「子供とよく来る公園、砂場が使用中止になっててえぇ...と思ったら、想定外の理由だった。...なら仕方ないか、うん」

こんな投稿をしたのはツイッターユーザーの空転(@Kuten_W)さんだ。2019年9月14日、東京都府中市内のある公園の砂場が封鎖されているとツイートしたところ、17日時点で3万件を超えるリツイートを獲得するなど大きな反響を呼んでいる。

砂場が封鎖された驚きの理由とは――?


まさかの珍しいハチ(空転@Kuten_Wさん提供、編集部で一部加工)

砂場を囲むように置かれた柵には、以下のような貼り紙が貼ってある。

「現在この砂場には、一部他府県において絶滅危惧種に指定されている希少なハチが巣を作っています。
そのため、最短でも来年6月頃までの間、砂場を閉鎖し利用中止させていただきます。
皆様には、ご迷惑をおかけしますが、ご理解くださいますようお願いいたします。
なお、むやみに手を出さなければ危険性はありません」

なんと砂場に「ヤマトスナハキバチ」というハチが巣作りをしているという。ヤマトスナハキバチは環境省のレッドリストにも掲載されているほか、茨城では絶滅危惧2類(絶滅の危険が増大している種)に分類されるなど珍しい種だ。

しかし卵が羽化する翌年6月頃まで砂場を閉鎖とは、思い切った施策だ。どういう経緯でこうなったのか、Jタウンネットは2019年9月17日、府中市環境政策課の担当者を取材した。

担当者「非常に稀なケース」

担当者によれば、巣に気づいたのは6月19日に市民から届いたメールがきっかけだ。「砂場に虫がたくさんいるが貴重なハチではないか」という内容だったため、大学の先生を経由して専門家に調べてもらった。

その後7月3日、「ヤマトスナハキバチ」ということが判明したという。


「ヤマトスナハキバチ」の説明

砂場は調査を始めた6月下旬から簡易的に閉鎖。8月下旬からはフェンスをたて、ハチの説明なども掲示し、利用者や近隣住民に理解を求めている。

珍しい動物や昆虫による巣作りのため、公園の一部を閉鎖とはよくあることなのか。担当者は、

「私が知る限りではないです、非常に稀なケースですね」

と話す。

ヤマトスナハキバチは現在繁殖中。10月頃までに羽化できなかった幼虫は翌年6月頃の羽化が予想され、その後の砂場利用についてはそれを見てからの判断となる。担当者は、

「翌年6月に羽化した成虫が見られた場合は引き続き保護の措置をとる必要があるんじゃないかということで協議をしようと思っています。見られなかった場合は、越冬はしなかったのかなということで、本来の公園利用に戻すという判断もあり得ると思います」

と話しており、現時点では砂場の再開がいつになるかは分からない。


砂場は厳重に囲われている

担当者によれば、珍しいハチということでマニアが持ち去る可能性もあるため、公園名は伏せてほしいとのことだった。