59歳女性が励む「西に黄色」「長財布」「トイレ掃除」 “単なる迷信”と思いきや、FPからは「お金は増えませんが…」の意外な答え
「西側に黄色のものを置く」「お財布は吉日に買った長財布が良い」「毎朝ピカピカにトイレを掃除すると金運が上がる」――。こうした「金運アップにつながる」と評判のおまじないや生活習慣を実践する人は少なくない。しかし実際のところ、本当に効果があるのかは怪しい。数多くの家計や富裕層のライフスタイルを見てきたFPの山口京子さんは、金運術をどう見ているのだろうか。確実にお金を残すための本当の金運アップ術を指南する。
【写真を見る】「え、そんな方法もあるの?」…《西に黄色》、《お金は長財布に》のほかにもまだまだあった!オモシロ金運アップ“都市伝説”
【case】「吉日の長財布」に「黄色いインテリア」……金運アップにへそくりと時間を費やすパート主婦
「老後が近づいてきたのに、夫の貯蓄残高は200万円。自分の口座にはわずか30万円。少しでも“お金が貯まる体質”になりたいと、開運情報は片っ端から実践しています!」

都内でパートとして働く順子さん(59歳、仮名)はあっけらかんと笑う。住宅ローンもあと5年分残っている。いわゆる「老後資金2000万円」には程遠い状態だ。夫の収入は定年退職後の再雇用で大きくダウンし、世帯収入は500万円になんとか届くという状態。そんな順子さんがハマっているのが、雑誌やSNSで見かける「金運アップ術」を実践することだ。
財布は、開運日にラッキーカラーのものに買い替えている。2026年は、「天赦日」「一粒万倍日」「寅の日」「大安」が重なる3月5日に、奮発して6万円の黒い長財布を購入した。西側の窓には黄色い小物を飾り、毎朝一番にトイレをピカピカに磨き上げている。「買わなきゃ当たらない」と宝くじは夏と年末に10万円ずつ購入し、その際も開運テクニックを実践している。
「まぁでも、生活が楽になる気配は一向にありません。宝くじは当たりませんし。実際のところ、こういう金運アップ術って“効く”んでしょうか…?」
【FPが回答】「長財布で金持ちになれる」のはホント?
「長財布を使うとお金持ちになれるという都市伝説、ありますね。お札を折らずに入れられて、お金にとって居心地がいいからみたいな理由で。実は私、10年以上前に長財布ブームが起きたとき、あえて真逆の『ミニ財布』を使って自分の収入や資産がどうなるか、実験をしたことがあるんです(笑)」
そう明かすのは、FPの山口京子さんだ。
「実験の結果どうなったかというと、収入も資産も右肩上がりに増え続けました。当たり前ですが、長財布でなくてもお金は増えたわけです」
山口さんによれば、当然ながら、財布の形状そのものに金運を引き寄せる力はない。むしろ長財布を持っている人にありがちな“しくじり”が、容量が大きいのをいいことに、レシートや使わないポイントカードを詰め込んで財布をパンパンにふくらませたまま放置することだ。
「1ヶ月前のレシートを溜め込み、自分がいくら使ったかも把握しない。会社の経費精算をし忘れたまま期日が過ぎて自腹になってしまう。これではどんな高級な長財布を使っていてもお金は貯まりません。重要なのは財布の形や色ではなく、こまめに整理して中身を把握し、支出をレシートやカード明細でチェックする習慣があるかどうかです」
意識を定着させる方法としては悪くない
では、「西に黄色」や「毎朝のトイレ掃除」といった金運アップ術は、まったく意味がないのだろうか。山口さんは「金運アップのおまじないそのものがお金を生むわけではありませんが、“お金持ちになりたい”意識を定着させる方法としては悪くないですよ」と語る。
「毎日トイレを磨いたり、西側に黄色いものを置いたりする行為は、『自分は資産を増やすんだ』という目標を確認するための日々のルーティンになります。掃除をして気持ちが引き締まり、無駄遣いを控えようと思えるなら、それは良い習慣といっていいでしょう。ただし、『トイレを掃除したから宝くじが当たるはず』と棚からボタモチを期待したり、開運グッズに散財したりするようなら本末転倒。おまじないはあくまで気持ちを整えるための手段に過ぎず、それだけで現実の口座残高が増えることはありません」
「占いを見る年収800万」より「制度を学ぶ年収400万」
「着実に資産を増やしている人と話をすると、その方たちは具体的な投資手法やNISAなどの税制・制度の情報をこまめに集めていることがわかります。占いや開運・スピリチュアルの話題はほとんど出ません。金融資産の残高とは、その人の『知識と行動』の結果を表すものです。運頼み情報を眺める時間を、制度や知識を学ぶ時間に充てた人が、最終的にお金持ちになっているのです。順子さんは世帯年収の低さで焦っていらっしゃいますが、『投資をしている年収400万円』のほうが『投資をしていない年収800万円』より、最終的な金融資産残高が多くなることを知っていただきたいですね」
真剣に資産を増やしたいなら、神頼みではなく、投資の勉強に時間を使うこと。そして開運グッズや宝くじに費やしていたお金は、新NISAのつみたて枠にまわすことをすすめる。
「これからはお金を『推し』だと思って接してみてはどうでしょう。大好きなアイドルやキャラクター(推し)ができたら、誰でもその人のことを詳しく調べたり、どうすれば会えるか勉強したりしますよね? お金もまったく同じです。自分の人生を豊かにしてくれる『推し』だと思って興味を持ち、占いから一歩進んで、新NISAの仕組みや節約のルールを推し活と同じ熱量で学んでみる。『お金が好きだからこそ、正しく知りたい』という気持ちで一歩を踏み出すことが、一番の金運アップになります」
※プライバシー保護のため、記事中の事例は、具体的な状況の一部を変更しています。
今回のアドバイザー/山口京子(やまぐち・きょうこ)さん
1966年名古屋生まれ。金城学院大学卒業。大学在学中から、テレビ・ラジオに出演。2000年にファイナンシャルプランナーの資格を取得。のべ2,500組以上の家計相談を受け、お金と人生の悩みを解決に向けてサポートしてきた。また、家計管理、貯蓄・資産運用のプロとして、金融庁、証券業協会、東京証券取引所の講演会にも出演。2024年には、「KOKUSAIには愛があるプロジェクト in あいち」のメインキャラクターに。『お金も人生も薔薇色!老後計画』(主婦と生活社)など著書多数。
取材・文/鷺島鈴香
デイリー新潮編集部
