現役引退を表明し、次期巨人監督候補に白羽の矢が立った松井秀喜(38)に呼応するかのように、古巣オリックス帰還に軌道修正してきたのがイチロー(39)。巨人監督の目が消滅したことできっぱり、読売陣営とも決別というわけだ。

 1月16日から始めた自主トレーニングの場所もオリックス・バファローズの本拠地『ほっともっと神戸』。新たなイチローをデモンストレーションするかのように弟分の川崎宗則(マリナーズからFA)と斎藤佑樹(日本ハム)を従え、異色の合同トレを実施した。
 マネジメント会社が一緒ということで実現した合同練習というが、イチローと親しいマスコミ関係者によれば、「イチローが日本球界に復帰した場合には、2人は駆け付ける腹積もり」だという。昨年末、ヤンキースと2年契約を締結したイチローだが、スタメンを約束されているわけでもない。来季は日本で最後のシーズンを迎えるシナリオが着々と進行しているのだ。
 「昨シーズン、巨人が優勝を逃せば、巨人のユニホームを着る可能性が高かったのですが、原巨人が日本一となり、次期監督も松井の流れが出来たことで進路を変えたのです。割って入ったのが古巣のオリックスです。来年、オリックス本社が創立50周年のメモリアルイヤーを迎えることから、優勝を欲している宮内義彦オーナーの意を汲んで現場が“あるプロジェクト”を組んだ。その雄大なプランにイチローが興味を持ち、ジョイントする可能性が高まっているのです。マリナーズに放置された川崎はもちろん、大谷翔平の日ハム入団で広告塔の役目を終えた斎藤佑には電撃引退してスポーツキャスターへの転身の噂が囁かれている。今年は勝負の年。人生最大のピンチでイチローを頼っているのです」(同)

 「あるプロジェクト」とは、第3回『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』で米国代表監督を務める名将ジョー・トーリ氏の招請である。WBCでの世界一を手土産に、日本球界入りさせるのだという。
 トーリ氏はヤンキースでワールドシリーズを4度制覇し、転身先のドジャースでも2年連続で地区優勝を果たした。この間にヤ軍では松井を、ド軍でも黒田博樹をトップ選手に磨き上げた。それより以前にはメッツ、ブレーブス、カージナルスでも監督を経験しており、指揮官としてのキャリアは文字通り世界一。

 イチローがトーリ氏にぞっこんなのは「監督キャリア」にもあるが、それ以上なのが「ビジネスマン」としての才覚。その可能性に興味津々なのだ。
 「オリックスがメモリアルイヤーとなる来季に優勝したい、と意気込んでいるのはこれまでも伝えられているが、理由は親会社が創立50周年の節目を迎えるからだけではない。球団経営からの撤退を視野に入れているのです。もともとプロ野球に進出したのはオリックス(旧社名・オリエントリース)の社名を浸透させるのが狙いで、その役目は終えた。そこで幕引きを始めたわけで、有終の美を成すためにも優勝したいというのが建前なのです。その意味ではトーリ氏への監督招請は表の顔で、トーリ氏に球団を買い取ってもらいたい、というのが本音。トーリ氏は有力な投資家を束ねており、資金力は抜群だからです」(経済誌デスク)