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どんな依頼も断らない「傘修理店」に密着しました。“最後の頼みの綱”という店には様々なお客さんが。

25年前に奮発して買ったというブランド傘の修理を依頼する人や母親からもらった大事な傘の持ち手を交換してほしいという人も。

“直してまで使い続けたい”それぞれの思いを取材しました。

◇ ◇ ◇

神奈川・横浜市にある「傘修理専門店 傘地蔵」。この店をひとりで切り盛りするのは、職人歴10年以上の山口佳彦さんです。

山口さん
「傘の修理は断らない。どんな傘でもお直しする。お渡しするときに笑顔で『ありがとうございます』って喜んでもらえるので」

よみがえらせてきた傘は年間5000本以上。生地の張り替えや、先端のパーツ交換など、どんな依頼も引き受けます。

■25年前に買った思い出の傘「もう直せないと言われたけど…」

“最後の頼みの綱”として店を訪れた伊藤さん。

依頼者 伊藤さん
「これもう直せないって言われたんですけど、もし直ればうれしい」

大雨の日に壊れ、完全に開かなくなったブランドの傘。

山口さん
「骨をまとめているパーツが割れている状態なんですよ」

依頼者 伊藤さん
「そうなんですね」

店にある豊富なパーツで修理が可能だといいます。

使い続けたいのには理由が――

依頼者 伊藤さん
「バーバリーの傘に憧れがあって、自分で買えたのがうれしかった」

25年前、保育士として働いていたとき、2万円で買った思い出の1本。

依頼者 伊藤さん
「社会人になって生活にすぐ余裕も出ず、傘に2万円以上はかけられなかった。20代中盤からちょっと余裕が出始めたときです。買えたときはうれしくて、すごい大事にしてきました」

まずは骨を分解し、割れてしまったパーツを取り外します。新しい部品を取り付け20分ほどで完了。修理代は4950円でした。後日、使い慣れた傘が再び手元に。

依頼者 伊藤さん
「うれしい、ありがとうございます。ずっと一緒に生きてきました、25年くらい」

早速、外でさしてみると。

依頼者 伊藤さん
「どこが壊れたかわからないくらい、しっくりきます。こちらで直していただいて、新たな一歩って感じで、使える限り使っていきたいなと思います」

■「もう手に入らないので」購入時の3倍以上…お金をかけても直したい愛用品

別の日、訪れたのは横浜に住む佐久間さん。内側がドット柄の傘、数日前に骨が折れてしまったといいます。

依頼者 佐久間さん
「もう手に入らないので」

11年前に購入しましたが、ブランド自体がなくなり買い替えができないそうです。

依頼者 佐久間さん
「かわいくてどうしても使いたいなと思って」

山口さん
「直すのは直せます、大丈夫です」

依頼者 佐久間さん
「本当ですか」

山口さん
「ただ、大がかりな作業なので…」

長く使ってもらいたいと、劣化していた骨すべての交換を提案しました。先端がすぼまっている特殊な形状に合わせ、新しい骨を1本ずつ加工していきますが――

山口さん
「またばらします」

何度もやり直し、ミリ単位で調整。4時間ほどかけ完成しました。

待ちに待った受け取りの日。

依頼者 佐久間さん
「すごい直ってる。ありがとうございます、すごい」

購入時の3倍以上のお金をかけてでも直したかった愛用品。

依頼者 佐久間さん
「雨が嫌いなんですよ。でもこれをさすと、華やかな気分でいられる。丁寧に直していただいているんだろうなと思って、使うのが楽しみです」

■長く使うため持ち手交換 母からもらった思い出の1本

長く愛用するため部品を自分好みに替えたいという依頼もあります。

依頼者 30代
「譲ってもらって母から。十何年ずっと使っていた傘だったので、持ち手が替えられるなら使い続けたいなと思って」

17年前、大学1年生のときに母親からもらった傘。布が剥がれていた持ち手を木製の柄に交換してもらいました。

依頼者 30代
「母は覚えていないんじゃないですかね。傘を渡したことすら」

娘にとっては、大切な1本で…

依頼者 30代
「親元を離れ新潟に行ったんですけど、3日目に(自分の)傘が壊れちゃって、親に『新潟どう?』って聞かれて、『傘も折れたし心も折れた』って言ったらしくて。不安を打ち明けたときにお母さんが(代わりに)くれた。母からもらったというのが思い出深かったので、ずっと一緒につれてきました」

後日、雨が降る日に会いに行くと。

依頼者 30代
「持ちやすくなりました。気分が落ちちゃったりするようなこともあるんですけど頑張ろうって思います。お守りですね」

※6月25日放送『news every.』より