巨人の二軍の本拠地・読売ジャイアンツ球場

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 一軍デビューだけが、ルーキーの評価基準ではない。

 昨年のドラフト会議では、支配下で73人、育成で43人が指名を受けた。セ・リーグでは竹丸和幸(鷺宮製作所→巨人1位)、パ・リーグでは小島大河(明治大→西武1位)、岩城颯空(中央大→西武2位)らが、早くも一軍で存在感を示している。【西尾典文/野球ライター】

【写真】阪神のエース候補「早瀬朔」と巨人期待の野手「藤井健翔」の高校生時代

よく腕が振れている

 一方で、すぐに一軍の戦力にはならなくても、ファームで大器の片鱗を見せている選手は少なくない。来年以降が楽しみなルーキーをピックアップして紹介したい。今回はセ・リーグ球団から取り上げる。成績は6月15日終了時点。

巨人の二軍の本拠地・読売ジャイアンツ球場

 投手で名前を挙げたいのが、早瀬朔(神村学園→阪神4位)だ。

 神村学園では春夏合わせて3度甲子園に出場。エースとして臨んだ3年夏は初戦で敗れたものの、140キロ台後半のスピードをマークするなど注目を集め、U18侍ジャパンに選出された。

 今年は体作りがメインとなっているが、5月12日に行われた日本海リーグ・石川ミリオンスターズとの練習試合で実戦デビュー。6月5日のオリックス戦では二軍公式戦でリリーフ登板し、3回を無失点に抑えて初勝利をマークした。阪神の球団関係者は、ポテンシャルの高さに太鼓判を押す。

「まだまだ体は細いですが、とにかく腕がよく振れるのがいいですね。ストレートだけでなくスライダーでもしっかり腕が振れますし、コントロールも高卒1年目では十分なレベルです。昨年に入ってきた今朝丸裕喜(2024年ドラフト2位)の1年目と比べても、投げているボールは遜色ありません。しっかり鍛えれば数年後は凄いボールを投げるようになると思います。今朝丸と上手く切磋琢磨していってほしいですね」(阪神の球団関係者)

 二軍ではここまで2試合に登板して6イニングを投げ、失点、四死球ともに0と結果を残している。将来のエース候補として期待できそうだ。

柳田悠岐を彷彿とさせるものが

 野手で目立っているのが、能戸輝夢(明秀日立→中日4位)である。

 高校時代は1年秋からレギュラーとして活躍し、3年夏には主将として甲子園に出場した。茨城大会の準々決勝で右足首の靭帯を断裂する怪我を負い、本大会は代打出場にとどまった。打席ではセカンドゴロに倒れ、満足に走ることはできなかった。

 そうした状態でありながら支配下の4位で指名されたところに、評価の高さが表れている。他球団の担当スカウトはこう話す。

「3年生になってから一気に良くなりました。体のサイズもあって、思い切りよくフルスイングできる。打撃練習を見ていると、少し柳田悠岐(ソフトバンク)を彷彿とさせるものがありました。最後の夏は怪我をしてしまいましたが、本来は脚力があって肩も強い。狙っていた球団も多かったと思いますね」

 心配された足首の怪我は、オフの間に完治した。二軍ではここまで38試合に出場し、27安打、打率.262をマークしている。本塁打こそまだ出ていないが、二塁打3本、三塁打4本を記録しており、長打力とスピードを兼ね備えている点が魅力だ。

 中日は高卒で有望な若手野手が多いとは言えないだけに、将来の中軸候補としてかかる期待は大きい。

開幕から4番に抜擢

 野手でさらに注目したい存在が、藤井健翔(浦和学院→巨人6位)だ。

 高校時代はパワーを評価されていた一方、確実性には課題があり、2年秋までは目立った成績を残していなかった。3年春の埼玉大会では準決勝と決勝で計3本塁打を放ってブレイク。関東大会では、今年のドラフト1位候補である横浜高の織田翔希から二塁打を放って話題となった。

 魅力はなんといっても、体格を生かしたパワフルな打撃である。

「体格はとても高卒1年目とは思えません。フリー打撃でも捉えた時の打球は、すでに一軍の主力と遜色ないレベルにあります。飛ばす力だけであれば、岡本和真(現・ブルージェイズ)の1年目より上かもしれませんね。変化球にはまだまだ対応できていませんが、速いボールに対してはある程度コンタクトできる。二軍の首脳陣も、とにかく大きく育てようとしています」(巨人の球団関係者)

 言葉通り、二軍では開幕から4番に抜擢された。ここまで30試合に出場して打率.202、40三振と苦しんでいる。一方で、3月19日の中日戦では豪快な“プロ1号”を放っており、19安打中7本が長打と、持ち味は見せている。

 岡本もプロ入り当初は二軍でなかなか結果を残せなかった。4年目に一軍へ定着すると、いきなり33本塁打を放っている。藤井が同じような成長曲線を描くことができれば、巨人の未来は一気に明るくなるはずだ。

 今回取り上げた選手はいずれも高卒だが、大学卒の投手では神宮僚介(東農大北海道オホーツク→阪神育成1位)が二軍で登板機会を得ており、野手では新保茉良(東北福祉大→中日5位)がショートでたびたび軽快なプレーを見せている。

 一軍での結果がすべてではないルーキーイヤーだからこそ、ファームで見せる変化や成長には大きな意味がある。数年後、今回名前を挙げた選手たちが各球団の主力に成長していても不思議ではない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部