画像提供/独立行政法人理化学研究所

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 人間がオモチャやロボットを抱き上げることはできても、人間サマを抱っこすることができるロボットって、聞いたことあるようでないような? この度、名古屋にある理化学研究所バイオ・ミメティックコントロール研究センターで開発された環境適応ロボット「RI-MAN(リーマン)」は、世界初、安全にヒト型人形を抱っこできちゃうロボットなのだ!

 板のようなものに人形を乗せて、それを手の力だけを利用して持ち上げるロボットは今までに存在したが、ちゃんと腕全体を使って力を分散させながら人形自体を抱っこすることができるのは「RI-MAN」だけ。人を抱きかかえるときのベストなタイミングの動きを計測し、その動作を記憶させる「全身マニュピレーション」を駆使して、安全に抱っこするのである。スゴいでしょ!? ということで、「RI-MAN」の記者発表にお邪魔してきた!

 まず最初に気になったのが「RI-MAN」って名前。やっぱ「人間社会にしっかり適応できますように・・・」という願いを込めて、一般人代表「サラリーマン」が由来となった名前なんだろうな・・・なんて勝手に想像していたんですが、違った。開発チームリーダーの羅志偉(ラ・シイ)博士のお話によると、「Robot Interacting with Human」の略なんだって。「複雑な環境で人と触れ合いながら柔軟に力仕事を行うロボット」という意味が込められているそうだ。

 柔軟に力仕事ができるとは言え、現在は12kgの人形を抱きかかえたのが最高記録。でも羅志偉博士の話では、「たまたま人形が12kgしかなかったから」とのこと・・・。計算上では35kgまで、さらなる改良を加えればその2倍の70kgまではいけるんじゃないか? とのことだった。

 と、ここまでは「抱っこ機能」ばかりフューチャーしてしまったが、なんと「RI-MAN」には触覚、視覚、聴覚、嗅覚の4つの感覚も備わっているのだ。例えば、介護の現場で老人が脱尿してしまった時などに、尿の臭いを素早く察知し「オムツガヨゴレテイマス」的に教えてくれるのだそう。しかも人に触れる部分が厚さ約5ミリのシリコンで覆われているので、モッチリしていて触り心地もグッド。顔もソフトな「ウル●ラマン」みたいで、かわいい。

 将来的には介護・リハビリの現場や一般家庭、はたまた力仕事が得意ということで、引越しの現場などでの実用が考えられているとか。しかし羅志偉博士曰く「予算が削減されているので、更なる開発には時間がかかりそう。5年後ぐらいを目途にホンモノの人間を抱っこできるように目指します」とのこと。

 皆さん、これ以上予算が削られないように、暖かい目で支援してあげて!(遠藤麻衣/verb)


■関連リンク
独立行政法人理化による「RI-MAN」の紹介