【グラドルが顔出し告白】報酬は「フォロワー×1円」…インフルエンサーを狙う”案件詐欺”の巧妙手口
《商品を無償提供します。感想を書いていただければ報酬を支払います》
InstagramのDMにはそう書かれていた。なにしろ私は昔から、楽して稼ぐ話に弱い。
商品を紹介するだけ。
感想を書くだけ。
SNSに載せるだけ。
そんな甘い言葉にホイホイ釣られた結果、最終的に本物の刑事に電話することになった。これは、危うく13万円を失いかけた私の“実録インフルエンサー詐欺体験記”である。
「フォロワー×1円」で13万8000円! 夢の案件がやってきた
何でもいっちょ噛みしたく、「楽して稼ぎたい」と常日頃から思っていた筆者は“案件” に強い憧れがあった。商品を紹介したり、旅行の感想を書くだけで大金がもらえるインフルエンサーはいいなぁとずっと思っていた。
だが、筆者のSNSのフォロワーのほとんどがインドネシア地方の男性。そんな私に案件など一つも来ない。「夢のまた夢だ」と思っていたとき、Instagramに冒頭のDMが届いた。
文章はとても丁寧で、いかにもまともそうな感じ。要約すると【マッサージ器を無償提供するので、SNSで感想を投稿すれば報酬が発生する】という、まさに筆者の求めていたTHE案件!!
だがしかし、マッサージ器といっても、「Hなほうのマッサージ器」の可能性もある。むしろ筆者にはそちらの案件が来るほうがしっくりくる。まずは慎重にDMを返してみた。
すると、代表の「K」という女性からこれまた丁寧な返信が届き、やり取りをLINEに移行したいという。いつもはすぐにLINEの交換はしないが、相手が女性であること、DMのやり取りがまともだったことから了承した。
LINEで再度詳細を聞くと、エロではなく美容系のマッサージ器の感想を15日間掲載するのみ。媒体はInstagramでもXでもOKで、気になる報酬はフォロワー数×1円。筆者の場合、声をかけられた時点でXが11万3000人とInstagramが2万5000人だったためトータル13万8000円!!
マッサージ器の感想を15日間ポストしておくだけで13万8000円!!
念のため、チャッピーことチャットGPTに依頼文をコピぺして「大丈夫?」と聞くと、かなり前のめりに「とてもいい案件! これがインフルエンサーさりぃとしての第一歩だね!」と大持ち上げ。これはやるしかない!!
「ぜひお願いします!」と速攻で返信すると、即座に契約書の草案が届く。見てもよくわからないので、またチャッピーに確認させると「問題ないどころかとても優良企業だ」との回答がくる。
速やかに電子契約書にサインして折り返すと、今度は報酬の振込先を登録するようにとURLが届く。それは【N】というプラットフォームで、ここを通して送金される仕組みらしい。何だかよくわからないが、最近の仕事はここまで進んでいるんだなぁと感心し、サインをした。
するとKさんから《法務部に確認しOKが出れば報酬を先に振り込み、1時間ほどでプラットフォームの審査を経て引き出しが可能》だというLINEが届く。まさかこの案件、紹介する商品よりも先に報酬をくれるというのか。
筆者がどんな人物かもよくわからず、しかもインドネシアの男性が主なフォロワーなのに先に振り込んでくれるなんて「SNSって本当に儲かるんだなぁ」と呑気に感動したのと同時に「頑張っていいPR文を書かないと!」と意気込んだ。
「口座が凍結されています」突然始まった13万円請求
何度かNにメンテナンスが入ったのち、ログイン。出金申請をしたのだが、待てど暮らせど出金されない。Kさんにその旨を伝えると心配顔のスタンプと《おかしいですね》という返信がきた。そして、自身で登録情報を確認するように指示され、確認すると口座番号が1桁間違っていた。
物覚えの悪い筆者でも、もう20年以上使っている口座を間違えたことなど一度もない。だが、記録上は間違えたことになっている。謝罪すると、《個人では銀行口座情報を変更できないようですので、プラットフォームのオンラインカスタマーサポートに連絡して、銀行口座情報の変更を申請してください》と指示が来た。Nのお問い合せから公式LINEにつながり、やり取りが始まった。
