BYD初の軽自動車『ラッコ』は年内1万台販売を目指す 軽自動車を研究し日本向けにゼロから開発 関係者のコメントを元に深掘り!【画像200枚】
多くの報道陣が集まった発表会
7月28日、都内で開催された『BYDラッコ』(RACCO)の報道発表会は、最近の発表会で最多と思えるほど、大勢の報道陣が来場した。
【画像】BYD初の軽自動車『ラッコ』が発売開始!広瀬アリスさんが登場した発表会の様子 全200枚
もちろん、TVCMに出演する俳優の広瀬アリスさんがゲストとして登場することもあったが、何といってもBYDが日本専用モデルとして初めて軽乗用車のEVを開発したことが話題となっていたからだろう。

7月28日、『BYDラッコ』の報道発表会が都内で開催された。 平井大介
ここでは劉学亮BYD副総裁/BYDオートジャパン(以下、BAJ)会長、東福寺厚樹BAJ社長、田川博英BAJ商品企画部担当部長、楊歩益BYDラッコプロジェクト商品総責任者らのプレゼンテーションやグループインタビューから、ラッコに関して深掘りしていこう。
世界一の新エネルギー自動車メーカー
12万人のエンジニアを擁し、2025年には460万台のNEV(新エネルギー自動車)を販売。そのうち100万台を海外で販売した、世界一のNEVメーカー『BYD』。今や世界累計生産、販売台数は1700万台を超えた。
日本においても、現在は準備室を含めて全国77拠点に正式店舗が56店あり、来年早々には全国に100拠点を配する予定だ。

TVCMに出演する俳優の広瀬アリスさんがゲストとして登場。 平井大介
2023年に販売を開始してから、今年7月に販売台数は1万台に達した。他市場の進捗状況に比べれば遅いが、それでも着実に台数を伸ばしている。
そんなBAJが日本に導入するのが、BYDとして初、海外の自動車メーカーとしても初の、日本の軽自動車規格に準拠した専用設計の電気自動車(EV)のラッコだ。
なぜ『RAKKO』ではなく『RACCO』?
日本市場における年間の乗用車登録台数は約400万台。その約3分の1にあたる130万台が軽乗用車だ。そこでBYDでは小型EV『シーガル』ベースの軽乗用車を日本導入しようと検討していたが、安全基準の問題で難しいとBAJは判断し、いったん保留となった。
しかしシーガルは欧州などで販売され、安全基準も欧州のレベルをクリア。結果的にBAJはシーガル導入に乗り遅れた。その代わりというわけではないが、日本専用モデルとして軽乗用車が開発されたわけだ。

英字は『RAKKO』ではなく『RACCO』と表記する。 平井大介
ラッコという車名は、海洋生物シリーズのひとつとして中国側から提案されたという。ただし英字を『RAKKO』ではなく『RACCO』としたのは日本側で、『K』はカドがあるので丸みのある『C』のほうがイメージも良いので選ばれた(PARCOも同様らしい)。なお、RACCOもRAKKOもBYDが登録商標としている。
BYDが仕向け地専用にクルマを開発したのは初めて
また、BYDが仕向け地専用にクルマを開発したのは、このラッコが初めてだという。それは、軽自動車は単なるクルマではなく日本の文化であり、日本社会が求めているものだから。
開発は全て中国で行われ、日本のあらゆる道はもちろん、スーパーマーケットの駐車場など様々なシチュエーションを調べ、クレイモデルをBAJのスタッフや販売店にも見せて検討を重ねた。

BYDが仕向け地専用にクルマを開発したのは、このラッコが初めてだ。 平井大介
スタイルはいわゆるスーパーハイトワゴンそのもので、奇をてらったデザインにしなかったのは、使い勝手や安全性を追求した結果であるという。保温機能付きカップホルダーや後席の傘収納ストラップなどは、日本市場をリサーチしての装備。
運転のしやすさ、街でも郊外でも、毎日便利に、広い荷室、豊富な収納など、日本の軽自動車を研究し日本のためにゼロから開発された軽乗用車、それがラッコなのだ。
専用に新設計された統合型EV技術『Xパックアーキテクチャ』
ラッコの技術的なエポックはやはり、専用に新設計された統合型EV技術『Xパックアーキテクチャ』だろう。
BYDはモーター、インバーター、減速機など、EVの駆動に必要な主要部品8つを一体化したシステム『8 in 1』を多くのモデルで採用しているが、ボディの小さな軽自動車ではスペース的に困難。

ラッコ専用に新設計された統合型EV技術、『Xパックアーキテクチャ』。 BYD
そこでモーターと減速機はボンネット内に収め、BYD得意のブレードバッテリーに電子制御ユニットやコントローラー類を統合することで、ボンネット内にクラッシャブルゾーンを確保。室内も床下にバッテリーを収めるEVとしては十分な広さ(特に室内高)を実現している。Xパックは、バッテリーを自社生産しているBYDならではの技術なのだ。
これはラッコで初採用された技術だが、今後は新たな小型車に採用される可能性は高い。欧州ではスーパーハイトワゴンのようなスタイルのクルマやスライドドアの要求は低いため、ラッコをそのまま販売することは考えにくいが、このアーキテクチャを利用したAセグメントのコンパクトEVが、比較的近い将来に登場するかもしれない。
年内に受注ベースで1万台を目指す
BAJとしては、販売開始から年内に受注ベースで1万台を目指しているが、各販売店で月に20台販売すれば1年間で1万2000台に達するから、決して不可能な数値ではないとしている。
年間で約130万台販売される軽自動車の中で1万台という台数はたいした数字ではない。しかし日本メーカーに刺激を与え、軽自動車やEVを検討していない人にも興味を持ってもらうことは、結果的に経済活性化にもつながるだろう。

左から劉学亮BYD副総裁/BAJ会長、広瀬アリスさん、東福寺厚樹BAJ社長。 平井大介
デリバリーやサービス体制には問題ないとし、BAJではこのラッコをきっかけに、BYDブランドの浸透を目指していくことを目指している。
BYDラッコ300プレミアムのスペック
全長×全幅×全高:3395×1475×1800mm
ホイールベース:2520mm
車両重量:1230kg
モーター:交流同期電動機
最高出力:47kW(64ps)
最大トルク:160Nm
バッテリー総電力量:35.84kWh
WLTCモード航続距離:320km
駆動方式:FWD
タイヤサイズ:165/65R15
価格:249万7000円

BYDラッコ300プレミア 平井大介

