〈スクイーズ依存症〉「300個収集、支払いは給料超え…」TikTokで話題の“かわいい玩具”に生活を支配された20代女性の告白
現在、小中学生など10代女子を中心に人気に火がついている「スクイーズ」という玩具をご存じだろうか。スクイーズとは、低反発で柔らかな触り心地が特徴の、握って遊ぶ玩具で、スイーツやフルーツの形をした可愛らしいものも多い。
【画像】「このままだと破産する」実際にTikTokに投稿した“スクイーズ依存症”克服記録
そんななか、TikTokでは“スクイーズ依存症”を自称する投稿が注目を集めている。スクイーズにハマりすぎることはどう危険なのか。実際にスクイーズにのめり込み、生活に支障をきたしているという20代女性に話を聞いた。
「スクイーズに生活を支配されている」当事者女性が語る苦しみ
昨年末からスクイーズにハマり、現在300個以上を所持し、コレクションしているというにょろさん(仮名・20代女性)。
にょろさんは現在TikTokにて、自身の“スクイーズ依存症”の克服記録を投稿している。
「もともとスライムやスクイーズといった、変わった感触のおもちゃが好きでした。最近TikTokなどで食べ物の咀嚼音や石鹸を削る音のASMR動画(聴覚や視覚の刺激によって心地よさを誘う動画)をよく見ていた流れで、スクイーズの動画がたまたま表示され、欲しくなって購入したのがハマったきっかけです」
最初は動画内に映ったスクイーズの、柔らかでムニっとした独特の質感に惹かれ購入したというにょろさん。現在は自身を“スクイーズ依存症”だと自覚しているというが、きっかけはなんだったのか。
「ハマり始めてからほぼ毎日新しいスクイーズを購入するようになって……月の購入額が10万円を超えることもありました。直近ではクレジットカードの支払額のうち、約8割がスクイーズ購入代となってしまって、ついに自分の月々の給与額を上回りました。
貯金が底をついたので、リボ払いで対応したのですが、その時に初めて“自分の生活がスクイーズに支配されている”と思いました。このままだと破産してしまうという金銭的な危機感を抱いたことで、スクイーズ依存からの脱却を決意し、TikTokの投稿を始めたんです」
生活が苦しくなるほどスクイーズにのめり込んでしまったにょろさん。なぜここまでハマってしまったのか。自身ではこう分析している。
「スクイーズにハマった要因はいくつかあります。新作が発売されるペースが早く、その時々で人気の感触の商品が、さまざまなショップから次々に発売されるんです。新作が出るたびに気になって、ネットでチェックしてしまう日々でした。
またスクイーズは中国のメーカーの商品が人気で、販売スタッフがTikTokなどでほぼ毎日、実演販売配信をしているんです。休日はこの配信を見るために家に引きこもることも多かったですし、見るとどうしても買いたい欲を我慢できなくなるんです」
配信では「今しか買えない!」といった謳い文句で限定品を販売するケースも多いという。こうしたメーカーの販売方法も、スクイーズにハマる要因だとにょろさんは振り返る。
スクイーズ依存が起こる背景とは? 依存治療の専門家が解説
依存症治療に詳しい昭和医科大学烏山病院精神科の常岡俊昭准教授に話を聞いた。
スクイーズ依存が起こる背景にはどんなメカニズムがあるのか。
「精神医学上、“スクイーズ依存症”という概念はなく、これは“浪費依存”と呼ばれる行動の一種としてみることができます。浪費依存とは、何かしら辛い出来事などがあった時に、一時的にその感情を和らげてくれるものにお金を費やすといった傾向がひどくなった状態を指します。
人間だれしも辛いときに何かを利用してのりこえるという傾向を少なからず持っているとされており、例えば仕事が大変で疲れた時に、ビールを1杯飲みたくなるということもその傾向のひとつと言えるでしょう。さらに、刺激は徐々に耐性がついてしまうことから、最初はビール1杯で済んでいたのが、飲酒量が増えてしまうなど、依存対象への渇望がだんだんと大きくなることがあります。結果的に自分では歯止めが利かない状態となり、依存症に陥ってしまうのです」
にょろさんも「仕事が忙しくてイライラした時や、お腹が空いた時などに衝動的にスクイーズを買ってしまう」と語っている。
日常のストレスを緩和してくれるものに依存してしまう現象というのは、実は誰にでも起こりうる反応だと言えるだろう。
ストレス発散との向き合い方とは
では依存行動をエスカレートさせないためにはどうしたらよいのだろう。
「スクイーズをはじめ、日々のストレスを緩和するモノ自体が悪いわけではなく、あるひとつのモノでしかストレスを発散できないという状態が依存症への一歩になりかねないのです。ですから、自分のストレスを和らげる方法を複数持つというということを意識するのがおすすめです。
例えば友人と外出することや、ランニングをすることなど、自分にとって心地よいと感じるストレス発散法を見つけて実践することが、依存症を回避することに繋がります」
また常岡氏は、「自分でのコントロールが難しい本格的な依存症の状態に陥った場合は、同じ症状に苦しむ人と交流する自助グループなどへの参加が有効」だと指摘する。
――近年、SNSを中心に注目を集めているスクイーズ。その人気の広がりの一方で、“スクイーズ依存症”と自ら呼ぶほど、収集や購入をやめられず苦しむ人もいる。ストレスを和らげてくれるはずのものが、いつの間にか生活を圧迫してしまうことは、誰にでも起こりうるのかもしれない。
取材・文/瑠璃光丸凪(A4studio)

