【個別株】三菱重工は2023年「1株500円」で買えた!? 父が「4000円のタイミングで400株売った」と言いますが、元手20万円で「140万円」の利益ですよね? 株ってこんなに儲かるんですか?
2023年に「1株500円」では買えなかった理由
先に答えを言うと、利益140万円という計算そのものは合っています。ただ、2023年の三菱重工は1株5000円前後で取引されていました。500円というのは、あとから計算し直された金額なのです。
株式分割で過去の株価は書き換わる
三菱重工は、2024年4月1日付で、1株を10株に分ける株式分割を行いました。1950年の上場以来、初めてのことです。分割されると1株あたりの値段は10分の1になり、そのぶん持ち株数が10倍に増えます。
このとき、証券サイトの過去チャートも10分の1に直されます。例えば、2023年1月4日の始値は、当時の取引では5150円でした。それが今のチャートでは515円と表示されているわけです。
これが「500円」の正体で、当時その値段で売られていたのではありません。
もうけを決めるのは、売った400株の買い値
今回のケースの父親が全部で何株持っていたのかは、この話だけでは分かりません。三菱重工の売買単位は100株なので、当時5150円で100株買えば、かかるお金は約51万5000円でした。それが分割で1000株になり、そのうち400株だけ売った、という流れも考えられます。
それでも、売った400株のもうけは変わりません。分割後の値段に直せば1株515円ですから、400株ぶんの元手はおよそ20万円です。これを4000円で売れば160万円になり、差し引き140万円ほどが利益になります。
三菱重工の株価はなぜここまで上がった?
では、買い値の8倍近くまで値上がりするあいだ、株価はどんな動き方をしてきたのでしょうか。ここからは分割を反映した後の株価で見ていきます。
防衛費の増額が追い風に
年末の終値をたどると、2021年が265円、2022年が523円、2023年が824円、2024年が2223円、2025年が3840円と伸びています。株価を押し上げた一因が、防衛費の増額です。
2022年末に安保関連3文書が改定されて防衛予算が広がり、防衛装備品を手がける同社の受注が増えるとの見方が市場に広がりました。
ひと月で2割以上下げる場面もあった
とはいえ、毎日じわじわ上がっていたわけではありません。2024年8月は月内の高値が1999円だったのに対し、安値は1250円まで沈んでいます。
2025年11月にも高値4699円、安値3822円と大きく振れました。右肩上がりに見える5年間にも、こうした急な下げは何度も挟まっています。
140万円の利益から28万円ほどが引かれる
もうけが出た以上、避けて通れないのが税金です。株の売却益には20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)がかかります。140万円なら約28万4000円が引かれ、手元に残るのは約111万6000円です。
NISA口座を使っていれば税金はかかりませんが、非課税で買える金額には上限があります。2023年当時の一般NISAは年間120万円まで、2024年に始まった新NISAの成長投資枠は年間240万円までです。
そしてもう1点、値上がりする銘柄を前もって見抜くのは簡単ではありません。2015年から2021年までの三菱重工は、横ばいか下落がずっと続いていました。当時これほど上がると読み切れた人は、そう多くないはずです。
大きく値上がりした後で飛びつけば、先ほどのような急な下げに巻き込まれることもあります。1つの銘柄に資金を集中させたり、生活費まで回したりするのは避けたいところです。
まとめ
「1株500円」の正体は、株式分割で計算し直された株価でした。分割後の値段で500円ほどのときに買った株を、1株4000円で400株売ったのなら、140万円ほどのもうけは確かに出ます。
ただし、税金で約28万4000円が引かれますし、途中にはひと月で2割以上下げた月もありました。ここまでの値動きは、あくまでも過去の記録です。慌てて飛びつく前に、仕組みを確かめてから判断していきましょう。
出典
三菱重工業株式会社 株式基本情報
執筆者 : よし・こう
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP

