「山が好きではなかった時期もあります」登山家・野口健の娘・絵子(22)がミス日本グランプリになるまでの全記録
登山家・野口健を父に持ち、今年ミス日本に輝いた野口絵子。発売されたばかりの『デジタル原色美女図鑑 野口絵子 BEYOND THE PEAK』(小社刊)からスペシャルカットを抜粋し、父との思い出そしてこれまでの歩みを振り返った。
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私が山に初めて登ったのは9歳の冬。父・野口健に連れられた八ヶ岳はマイナス17度の吹雪で、感覚がなくなりかけた指先を心配すると「黒くなったら凍傷だ、まだ大丈夫」と父。そんな励まし方があるかと(笑)。山小屋でご飯を食べたら「また登るぞ!」と気力が戻る。子どもって単純ですよね。

撮影 安珠
実は山が好きではなかった時期があります。友達がみんな沖縄やハワイに行く中、うちは山ばかり。「父親と一緒にいたい」という気持ちで山についていったのが正直なスタートでした。
14歳の冬、ネパールのカラパタール(5,545m)に登頂。2019年にはキリマンジャロのウフルピーク(5,895m)へ。山頂まであと1時間でブリザードに見舞われ、まつ毛も凍り呼吸も苦しくなる中、父と腕を組み一歩一歩進んで、目の前に頂上の看板が現れた瞬間は言葉になりませんでした。
富士山では霧の中で道を間違えて軽い遭難も。電波も通じない中、冷静に来た道を戻ればいいと判断して歩き続けたら霧の奥に明かりが見えた。パニックにならず対処する――山で一番学んだのは精神の強さです。
「絵子」という名前の由来は?
「絵子」という名前はギリシャ神話の森の妖精「エコー」に由来します。山びこ、つまりヤッホーと呼びかけた時の反響音の語源となった妖精です。父が「自然の中で、自然と共に生きる子になってほしい」という思いを込めてつけてくれました。エコロジーのエコでもある、と父は思っているはず(笑)。名前を背負った以上、自然を大切にして生きていくしかないですね。
中学はイギリスの全寮制校・立教英国学院、高校はニュージーランドの全寮制高校と、12歳から18歳まで6年間の寮生活。ニュージーランドではコンパス1つ持って1週間、学生だけで森へキャンプに行くのが普通。そういう子たちは高校生でも夢が明確で「大学に入って何をするか」将来を見ていて、すごくかっこよかった。
ミス日本への応募は2025年のこと。「外見を競う場所」という印象で興味がなかったのですが、防衛省訪問や日本舞踊・華道体験など日本を多面的に学ぶ勉強会があると聞いて応募。国連を目指す子、医学を志す子、みんな核を持ち目がキラキラしている。
昔の日記でルーツをさかのぼったり、毎週スピーチを練習した。登ってきたどの山よりもハードルが高い挑戦でした(笑)。
好きな男性のタイプは「夢がある人」
慶應義塾大学SFCでは“田んぼゼミ”で農家さんと米を作っています。多くの学生たちが郊外にあるSFCの立地をネガティブに受け止めていて、学生が地域の人たちともっと繋がるために田んぼを始めました。自分たちで作ったお米のおにぎりは最高。この経験をもとに大学生向けの「環境学校」を立ち上げたい。自然体験を通じて「自分は何者か」を問い直す場所を作りたいんです。
好きな男性のタイプは「夢がある人」。核を持って進んでいる人は内側からオーラが出ていて楽しい。
自分の欠点はあれもこれもと手を出して全部が手薄になること、父にも母にも「絞れ」と毎日言われています(笑)。将来は父の「ピーク・エイド」を引き継ぎ発展させ、自然の中で次の世代に何かを伝えていきたい。自分の未来を想像すると、人生の歴史が顔に刻まれた、おにぎりが美味しく握れるおばあちゃん。それが今の私の理想です。
■プロフィール
野口 絵子(のぐち えこ) 2004年2月21日生まれ、東京都出身。登山家・野口健の長女。9歳で冬の八ヶ岳にデビューし、14歳でヒマラヤ、15歳でキリマンジャロ(5,895m)に登頂。イギリス・ニュージーランドの全寮制校を経て、現在は慶應義塾大学SFCに在学中。環境活動家としても活躍し、2026年の第58回ミス日本グランプリおよびミス日本「海の日」のW受賞を果たした。
Photo 安珠
Hair & Make 谷口翠彩
Styling 小泉美智子
Design 藤井靖子(まこしんデザイン)
Editor 吉永龍太(文藝春秋)
(「文春オンライン」編集部)
