数百人が凍りついた、金正恩「女性社長」処刑の生々しい場面
北朝鮮と中国の貿易が急回復している。中国税関総署が公表した統計によると、2026年1〜5月の中朝貿易総額は約12億5500万ドルとなり、前年同期比で21.6%増加した。これは、国連安全保障理事会による対北制裁が本格化した2018年以降、同期間として最大規模だ。新型コロナウイルス禍後でも最高水準となり、コロナ禍で傷んだ北朝鮮経済が回復に向かう可能性がある。
ただ、国家単位の経済においてはそうだとしても、庶民にとって事情は異なる。庶民経済の基盤となる「チャンマダン(自由市場)」は密輸により中国からもたらされる商品や資本に支えられてきた。
しかし北朝鮮当局は、コロナ前のように地方の貿易会社や個人がてんでバラバラに貿易や密輸を行う体制ではなく、国が貿易を牛耳る「国家唯一貿易体制」を打ち立てようとしている。そして、それに反する行為に走る者に対し、繰り返し警告を発してきた。
中国・丹東駐在の貿易関係者ら数百人を一堂に集めた思想教育の場では、2021年に密輸容疑で処刑された人々の名前を列挙し、その場を凍りつかせたという。
平壌に近い西海岸の南浦(ナムポ)で密輸を行い、逮捕された女性社長は高射銃で銃殺され、遺体が粉々になり跡形もなく吹き飛ばされたという。当局は、その生々しい場面をいちいち詳しく明らかにしたとのことだ。
(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面)
高射銃とは、14.5ミリ口径の重機関銃を数丁束ねた対空兵器だ。これほどの大口径火器は通常、ヘリコプターや軽車両への攻撃に使うものだが、北朝鮮では金正恩体制になって以降、人々の恐怖心を高めるため、公開処刑でしばしば使われている。その様子をわざわざ海外の駐在員に語って聞かせるというのも、金正恩総書記ならではのやり方と言えるだろう。
現在推進されている「国家唯一貿易体制」は、金正恩氏の肝いり政策であるに違いない。今後、中朝国境で密輸を営むには、従来とは異なる次元のリスクを伴うことになりそうだ。

