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電動化の潮流に逆らう内燃機関開発

ホース・パワートレイン(Horse Powertrain)は名目上は新会社だが、そのルーツは2010年にまでさかのぼる。当時、中国のジーリー(吉利汽車)がフォードからボルボを買収し、これまで別々だった2つの内燃機関開発事業を1つに統合した。

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そして既存の内燃機関の開発を縮小するのではなく、全面的な電動化に向かう業界全体の潮流に逆らった。あえてこの分野に投資し、事業を拡大したのだ。ホース・パワートレインのCEO、マティアス・ジャンニーニ氏は、「内燃機関は、今後も長期間にわたり、より一層改良され続ける必要がある」と認識していたからだと述べている。


ホース・パワートレインのCEO、マティアス・ジャンニーニ氏

ジャンニーニ氏はさらに、「他の多くの自動車メーカーが『EVに集中しよう。EVは急速に普及し、内燃機関は消えゆく運命にあるのだから、そこでは何もする必要はない』と言っていた中で、彼ら(ジーリーとボルボ)がそのようなビジョンを持っていたことは称賛に値します」と続けた。

それから10年余りが経過し、同様の考えを持つルノー・グループのルカ・デ・メオCEO(当時)は、自社の内燃機関開発を『ホース』という同様のコンセプトを持つ独立事業として分社化した。その後まもなく、ホースはジーリーおよびボルボと提携し、『ホース・パワートレイン』を設立した。当初はジーリーとルノーがそれぞれ50%ずつ株式を所有していたが、現在は中東の石油大手サウジアラムコが10%を取得している。

環境汚染とコストの問題に取り組む

今後10年間は、依然として約10億台の自動車が内燃機関で走ると予想されている。そんな中、ジャンニーニ氏は業界には2つの選択肢があったと語る。

「何もしなければ、市場に出回っている車両の半分は、非効率で汚染をまき散らし、コストも高いシステムを搭載したままになります。あるいは、誰かがその問題に対処しなければなりません。そして当社は、その解決に貢献する企業になると決めたのです」


ホースのレンジエクステンダー用ガソリンエンジン『C15』    ホース・パワートレイン

まさにそれが現在ホース社が取り組んでいることである。ジーリー・グループに属するブランドをはじめ、メルセデス・ベンツ、日産、ケータハムなど、すでに25社のメーカーが同社のエンジンの採用を決めており、さらに多くの企業と協議が進められている。

実際、ジャンニーニ氏は、「当社が協議していないトップ15の自動車メーカーを選ぶのは難しい」と述べている。この事実だけでも、ホースのビジネスモデルと製品の普遍性が証明されていると言えるだろう。そのため、同社はAUTOCARアワード2026の中でイノベーションと功績を称える「スターミー賞」に選ばれたのだ。

EVをハイブリッド化 小型軽量エンジン

ホースは創業当初から、ボルボ、ジーリー、ルノー由来のシステムを網羅したラインナップをすでに有しており、その後は独自の低燃費・コンパクト・低コスト志向のエンジンやハイブリッドシステムを次々と市場に投入してきた。

おそらく、これらの新製品の中で最も重要なのが『Xレンジ』シリーズだろう。同シリーズではさまざまなパワートレインを展開しているが、すべてにおいて共通の目標を掲げている。室内空間を圧迫することなく、フロアパンを拡張する必要もなく、重量の増加も最小限に抑えつつ、EVを比較的容易にハイブリッド車に変えることである。


ホースのレンジエクステンダー用ガソリンエンジン『C15』    ホース・パワートレイン

Xシリーズの1つであるガソリン式レンジエクステンダー『C15』は、その軽量かつコンパクトな設計から「ブリーフケース」とも称されている。ユニットのサイズは500mm x 550mm x 275mm(自然吸気版)となっており、それほど大きなバッテリー容量を必要としないレンジエクステンダーEVのフロアパネルにきれいに収まる。

これは、自動車業界におけるほぼすべての既成概念に挑むような、常識を覆すアプローチである。革新的技術であると同時に、商業的にもディスラプティブ(破壊的)だ。

内燃機関のピークはまだまだ先にある

しかし、疑問は残る。ホースは、あとどれくらいこの勢いを維持できるのだろうか? 最終的なタイムラインがどうであれ、いずれは誰もがEVを運転するようになるという計画は変わらない。そうなったとき、事業の中心に内燃機関技術を据えてきた同社には、一体何が待ち受けているのだろうか?

ジャンニーニ氏はにっこりと笑いながらこう語る。


ホースのレンジエクステンダー用ガソリンエンジン『C15』    ホース・パワートレイン

「その日が来るのは、まだ遥か先のことだと思います。だからこそ、その間に脱炭素化という課題を解決するという機会と義務が、当社のような企業に与えられたのです。この課題は、当社が現在の取り組みを継続する大きな原動力となっています」

世界初の内燃機関が音を立てて動き始めてから150年以上が経過したが、内燃機関のピークに達するまでにはまだ長い道のりがあるとジャンニーニ氏は示唆する。エンジンは常に、より高効率に、より静かに、よりコンパクトに、より軽量に、そしてより多様な種類の燃料で稼働できるようになる可能性があるからだ。

ジャンニーニ氏は、いつか終わりが来るという理由で業界がイノベーションを止めるべきではないと主張し、ホースはまさに本格的に回転し始めたばかりだと述べた。

「わたし達は止まりません。技術の限界を押し広げ、物事の新しいやり方を模索し続けます」