EUは個人情報保護で“GAFA”狙い撃ち、日本はどう向き合うか
GAFAはグーグルのほか、アップル、フェイスブック、アマゾンの米大手IT企業4社の頭文字から作られた造語だ。
GAFAに代表される巨大プラットフォーマーは、個人データの収集と引き換えに高品質なサービスを無料で提供するビジネスモデルで成功を収め、その先の人工知能(AI)活用でも先陣を走る。デジタル化で出遅れた既存産業を丸ごと飲み込みかねない勢いだ。
これに対して、EUはプラットフォーマーに対する監視強化の姿勢を強める。5月施行のGDPRではEU市民の個人データを勝手にEU域外に持ち出せないようにするなどの厳しいルールと巨額な課徴金を導入した。
その対応もままならないうちに、EUは新たな規制案を公表し、早ければ2019年に承認予定という。対象は従業員50人以上、売上高1000万ユーロ(約13億円)超のプラットフォーマー。具体的にはネット検索ランキングの透明化や苦情処理・団体訴訟制度の導入などだ。プラットフォームの利用者がEU域内にいれば本社の所在地を問わずに適用する意向だ。
プライバシー保護規制の強化は世界各国も相次ぐ。直近ではブラジルでもGDPRが承認され、20年ごろに施行される。インドでは個人データ保護法案がまとまり、19年中に成立する見通しだ。
GAFAをめぐる是非論は尽きない。例えば米フェイスブック。同社が管理するユーザーデータ約5000万人分がデータ分析会社の英ケンブリッジ・アナリティカを通じて政治的に利用され、社会問題となったのは記憶に新しい。この件では、個人が同意する権利のない友人のデータまでも利用されていた実態も浮き彫りになった。
ただ、実態としては「グーグルなどは利用者が個人情報の扱いを制御できるような仕組みを提供している。何をどう使っているか分からないサービスはGAFA以外にたくさんある」(業界関係者)といった指摘も少なくない。“GAFAたたき”に興じていては本質を見えなくする。
デジタル資本主義―知的生産性カギ
プラットフォーマーが台頭する背景について、野村総合研究所の此本臣吾社長は、「人やモノが生み出す“活動情報”が新たな価値を創造する『デジタル資本主義』への構造変化が始まっている」と説明する。
カギとなるのは労働生産性から知的生産性へのシフトだ。米ウーバ―に代表される「ライドシェア」は、利用者の位置情報と移動ニーズを自動車の位置情報とリアルタイムにマッチングすることで対価を得る。収益の源泉はデータのマッチングに他ならない。
「データに基づいて『知識生産性』を高め、新しい経済のパイを作り出さないと、日本のように人口が減っていく国ではじり貧になる」(此本社長)。
何もしないと、プラットフォーマーの独り勝ちとなり、経済格差も広がる。GDPRなどの規制の議論の背景には産業のパラダイムシフトがある。日本もいち早く産業構造を転換し、新しい経済のパイを広げることが急がれる。
日本どう動く―制度設計は難航必至
日本政府は18日に、巨大プラットフォーマー規制強化に向けた基本原則を発表。グーグル、アマゾンといったIT大手を念頭に、専門の監督組織を設ける構えだ。基本原則に基づき、19年から制度化に着手する。ただ、過度な規制は生活の利便性向上やイノベーションを阻む恐れもあり、賛否両論がある。制度設計は難航が必至だ。
