ひとつの企業で今年に入って次々と自殺、他殺により9名もの死者が出たとしたら、あなたはそのニュースをどう受け止めるだろうか。コンピューター製品などを受託生産する世界最大メーカー、台湾鴻海グループの中国子会社、フォックスコン(富士康)で14日夜、今年9人目の従業員の死者が出たことが明るみになった。

14日夜10時50分頃、男性従業員1名が、フォックスコン龍華園区にある宿舎7階の屋上から転落、病院に運ばれたが11時40分頃、死亡した。

亡くなったのは21歳の男性従業員で、昨年11月よりライン作業員として働いていた。

警察の調べでは、男性の体には4箇所、刃物で刺されたような傷があり、転落現場には血の付いたナイフ、宿舎の屋上では血痕も発見されていることから、自殺と他殺の両面から捜査を進めていくもよう。

5月6日に男性従業員が窓から、11日には女性従業員が屋上から飛び降り、死亡。
フォックスコンでは今年1月23日からこれまでで、既に9人もの従業員の転落事件が起きている。
フォックスコンが4月に設置した自殺予防ホットラインには相談が殺到しているという。

フォックスコンは生産効率の良さで知られる。42万人もの従業員を擁し、軍事的な管理で世界の格式各様なニーズを満たしてきた。
流れ作業の仕事の多くは、誰にでもできる簡単な作業ではあるが、スピードが要求されるためプレッシャーが大きいのが特徴である。

6日に自殺した男性従業員の月給は2000元(約2万7000円)程度だったという。
中国の平均月給千数百元に比べると、まずまずではないだろうか。
しかし、それも残業に残業を重ねてのことのようだ。
従業員の話によれば、全く残業をしなかった場合は800元(約1万830円)程度しかないという。
そのため、従業員たちは自主的に残業を希望し、長時間労働が企業内に習慣化しているようだ。

死亡した9人が皆、18〜20代前半で、就業後あまり間がないことから、フォックスコンでのライン作業経験者や、現地メディアなどからは、若者の根性のなさを指摘する声が多く出ている。しかし、次々と死者を出すこの企業。本当に原因を”若者の根性のなさ”だけで片付けて良いのだろうか。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)

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