それぞれのモデルには異なる長所と短所があるため、単一のプロバイダーを集中的に使用することはしていない。ユースケースごとにいくつものプロバイダーをテストして、確実に最適なものを選ぶようにしている」と、同氏は述べている。どのLLMを使用するかを評価するときにメディア企業が考慮するほかのファクターには、コスト、パフォーマンス、モデルの出力の品質、およびプライバシーとセキュリティの考慮事項がある。「当社にとって、モデルが当社ユーザーの情報や入力によってトレーニングされず、AI製品との対話がすべて安全で保護されていることは非常に重要だ」と、フォーブス(Forbes)の最高デジタルおよび情報責任者を務めるバディム・サピツキー氏は述べている。

パフォーマンスのテスト

これらのすべてがパブリッシャーの時間と資金を費やすに値するものであるには、パブリッシャーのユースケースでLLMが適切に動作する必要がある。さまざまなプロセスにどのLLMを使用するかを選択するとき、ザ・スキムはモデルを並べてテストし、出力を比較して「ブランドボイスや編集基準と合っていることを確認する」と、ランドー氏は述べる。これらのモデルのあいだに見られる大きな相違点は「各種のユースケースにおける音声、口調、正確性」であることが理由だと、同氏は付け加えている。たとえば、クロード(Claude)は「柔らかく、より自然な口調」で、「特に正確」なため、ランドー氏は応答の音声や口調が特に重要なタスクのため選んでいる。しかし、ザ・スキムのデータセットを操作するときのように、それほどクリエイティビティが要求されないタスクでは、メタ(Meta)のラマ(Llama)のようなモデルを、「正確で実用的な応答を確実に返し、ハルシネーションを避けられる」ことから選んでいる。しかし、LLMは急速に進化し続けているため、これらの相違は「わずかなものになってきている」と、ランドー氏は述べている。ランドー氏によると、ザ・スキムは特にデータ分析、オーディエンスの獲得、実験の3つの目的でLLMを使用している。これらのモデルにより、ザ・スキムはデータから主要なトレンドとコホートを見つけだし、オーディエンスをセグメントに分けて、ショッピングとコマースビジネスや、スポンサー付きコンテンツなどのために、メッセージングや商品のターゲットを設定できる。3人目のパブリッシャーのエグゼクティブは、自社がチャットボットの構築のような製品開発のためにGoogle Geminiとそのサービスを使用していると語る。社内の効率性のツールとしてはMicrosoft Copilotを使用している。同社は現在、AI機能をGoogle Workspace(Gmail、Docs、Meetなどの製品を含む)に統合するため、Google Geminiを評価している。

コストの検討

タイム(Time)で最高執行責任者を務めているマーク・ハワード氏は、ほかのLLMよりも特定のLLMを優先して使用する(タイムはOpenAIとのあいだにコンテンツのライセンス契約を結んでいる)ことによる金銭的なインセンティブに加えて、将来の製品開発に関与する機会を考慮すると語る。このような機会は、パブリッシャーにとって有益になりうる新製品の開発を促すための意思決定ができる立場にいることにつながり、ビジネスに利益をもたらすことになるのだという。「これらの契約のいくつかは、開発中の新しいマーケットプレイスに参加するという要素が強い。私にとってもっとも興味深いのは、現在は存在しないものを企業が真剣に構築しようとしているということだ。これらが構築されているなかで、参加したいと思う」と、ハワード氏は述べる。タイムはパープレキシティ(Perplexity)やプロラタ(ProRata)とも契約を結んでおり、前者の広告収益シェアプログラムと、後者の使用回数あたりの報酬体系に参加している。ザ・スキムは現在、オープンソースモデル(メタのラマやフランスを拠点とするミストラル(Mistral)など)と、アンソロピック(Anthropic)のクロード(Claude)や、OpenAIのGPTモデルなどの商用製品を組み合わせて使用している。同社はプライベートLLMのAPIにアクセスするため料金を払うことと、独自のオープンソースモデルをホストする、潜在的により投資対効果の高いオプションとについて、得失を比較していると、ランドー氏は述べている。[原文:How publishers are choosing which LLMs to use]Sara Guaglione(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:坂本凪沙)