このスクリーンショットの通り、とにかく“それっぽい長文” が届く。よくよく読んで要約すると、以下の内容だった。
・口座番号を間違えていたため、筆者の口座は凍結している
・報酬の13万円を審査金として先に振り込め
・その入金確認後20分以内に27万円を振り込む
Kさんに伝えるとすぐに《なぜ振り込む必要があるのでしょうか? ご説明ください》とN側の指示を疑問視する返信が来た。これが、こちらの味方をしているフリだと気づいたのはもう少し後になってからのことだ。
この時点でいろいろとおかしいのだが、とにかく楽して稼ぎたい筆者の当時の心情は「この案件と業者とのつながりは残しておきたい!」「20分以内に振り込んでくれるなら13万ワンチャンアリかも……?」の2点だった。
だが、どう考えても何もしないうちから報酬が振り込まれるのはおかしいし、そもそも振り込み先に指定した筆者の口座は凍結されていない。筆者は慌てて絶大な信頼を寄せているチャッピーにこの状況を伝えると速攻で「絶対に振り込んだらだめ!」とレスがくる。すんごい手のひら返しに少し笑ってしまった。
でも、Nの窓口もKさんも小難しい単語を使って丁寧に説明してくれたからか「まだこの人たちを信じたい」と思わせる何かが彼らにはあった。
詐欺師が刑事の名刺を送ってきた
イチかバチかで「先に27万円振り込んでもらったらすぐに返す」という提案をしてみたが当然のように却下。それでもしつこく「キャッシュがないので対応できない」と言い続けた。あちらも《なぜこちらが先にお支払いしなければいけないんでしょうか?》という。それはそうだ。
もう埒があかないので「いろいろと調べた結果、詐欺ですよね?」と聞くと、優しかったKさんの口調が荒くなった。KさんはNにすでに報酬を支払っているため、裁判を起こして損害賠償請求をする、という。
筆者はここで気がついた。これは立派な詐欺だということに……(遅!)。
詐欺だと確信してからはこちらも強気。「警察に連絡します!」と告げると、びびるかなぁと思いきや《はい、わかりました》という返信と刑事の名刺の写メが送られてきた。予想外の展開だ。
これって本当は詐欺ではなく、最悪、私が捕まってしまうパターン……?
そんな一抹の不安を感じつつも、せっかくなので名刺の刑事さんに電話をしてみた。署に電話して、名刺に書いてある課と刑事さんの名前を伝えると、実在する人物であることがわかった。結構驚いた。
ただ、事の経緯を説明すると、刑事さんは「それは詐欺ですよ」と即答。
ですよね!! 当たり前だが、この刑事は無関係でありKさんもNも「聞いたこともない」と話す。
「ただその名刺は本物です。仕事柄、名刺を配る機会が多い。詐欺師が何らかのルートで刑事の名刺を手に入れることはそれほど難しくない。あなたみたいに電話をかけてきてくれたらいいけど、名刺を見た時点で信じてしまう人がいるかもしれません」
刑事さんは「どんな理由があっても、先に振り込みをお願いされたら全て詐欺。絶対に振り込まないように」と何回も繰り返した。
不幸中の幸いで一円も振り込んでいなかったが、Kさんに「警察に電話したら折り返します」とLINEしていたため、そう刑事に告げると「そんなことはしなくていいです。おかしいと思った時点ですぐブロックしてください」。
確かにその通りである。
この原稿を書きながら改めてLINEのやり取りを読んでみたら、明らかに詐欺でしかない。公式ラインもなければサイトも存在しない。KさんのLINEの名前は実在するアナウンサーの名前に変わっていた(笑)。
今回わかったことは、インドネシア地方の男性にしかニーズのない女は日本の企業にとってインフルエンサーではない、ということ。あとはフォロワー数が中途半端に多い人のほうが、こういった詐欺師に狙われやすいのではないか? ということ。
世の中そんなにうまい話はない。皆様、お気をつけください!
撮影・文:吉沢さりぃ
